FXや株式投資のチャート分析で使われるインジケータの一つである、MACD(マックディー)。このMACDの設定についてネットで検索をすると、オススメの期間設定がたくさん出てきて、どれが一番良いのか迷ってしまいますよね。
MACDはどんなインジケーター?
そうですね。
まずは、MACDの指標から読み取れるものは何なのか、それを使ってどの様なことができるのかを確認しましょう。
MACDとは、相場における買いと売りの強弱を数値で示してくれるオシレーター系のインジケーターです。
具体的には、2本のEMA(指数平滑移動平均線)の乖離幅から直近相場における買いの強さ・売りの強さを教えてくれます。
上図のように、短期EMAが中期EMAより上に乖離するとMACDの数値が0ラインより上に振れ、反対に短期EMAが中期EMAより下に乖離するとMACDの数値は0ラインより下に振れるようになっています。
つまり、MACDが0ラインを上抜けすることは短期EMAが中期EMAを上抜ける ゴールデンクロス(移動平均線の買いサイン) の発生を意味し、反対にMACDが0ラインを下抜けすることは短期EMAが中期EMAを下抜ける デッドクロス(移動平均線の売りサイン) の発生を意味しています。
また、MACDと一緒にシグナル線というものも一緒に表示されておりますが、これはMACDの数値を移動平均化させたラインになります。
基本的には、MACDがシグナル線を上抜けると買いのサイン、反対に下抜けると売りのサインになります。
ですので、MACDは5分足スキャルピングなど素早い売買サインにも対応したインジケーターといえますね。
ちなみに、MACDは移動平均線を元に作られたインジケーターなので、RSIのように買われすぎ・売られすぎを示すオシレーターとは違って「レンジ相場」よりも「トレンド相場」に強いのが特徴です。
MACDのチャート設定方法
ここまでで、MACDの基本については理解できたでしょうか。
次は実際のチャートに表示させる方法と、勝ちやすいおすすめのパラメーターについて解説していきます。
今回は、国内外の多くのトレーダーから愛用されている取引プラットフォーム MT4 を使って表示/設定をしていきましょう。
MT4上でMACDを正しく設定する方法
まずは、MT4を立ち上げて取引をしたい通貨ペアのチャートを開きます。
次に、チャート上部にあるアイコンの中から「インディケーターリスト」を見つけて、「オシレーター」→「MACD」の順番に選択していきます。
すると、下図のような設定ウィンドウが開かれるので、そのままOKを押すだけでチャートにMACDが表示されます。
初めは短期EMA=12、中期EMA=26、シグナル=9となっておりますが、この数値を変更することで 好きな期間設定にカスタマイズが可能 です。
その下にある、「適用価格」「下限設定」「上限設定」については初期設定のままの方が機能しやすいのであえて変更する必要はありません。
また、「パラメーター」タブの右側には、他にも「色の設定」「レベル表示」「表示選択」という3つのタブがあるかと思いますが、「色の設定」からはMACDとシグナル線の色と形状を変更でき、「表示選択」からは1分足~月足の時間足ごとでMACDを表示するかしないかの選択ができます。
「レベル表示」タブとはMACD上の好きな数値にラインを表示させる機能ですが、ほぼ使い道が無いので触らなくても大丈夫です。
おすすめの最強パラメータ数値設定
そうですね。
トレードというのは、銘柄・時間足・順張り/逆張りなど人それぞれ環境が全く違うので、万人に共通した一番勝てる期間設定は基本的に存在しません。
ですが、あえて言うならば デフォルト設定 のまま根気強く使い続けることが万人に共通した最もおすすめの方法になります。
なぜなら、「短期EMA=12、中期EMA=26、シグナル線=9」のデフォルト設定が最も多くのトレーダーから利用されているからです。
要するに、トレード相場というのは各トレーダーの売買注文の数によって決まるものなので、より多く使われている期間設定の方が相場への影響力が高くインジケーターとしても機能しやすくなるのです。
ただ、どうしても自分なりの期間設定にカスタマイズして使いたいということであれば、
- スキャルピングなら「短期EMA=6、中期EMA=19、シグナル線=4」
- スイングトレードなら「短期EMA=19、中期EMA=39、シグナル線=12」
に設定してみると良いですね。
ただ、僕も初心者の頃は「最も勝てる設定値」を探すため何度も数値を変更していましたが、「勝てない理由は期間設定以外にある」と気づいてからはデフォルト設定に戻し、反復練習を続けた結果勝てるようになった経験があります。
ですので、MACDの期間設定だけにこだわらず、ローソク足や水平線、トレンドライン、ダウ理論などチャート分析スキルの基礎を大切にしてくださいね。
MACDのスキャルピングでの使い方
では最後に、MACDを使った具体的なエントリー手法について解説していきます。
初めの章でもお伝えした通り、MACDは直近価格に素早く反応するようSMAではなくEMAの乖離幅を利用したインジケーターになっています。
ですので、今回はスキャルピングに特化した短期売買向けの順張り/逆張り手法をご紹介します。
MACDを利用したスキャルピング順張り手法
まずはMACDを利用した順張りですが、5分足のスキャルピングでエントリータイミングを計る場合は 上昇(又は下降)の第2波を狙う ようにします。
上図左側のように、一度大きく上昇した後に一旦下に戻され高値と安値が直近よりも切り上がっていることを確認します。
これは、ダウ理論で上昇トレンドが開始されたことを意味しますので、この後はMACDがシグナル線を上抜ける買いサインに併せて押し目買いを狙うようにします。
そうすることで、トレンドの2波目を狙う多くのトレーダー心理に合わせた勝率の高い売買が可能になります。
この図を見たら分かる通り、1回目の上昇というのは大抵半値くらいは大きく戻されてしまうので、慌てて飛びつかないようにグッとこらえることが重要ですね。
また、下降トレンドにおける戻り売りを狙う場合については上下を逆にすることで利用できます。
MACDを利用したスキャルピング逆張り手法
では次に、MACDを利用した逆張り手法について解説します。
MACDを利用した逆張りスキャルピングの基本は、下図のような急激な値動きが発生した直後に見られる「2回目以降の逆張りシグナル」を狙うことです。
相場の基本として、急激な価格変動が起こった直後には反発の戻りが発生する場合が多いので、この図に示したように②や③の逆張りシグナルは逆張りとして機能しやすくなります。
また、下図のようなじわじわと下げ続けるような下降トレンド中に逆張りを仕掛けると、何度も損切に合ってしまうので気を付けましょう。
もう一つ注意点として、MACDは移動平均線と同じくレンジ相場になるとほとんどの売買サインが だまし になってしまいます。
ですので、レンジ相場での逆張りではなく、今回のように急激なトレンドの一時的な戻しを狙った逆張りにのみ利用するよう心がけてください。
まとめ
今回は、MACDの設定方法やパラメーターについて掘り下げて説明してきました。
繰り返しになりますが、インジケーターのパラメーター設定というのはあまりこだわり過ぎると逆に勝てなくなることがあります。
ですので、迷った時やカスマタイズしても全然勝てるようにならない時は、一度デフォルト設定に戻してトレードの基礎から復習してみましょう。