ストキャスティクスを利用したテクニカル手法の中でも、 ダイバージェンス は勝率が高く値幅も大きく狙うことができます。
ダイバージェンスとは
ストキャスティクスやRSIなどオシレーター系インジケーターに見られる価格との逆行現象のことを「ダイバージェンス」と言います。
ダイバージェンスの発生が確認できれば、その後の相場でトレンド転換が起こりやすくなるので大きな値幅を狙うチャンスになります。
上図は、実際のチャート上で発生したダイバージェンスです。チャート上では高値が切り上がっているのに対して、オシレーターは下に逆行していますよね。
相場におけるトレンド転換点を掴むためには、「買い勢力と売り勢力の力関係が逆転するポイント」の予測が必要です。
通常これは、様々なテクニカル分析を駆使したり長年のトレード経験を通して見極めていくもので、初心者がぱっと見で予測するのは困難なことなのです。
ですが、オシレーターのダイバージェンスを使いこなせるようになれば、難しいテクニカル分析をすることなく初心者でもトレンド転換点を捉えられるようになります。
次章からは、オシレーターの代表格であり初心者にも扱いやすいストキャスティクスを使ったダイバージェンスについて解説していきます。
ストキャスティクスのダイバージェンスとは?
先述したようにダイバージェンスは、オシレーター系インジケーターに見られる特徴的な現象です。
したがって、ストキャスティクスやRSI、RCI、MACDなど主要なオシレーターはどれでも必ず ダイバージェンスが発生 します。
その中でも、価格の上下に対して反応速度が速いストキャスティクスのダイバージェンスは、短期的なトレンド転換点を捉えるのに向いています。
さらに、ストキャスティクスは2本の線で分かりやすく売買シグナルを発してくれるので、初心者でもエントリーと利確がしやすくなっています。
ストキャスティクスとRCIとの違い
ストキャスティクスとRCIは、どちらも複数本の線を表示させて使われるオシレーター系インジケーターなので、見た目や使い方が似ていて使い分けが難しいですよね。
特に、初心者にとって最初のインジケーター選びはとても重要なので、ここでしっかりと両者の違いを学んでいきましょう。
ストキャスティクスとは
ストキャスティクスとは、「一定期間における最高値と最安値の値幅」を割り出して、直近の価格がどれくらい高値に位置しているのかを教えてくれるインジケーターです。
上図はストキャスティクスの数値計算をイメージ化したもので、期間中の上下幅に対して直近価格の上げ幅が何%あるのかを、 %K と呼ばれる線で指し示しています。
%D と呼ばれているもう一つの線は、 %K を任意の期間で移動平均化したものです。
ちなみに、ストキャスティクスの計算式は以下になります。
ストキャスティクスの最も大事な特徴は、「 計算式に実際の値幅を直接利用している 」ということです。この特徴は次に説明するRCIとの明確な違いになりますので、しっかりと覚えておきましょう。
RCIとは
一方でRCIとは、「一定期間における価格の順位」を利用して、直近の価格がどれくらい高値に位置しているのかを教えてくれるインジケーターです。
また、RCIは期間設定を「9」「26」「52」にして3本表示で利用する場合もあります。ただし、RCIの複数本利用については公式の使い方ではなく、見た目も煩雑になってしまい賛否両論あるので利用の際は注意してくださいね。
RCIの計算式は以下です。価格の順位をどのように利用するかについては、覚えなくてもRCIの利用に支障はありません。
ここで説明してしまうと記事が長くなり話も脱線してしまうので割愛させていただきますね。気になる方はこちらの記事をご参照ください。
ストキャスティクスでダイバージェンスを利用する方法
ここまでの説明で、ダイバージェンスとは何物なのか?ストキャスティクスとはどの様なインジケーターなのか?大まかなイメージはできたでしょうか。
