FXや株のトレーダーがチャート分析に用いるインジケーターの1つとしてMACDというものがあります。
このMACDには、シグナル線との乖離幅を示した ヒストグラム が存在し、上手く活用することができれば、トレンドの押し目や戻りだけでなく、急激な値動きに対する逆張りにも対応することができます。
MACDのヒストグラムとは?
はい。
ではまず、下の図を見ながら「MACD」「シグナル線」「ヒストグラム」がそれぞれどの様な見た目をしているのか確認しましょう。
この様に、先行して上下に推移している青いラインをMACD、MACDを後追いするよう滑らかに推移している赤いラインをシグナル線、0ラインから上下に伸びる緑色の棒グラフ状のものをヒストグラムと呼びます。
そうですね。
前回までご紹介してきたMACDは上図のような見た目をしていたかと思いますが、両者はどちらもMACDの指標で間違いありません。
分かりやすく言うと、棒グラフ状のMACDをライン表示に変更し、ヒストグラムという3つ目の指標を新しく追加表示させたものが初めにご紹介した図になります。
つまり、MACDをラインにしてヒストグラムを追加表示したタイプと、MACDを棒グラフにしてヒストグラムを表示しないタイプの2種類があるということですね。
MACD、シグナル線、ヒストグラムが示すもの
ここまでで、ヒストグラムの有り無しによる見た目の違いについては理解できたでしょうか。
次に、それぞれの指標が何を意味しているのかについて下の図と表を見ながら解説します。
3つの指標 | 説明 |
---|---|
MACD | 短期EMAと中期EMAの乖離幅を表したもの |
シグナル線 | MACDの数値を任意の期間で移動平均化したもの |
ヒストグラム | MACDとシグナル線の乖離幅を表したもの |
図と表で説明されている通り、 MACDとは2本のEMAの乖離幅を示すライン です。
つまり、短期EMAが中期EMAより上に乖離する相場であればMACDは0ラインより上側に位置し、反対に、短期EMAが中期EMAより下に乖離する相場になるとMACDは0ラインの下側に位置するようになります。
この考え方と同様に、MACDがシグナル線より上に乖離し始めるとヒストグラムは0ラインより上側に伸び、反対に、MACDがシグナル線より下に乖離するとヒストグラムも0ラインより下側に伸びていきます。
ちなみに、ローソク足と一緒に表示している2本のEMAについては、説明の便宜上あえて表示設定させているものです。
また、MACDの最も基本的な使い方としては、MACDがシグナル線を上抜けるゴールデンクロス(買いサイン)とMACDがシグナル線を下抜けるデッドクロス(売りサイン)があります。
一方、ヒストグラムはMACDのゴールデンクロスとデッドクロスの発生を早期察知するために使われるのが一般的です。
MACDヒストグラムを表示させるメリット・デメリット
そうですね。
これに関しては絶対的な正解はありませんが、ヒストグラムをうまく使いこなせば有利な売買ポイントをより素早く正確に見つけられるようになります。
ただし、ヒストグラムを標示すると分析ツールとして複雑なものになってしまう、トレード初心者にとっては表示することが自体がデメリットになりかねます。
ですので、まずはヒストグラム無しのシンプルなMACDで相場分析の練習をしてみるのも良いかと思います。
ちなみに、先述したようにヒストグラムとはMACDとシグナル線の乖離幅を示しているに過ぎないので、ヒストグラムとMACDが交差するところが売買サインとして働くことは基本的にありません。
また、ヒストグラムにもダイバージェンスがあるというような情報もネット上で見かけることがありますが、そこまで複雑な分析をしなくても有利な売買ポイントはいくらでも見つけることができます。
ヒストグラムの効果的な見方は?
