MACD(マックディー)の 売買シグナル を上手に使いこなすことができれば、トレンドフォローやトレンド転換において勝率の高いエントリーが可能になります。
MACDの売買シグナルの見方とは?
そうですね。
MACDに限った話ではないですが、トレードというのは同じ銘柄であっても、見ている時間足やポジションをホールドしている期間によって人それぞれ戦略が全く異なります。
更に、各銘柄によって値動きの癖や節目となる価格が違いますので、全トレーダーに共通して勝てるインジケーターというのは存在しません。
ですが、扱う人をトレード初心者に限定するのであれば、トレンドフォローに強いMACDは比較的勝ちやすいインジケーターであると言えますね。
それでは、具体的な使い方や売買シグナルについて解説する前に、MACDの見方と仕組みから簡単に解説しておきましょう。
基礎の確認・MACDの見方と構成とは?
では早速、下の図を使ってMACDの見方から確認していきます。
この様に、MACDは0ラインから上下に振れるグラフ状のものとして、チャートの下部に別枠で表示されます。
また、シグナル線とはMACDの数値を移動平均化させたものなので、 MACDの動きを滑らかに後追い するように形成されていきます。
この図を見ると分かる通り、MACDは2本のEMA(指数平滑移動平均線)の乖離幅をグラフ化させたものになります。
つまり、短期EMAが中期EMAより上に乖離するとMACDのグラフは0よりプラス方向に(上に)伸び、反対に短期EMAが中期EMAより下に乖離するとMACDのグラフは0よりマイナス方向に(下に)伸びます。
従って、MACDの数値がプラスからマイナスへ切り替わる瞬間は移動平均線の デッドクロス (売りシグナル)を意味し、反対にMACDがマイナスからプラスへ切り替わる瞬間は移動平均線の ゴールデンクロス (買いシグナル)を意味します。
ちなみに、MACDの設定とはこの2本のEMAの期間を設定することであり、基本的には短期EMA=12・中期EMA=26、シグナル線=9の期間で利用します。
MACDにおけるエントリーシグナルの基本とは
ここまでで、MACDの基本の見方については理解できたでしょうか。
次は、具体的な売買シグナルの取り方について確認します。
上図がMACDにおける最も代表的な売買サインで、MACDがシグナル線を下抜けると売りのサイン、反対にMACDがシグナル線を上抜けると買いのサインとなります。
ちなみにこれは、MACDのデッドクロス(売りサイン)/ゴールデンクロス(買いサイン)と呼ばれることもありますね。
また、下図のようにMACDの乖離と収束を利用したエントリー方法もあるのでご覧ください。
この様に、MACDがマイナスからプラス方向へと大きく動き出すと、大抵は0ライン付近へと一旦収束する動きが発生するので、そこから再度乖離が始まる瞬間がエントリーポイントとなります。
この方法は、トレンドの押し目や戻りを狙ったトレンドフォローに利用すると良いですね。
他にも、下図のようなダイバージェンス(逆行現象)を使った逆張りシグナルも存在します。
ダイバージェンスとは、オシレーター系インジケーター特有の手法で、実際の高値が切りあがっている(もしくは切り下がっている)にもかかわらずMACDの数値は切り下がっている(もしくは切り下がっている)状態のことをいいます。
この現象が見られると、トレンド転換が非常に起こりやすくなるので 転換を狙った逆張りのエントリーシグナル として利用されます。
MACDをトレードで使う際の注意点
そうですね。
MACDだけでなくどのインジケーターにも言えることですが、ただ闇雲に売買シグナルを拾っていても相場で勝ち続けることはできません。
なぜなら、相場には「だまし」が存在するからです。
ですので、インジケーターの売買シグナルを拾う際にも、相場のだましに合わないよう優位性の高いサインだけに絞り込む必要があります。
具体的には、
- トレンド相場かレンジ相場か
- トレンドの方向性
- 水平線/トレンドライン
- 天井/大底
など、複合的に相場を分析し常に環境認識を徹底しておくことが大切です。
はい。
もちろん、先述したような項目で徹底的に環境認識を行うにはかなりの知識と経験が必要になります。
まずは、日足や4時間足における節目に水平線を引いたり、短期・中期・長期の移動平均線を表示させてトレンド状況を把握しやすくしてみると良いですね。
また、ボリンジャーバンドなど他のインジケーターと併用して売買シグナルを選別することも大変有効です。
