MT4におけるストキャスティクスの使い方や設定方法について

FX取引においてはさまざまなテクニカル指標が用いられますが、多くのトレーダーから人気を集めているのが『ストキャスティクス』です。

ストキャスティクスは複数のラインを用いて市場の動向を予測するため、確度の高いテクニカル指標とされています。

トモヒロ
当記事ではストキャスティクスの計算方法やMT4での設定方法や使い方について解説します。

ストキャスティクスとは

ストキャスティクスとは、ある特定の期間内の最高値と最安値の範囲で、現在の株価がどの程度の位置にいるかを示すものです。

0%から100%で表され、通常はストキャスティクスが70%もしくは80%を超えた場合には市場が『買われすぎ』、20%から30%を下回った時に市場が『売られすぎ』の状態にあると判断できます。

このようなオシレーター系のインジケーターの一つとして『RSI』も挙げられますが、RSIが常に1本のラインを使って分析を行うのに対し、ストキャスティクスは 3本の線 を使って市場の動向を予測できるという大きなメリットがあります。

その3本のラインは、下記のとおりです。

  • 5日や9日といった短期的な動向を反映する『%K
  • 直近3日間の%Kから算出され中期的な市場の動きを見るための『%D
  • 直近3日間の%Dの合計を3で割った『スロー%D

スロー%Dは長期的な予測を立てる際に用いられます。これら3本の線を単体で使用することもできますが、複数のラインを組み合わせて予測することにより、より確度の高い取引が行えるのです。

基本的には%Kと%Dを使う『ファストストキャスティクス』、%Dとスロー%Dの2本のラインを使う『スローストキャスティクス』という方法があります。一般的によく用いられているのはスローストキャスティクスの方です。

3本のラインである%K、%D、スロー%Dの計算式はそれぞれ下記のとおりです。

%K 計算式

%K計算式

%D 計算式

%D計算式

スロー%D 計算式

スロー%D計算式

計算式のnは基本的に9ですが、5や14を使うトレーダーもいます。さらにパラメータのmは通常3です。

ストキャスティクスの計算方法

ストキャスティクスの計算式を見ると、かなり難しいインジケーターのように思えるかもしれません。しかしストキャスティクスの計算方法はそれほど難しくありません。

%Kに関しては、分母が過去9日間の値動きの幅を、分子が直近の終値と過去9日間の最安値との差を示しています。

つまり過去9日間の値幅を100%とした時、直近の終値がどの位置にいるかを表しているのです。

たとえばドル円の過去9日間の最高値が112円、最安値が108円だったとします。
直近の終値が111円である場合、分子は111-108=3、分母は112-108=4で、%Kは3÷4×100%=75%となります。

このケースではドル円市場はかなり買われすぎの状態にあると判断できるでしょう。

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%Kだけを見て、将来的に価格が下落に転じると予想して『売り』ポジションをとるという判断も可能です。

一方で%Dは%Kの分子、分母それぞれを3日間分合計したものになっています。過去3日間の%Kを 移動平均化 するだけです。

スロー%Dは直近3日間の%Dを3で割って平均したものとなります。使用している期間の長さが異なるので、市場の動きにもっとも機敏に反応するのが%K、続いて%D、もっともゆっくり反応するのがスロー%Dとなります。

ストキャスティクスのMT4設定方法

では、実際にストキャスティクスを MT4 で使用する場合の設定方法について見ていきましょう。

まずは自分が取引したいと思う通貨ペアを選び、その通貨ペアのチャートをMT4の画面に表示させます。その上で、チャートの下にストキャスティクスを表示させなければなりません。

MT4の画面から『挿入』をクリックし、『インディケータ』を選択します。ストキャスティクスはオシレーター系のテクニカル指標なので、『オシレーター』を選び、ストキャスティクスをクリックすれば表示できます。

 ただしストキャスティクスは正式名称の『Stochastic Oscillator』と表示されているので注意が必要です。

ストキャスティクスを表示させた後は、さまざまなパラメータの設定をしなければなりません。

非常に重要なパラメータが、%Kと%Dの期間や スローイング です。

%Kでは一定期間内の最高値と最安値が必要になるので、その期間をトレーダーが決めます。%Dは%Kを任意の日数で移動平均化するものなので、この期間もトレーダーが決めることが可能です。

さらにスローイングはスロー%Dを算出するために用いられるパラメータです。直近の何日間の%Dの値を用いるかをトレーダーが定めます。%Kの期間は計算式の『n』にあたる部分で、一般的には 9日間 が用いられます。ただし場合によっては5日間、もしくは14日間を用いるトレーダーもいます。

一方%Dの期間は通常3を使います。スローイングはトレーダーによって用いる値が異なりますが、一般的には『3』です。

初心者の方はこの値にパラメータを設定してストキャスティクスを試してみると良いかもしれません。

トモヒロ
上限や下限も設定可能ですが、基本的にはデフォルトの状態で使用することをお勧めします。

加えて色の設定レベルの設定も行うことができます。レベルとは売られすぎや買われすぎを判断する材料となる数値のことで、売られすぎのラインとして20や30、買われすぎのラインとして70や80が用いられます。