ここからは、本題であるストキャスティクスのダイバージェンスの具体的利用方法について解説していきます。慌てずゆっくり読み返しながら、しっかりと付いてきてくださいね。
上昇トレンド中のダイバージェンス
上図は、実際のチャートで 上昇トレンド中に発生したダイバージェンス です。
緩やかに高値が切り上げされている緑色の矢印期間において、ストキャスティクスが逆行の動きを見せ綺麗なダイバージェンスができていますね。
このままストンと価格が落ちることもあるので、①の期間で%Kが%Dを下抜けるデッドクロスによって売りエントリーをするトレーダーもいます。
ですが、トレンド転換点では売りを仕掛けているトレーダーのロスカット狩りが行われやすく、今回の例のようにだましになることが多いです。
したがって、①で逆行した後に②で再度上げたのを確認し、③のデッドクロスで売りエントリーができれば勝率がグッと上がります。
下降トレンド中のダイバージェンス
同様に、 下降トレンド中にもストキャスティクスのダイバージェンスが発生 します。
上図を見て疑問を持たれた方もいると思いますが、先ほどの例とは違って、今度は安値の切り上げによる逆行現象にはなっていませんよね。
しかしこれは、価格の動きは拮抗しているのにストキャスティクスだけ上昇を見せているので、同じようにダイバージェンスと見てトレンド転換を予測できます。
エントリータイミングも、先ほどと同じようにだましを回避した①→②→③の流れでゴールデンクロスきっかけのエントリーです。
ストキャスティクスを使う際の注意点
それでは最後に、ストキャスティクスを使用する上で注意しておくべきことを確認しましょう。
ストキャスティクスは非常に便利で扱いやすいインジケーターですが、以下のような弱点があります。
- 売買シグナルが多すぎてだましに合いやすい
- 一方的なトレンド相場になると機能しなくなる
予めストキャスティクスの弱点を知っておくことで、ダイバージェンスを利用したエントリーや利確の精度も上がってきます。諦めずに、あと少しだけ頑張りましょう。
売買シグナルが多すぎてだましに合いやすい
ストキャスティクスは直近までの上げ幅を 直接計算式に利用 しているため、現在価格に対して素早く反応するのが特徴です。
それによって、エントリーチャンスを見逃すことなく素早く次の値動きに乗ることができます。
その半面、上図のような多すぎる売買シグナルに混乱したり、シグナルだましに何度も合ってしまうケースが初心者には特に多いです。
そうならないためには、ストキャスティクスの指標だけに頼らず別の視点から環境認識・相場分析をしていく必要があります。
基本的に、勝ちやすい相場を見極めるポイントは以下の4つの局面に絞られます。
- 上昇トレンドの押し目買い
- 下降トレンドの戻り売り
- レンジ相場での逆張り
- トレンド転換点での逆張り
このうち、ダイバージェンスを利用して狙う局面は4つ目の「 トレンド転換点での逆張り 」ですよね。
自分が今、相場におけるどのような曲面でエントリーポイントを見つけようとしているのか、必ず確認するクセを付けましょう。
一方的なトレンド相場になると機能しなくなる
ストキャスティクスは、一定期間の上下幅における「現在価格の位置」が0~100%の数値として反映されるようになっています。
こういった相場の場合、強いて言うならば「どこで買っても勝てる」のですが、トレンドがいつ終了するかが見えないのでギャンブルトレードになりがちです。
私の場合、この様な局面に出くわした時は無理にトレードせず、次のチャンス相場が来るまで待つようにしています。
まとめ
さて、今回の記事では ダイバージェンス に注目しながらストキャスティクスの利用方法を解説してきました。
ストキャスティクスを使ったトレード手法はダイバージェンスだけではありませんが、%Kと%Dのクロスを使っただけの単純なトレードでは勝ち続けることは困難です。
ダイバージェンスを見極められるようになれば、トレンド転換点を狙った勝率の高いエントリーが可能になるので、ぜひマスターするまで何ども読み返して下さいね。