それともう一つ、MACDの指標は移動平均線が元になっているので、一度レンジ相場に突入すると売買シグナルが全く機能しなくなってしまいます。
MACDと相性の良いインジケーターの組み合わせ
では、実際にMACDと併用できるおすすめのインジケーターをいくつかご紹介しておきましょう。
こちらは移動平均線とMACDを組み合わせたチャートです。
移動平均線の期間は使い慣れている設定で問題ありませんが、迷った場合には「中期=75、長期=200」もしくは「中期=50、長期=100」に設定しておきましょう。
この図のように、中期移動平均線が長期移動平均線より上に位置している場合は強い上昇トレンドが発生していることを意味しますので、 MACDの買いシグナル が機能しやすくなります。
反対に、中期移動平均線が長期移動平均線より下に位置している場合は強い下降トレンドが発生していることを意味しますので、 MACDの売りシグナル が機能しやすくなります。
上図は、MACDにボリンジャーバンドを組み合わせたチャートになります。
ボリンジャーバンドは価格の収束率を統計学的に表した指標であり、トレンドの発生を事前に予測するために利用されます。
つまり、トレンド相場に強い性質を持つMACDとの相性が良く、両者の売買サインが重なるポイントは通常よりも勝率の高いエントリーポイントとなります。
こちらは、MACDとRSIを組み合わせたチャートです。
RSIとは、一定期間における価格の上下幅から買いと売りの強弱を数値化させた指標であり、オシレーター系インジケーターに属しています。
特に、1分足や5分足でのスキャルピング売買を行っていると上図のようなレンジ相場に当ることが多く、デイトレードやスイングトレードに比べて MACDのだましサイン が多くなります。
そこで、RSIのダイバージェンスのような信頼度の高い転換サインに合わせて利用することで、MACDの売買シグナルが選別しやすくなります。
MT4におけるオススメのMACD設定方法
では最後に、最も勝ちやすく使いやすいMACDの設定方法についてMT4を具体例に解説します。
そうですね。
当サイトでは、「全トレーダーに共通して一番勝てるインジケーターの期間設定は存在しない」と何度もお伝えしておりますが、あえて言うならば、初期設定である短期=12、中期=26、シグナル=9が最も安定していて機能しやすい期間設定になります。
なぜなら、デフォルトの値が最も多くのトレーダーから利用されている期間設定だからです。
つまり、デフォルト設定にしておくことで、実際の相場における売買が集中するポイントや相場参加者の心理ともリンクしやすくなるので、当然ながらMACDの売買サインの信頼度も高くなります。
ちなみに、短期EMA、中期EMA、シグナル線をそれぞれ「 6、19、4 」や「 19、39、12 」にする方法もあります。
前者の場合は、デフォルトよりも期間が短い設定になるので、エントリーから利確までを瞬時に判断しなければならないスキャルピングトレードに適しています。
一方後者は、デフォルトよりも期間が長い設定になるので、エントリーから利確までのポジションホールド期間が長いスイングトレード向けの設定と言えますね。
MACDをチャートに正しく設定する方法
では最後に、MT4上にMACDを正しく表示する方法について解説します。
まず、MT4を開いたら好きな銘柄のチャートを開いてください。
そして、チャート上部にあるメニューバーの中からインディケーターリストのアイコンを見つけてクリックし、「オシレーター」→「MACD」の順に選択していきます。
すると、上のような設定ウィンドウが開かれるので、そのままOKをクリックするだけで初期設定のMACDがチャート上に表示されます。
先述したように、 MACDは初期設定のまま使うことがおすすめ なので、特別こだわりが無ければそのまま使っていただいて問題無いです。
もしも、期間設定を変えてみたいという場合には、緑色で囲った部分を変更することで、短期EMA、中期EMA、シグナル線の期間を変更できます。
また、隣のタブ「色の設定」ではMACDとシグナル線の色や形状を変更でき、その2つ隣の「表示選択」のタブからは表示する時間足の選択が可能です。
それ以外の部分については特に意味がありませんので触らなくても大丈夫です。
まとめ
今回は、MACDの売買シグナルと機能しやすい期間設定について詳しく解説してきました。
繰り返しになりますが、相場には「だまし」というものが存在しますのでMACDの売買シグナルも完ぺきではありません。
特に、長期足の方向性に逆らったり、レンジ相場で無理やり利用しようとすると何度も損切に合ってしまうので気を付けて下さいね。