エントリーのサインをより多くつかみたい時には30や70、より確度の高い分析を行いたい時には20や80を使うのがよいでしょう。

MT4でのストキャスティクスの有効的な使い方

MT4でストキャスティクスを使う方法はさまざまありますが、その中でもとくに有効であるとされる方法があります。それが、

  • ゴールドクロスとデッドクロス
  • ダイバージェンスとコンバージェンス

という2つのサインです。ストキャスティクスの基本的な分析方法に加えてこの2つを覚えておくと、FX取引の成功率を高めることができるでしょう。

ではそれぞれの使い方について解説します。

ゴールドクロスとデッドクロスについて

ゴールドクロスデッドクロスは、ストキャスティクスの分析の中でもとくに重視されるポイントの一つです。とくにトレンドの転換を指し示すものとして注目されます。

ゴールドクロスとは、基本的により短い期間を利用しているラインがより長い期間を示すラインを下から上へ突き抜けていくことを意味します。

たとえば%Kと%Dを使ったファストストキャスティクスを利用しているとしましょう。下降トレンドが発生している状態で、%Kが%Dを下から上へ突き抜けた場合、 下降トレンドが上昇トレンドへと転換する と予測することができます。例を見てみましょう。

ゴールドクロス

赤丸の部分では、青いラインで表される%Kがピンクのラインで表される%Dを下から上へ突き抜けています。これがゴールドクロスです。

同様に、%Dとスロー%Dの場合にも、中期的な動きを示す%Dが長期的な動きを示すスロー%Dを下から上へ突き抜けた時、トレンドの転換を示すものとなります。一方で%Kが%Dを上から下に突き抜けた場合、『デッドクロス』が発生していると考えられます。

デッドクロス

図の2つの青丸で分かるように、デッドクロスの後は価格が下落する傾向があるため売りのサインとなります。

上昇トレンドが発生している時にデッドクロスが表れたなら、下降トレンドへの転換が近いと考えることができるでしょう。

トモヒロ
この2つのクロスについて覚えておくと、トレンドだけを見て取引するのではなく、トレンドの転換を予測して取引の成功率を上げることが可能となります。

ダイバージェンスとコンバージェンスについて

ゴールドクロスやデッドクロスと同様非常に重要なポイントが『ダイバージェンス』と『コンバージェンス』です。

ダイバージェンスやコンバージェンスとは、ストキャスティクスの動きと実際の市場の動きに乖離が発生することを指します。

まずはダイバージェンスについて考えましょう。

あるチャートが上昇トレンドにあるとします。上昇トレンドになっている場合、チャートの高値はどんどん切りあがっていくはずです。

当然それに合わせてストキャスティクスのラインも高値が切りあがっていかなければなりません。しかし時折チャートの高値は切りあがっていくのに、ストキャスティクスの高値は切り下がっていくことがあります。

ダイバージェンス発生

四角で囲まれたところでは、チャートの高値が切りあがり、ストキャスティクスの高値が切り下がっていることが分かります。

その後上昇トレンドは終了し、下降トレンドに入っています。したがってダイバージェンスは トレンドの転換を示すサイン となるのです。一方コンバージェンスはこの現象と逆のことが起こります。

 コンバージェンスはヒドゥンダイバージェンスなどとも呼ばれるので注意しましょう。

このケースではチャートの安値に注目します。もしチャートが下降トレンドにあり安値がどんどん切り下がっているにも関わらず、ストキャスティクスの安値が切りあがっているのであればコンバージェンスが発生していることになります。

トモヒロ
チャートは下降トレンドであるのにコンバージェンスが発生してるのであれば、近い将来トレンドが転換し上昇トレンドになると判断できるでしょう。

ストキャスティクスをMT4で使う際の注意点

ストキャスティクスをMT4で使用する際には、いくつか注意するポイントがあります。それは、

  • エッジバンドを20と80に設定する方が信ぴょう性が高くなる
  • ファストストキャスティクスよりもスローストキャスティクスを利用する

という点です。ではそれぞれについて解説します。

エッジバンドを20と80に設定する方が信ぴょう性が高くなる

エッジバンドとは、買われすぎ・売られすぎの判断に用いるラインのことです。一般的には買われすぎのラインが70%、売られすぎのラインが30%となっています。

しかしこのラインを80%と20%にするとより正確に買われすぎ・売られすぎを判断することができます。

さらにゴールドクロスやデッドクロスがこのラインの外側で起こった場合、価格の変動やトレンドの転換の信ぴょう性がさらに高くなります。

トモヒロ
そのタイミングでエントリーすれば取引の成功率をかなり高められることでしょう。

ファストストキャスティクスよりもスローストキャスティクスを利用する

ストキャスティクスの利用方法は%Kと%Dを用いるファストストキャスティクスと、%Dとスロー%Dを用いるスローストキャスティクスとがあります。

ファストストキャスティクスも有効な方法ですが、予測と反対に市場が動く『 だまし 』が発生しやすいのがデメリットです。

そのため初心者の方は、より長期的な要素を含めたスローストキャスティクスを利用する方がよいでしょう。

だましに遭いにくくなるのはもちろん、ラインが緩やかになるのでゴールドクロスやデッドクロス、ダイバージェンスやコンバージェンスも見極めやすくなります。

まとめ

MT4でスローストキャスティクスを利用する場合、 パラメータ設定 をきちんと行うことが重要です。

パラメータをきちんと設定すれば、初心者の方でもストキャスティクスを役立てることができることでしょう。

FX取引においては買われすぎ・売られすぎに注目することはもちろん、ダイバージェンスやゴールドクロスといった現象にも注意を払うことが重要です。

ぜひストキャスティクスを最大限活用して、取引の成功率を高めるようにしましょう。

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