では次に、チャート分析においてヒストグラムを有効活用する具体的な方法と、 MT4 での表示設定方法について解説します。
今回ご紹介するのは、通常のMACDと同じようにトレンドフォローにおける押し目や戻り、急な値動きに対しての逆張りポイントを探る方法になります。
どれも初心者向けで再現しやすい手法となっておりますので、分からないところは何度も読み返しながら是非マスターしてくださいね。
ヒストグラムを利用した効果的なトレード手法2選
まずは上昇トレンドの押し目や下降トレンドの戻りを狙うための使い方ですが、下の図をご覧ください。
こちらは、MACDのヒストグラムにおける下降トレンド中の戻り売りポイントを示したものです。
前提として、MACDが0ラインよりも下に位置しておりローソク足の動き的にも下降目線であることを確認しておきます。
そして、上図のようにヒストグラムが下に伸びてから一旦上に戻って来て、再度下に伸び始める瞬間が戻り売りの最適ポイントになります。これは、トレンド発生中は一定方向に乖離と収束を繰り返すという2本の移動平均線の特徴をMACDに応用した手法になりますね。
ちなみに、上昇トレンドの押し目買いについては、これと全く反対の考え方で再現できます。
では次に、急な値動きが発生した直後に逆張りを仕掛ける際のヒストグラム利用方法をご紹介します。
上図は、直近のレンジ相場がブレイクした際の戻りを狙った逆張りポイントを示したものです。
このポイントの見つけ方はいたってシンプルで、 ヒストグラムが下に拡大した後に縮小する動きを見せた瞬間 が狙い目です。
コツとしては、1詰めの山ではなく2つ目の山を狙うのがおすすめです。要するに、ヒストグラムの押し目や戻りを見つけるようなイメージですね。
(下降トレンドでは反対の考え方になります)
MT4におけるMACDヒストグラムの設定方法
では最後に、MT4を利用したMACDのヒストグラム表示/設定方法について解説します。
はい。
実は、MT4に元々入っているMACDはそのまま使ってもヒストグラムを表示することはできません。
ですので、標示するためには以下2つの方法のどちらかを取る必要があります。
- MQL5サイトからヒストグラム有りのMACDをダウンロードして使う
- MT4に元々入っているMACDを基本情報から書き換える
1の方法についてはこちらのページからダウンロードが可能ですが、そのためにはアカウント登録をする必要がありますので注意してください。
ちなみに、このサイトで手に入るMACDには上図のようにダイバージェンスを示すラインも一緒に表示されます。
一見するとものすごく有利なインジケーターのように感じますが、情報過多でかえって見づらくなることもあるので初心者にはあまりおすすめしません。
ですので、今回はもう一つの方法であるMACDの基本情報を書き換えるやり方について詳しく解説していきます。
まずは、上図のようにメニューリストから「ナビゲーター」のアイコンを見つけて、その中から「Examples」を開き「MACD」を見つけて右クリックします。
そして、右クリックをしたら修正を選択します。
修正をクリックすると、上図のような編集画面が表示されるので36番目にある「HISTGRAM」を 「LINE」 と書き換えます。
書き換えが終わったら、上部のメニューバーにある「コンパイル」をクリックするだけで、このMACDが棒グラフからラインの標示に変わります。
無事にコンパイルをクリックするところまで終わったら、この編集ウインドウは✕閉じしてください。
続いてMACDとヒストグラムをチャートに正しく表示する方法ですが、上図のように「Examples」の中から「OsMA」を探してチャート上にドラッグ&ドロップさせます。
この「OsMA」というのがヒストグラムになるので、上のような設定ウィンドウが表示されたらこのままOKを押してください。
今度は、先ほど情報を書き換えたMACDを既に標示済みのOsMAの中にドラッグ&ドロップします。
ここまでの手順を踏んでいただければ、上図のようにMACD・シグナル線・ヒストグラムが3つ同時に表示されるようになります。
ちなみに、上2つの設定画面についてはチャート上で右クリック→「表示中のインディケータ」を選択すると下のように現在表示中のインディケーターがリスト表示されるので、ここから各インジケーターの設定ウィンドウを開くことができます。
最後に、MACDの設定ウィンドウを開いて下図のように「レベル表示」のタブから 0ラインの表示を追加 することをおすすめします。
なぜなら、この方法ではヒストグラムの0ラインとMACDの0ラインは独立した別標示になるので、これをやっておかないとMACDの指標を誤認してしまう恐れがあるからです。
まとめ
今回は、MACDのヒストグラムを使った有効的なエントリーやMT4における標示/設定方法について詳しく解説してきました。
ここまで説明してきたように、テクニカル分析でMACDのヒストグラムを使うことで通常よりも有利なポイントを探せるようになります。
ただし、勝ちトレーダの中にはヒストグラムの表示は無い方がかえって使いやすいという方も存在することを忘れないようにしてください。
まずは、より多くの練習と経験を積み重ねながら自分に合った標示/設定を見つけることが大切ですね。