ストキャスティクスは%K・%D・スムージングなど、初心者が扱うには設定が複雑ですが、マスターすれば 初心者でも有利なトレード ができるようになります。
FXストキャスティクスの最適な使い方とは?
ストキャスティクスとは、一定期間中における現在価格までの上昇幅を0~100%の数値に置き換えることで、「買いと売りの強弱」を計るテクニカル指標です。
一言で説明されてもイメージが掴めないと思いますので、まずは下図をご覧ください。
チャートの下部で2本の線が上下に波打っていますが、これがストキャスティクスの指標です。
そして、ストキャスティクスにおける 80%以上・20%以下 がそれぞれ「買われすぎ」「売られすぎ」の範囲となります。
通常、買われすぎた市場では売り圧力がかかりやすく、売られすぎた市場では買い圧力がかかりやすくなります。
したがって、ストキャスティクスが「買われすぎ」を示したポイントが売りシグナルとなり、反対に「売られすぎ」を示したポイントが買いシグナルとなります。
FXストキャスティクスの使い方基本とは?
ストキャスティクスの使い方の基本は 逆張り です。
上図のように、ストキャスティクスの買われすぎ範囲(80%以上)において、%Kが%Dを下抜けるデッドクロスが発生すれば売りシグナルになります。
反対に、売られすぎ範囲(20%以下)で%Kが%Dを上抜けるゴールデンクロスが発生すれば買いシグナルになります。
FXストキャスティクスの最適なパラメータ設定とは?
最適なパラメータを知るには、ストキャスティクスがどのように構成されているのかを知る必要があります。まずは下図をご覧ください。
ストキャスティクスは %K と %D の2本の線によって構成されています。
- %K ⇒ 設定した期間(ローソク足の本数)において直近までの上げ幅が何%なのかを表した線
- %D ⇒ %Kを移動平均化させた線
こちらの画像はFXで人気のプラットフォーム MT4 で表示させた、実際のストキャスティクス設定ウィンドウです。
- 青で囲った%Kの数値 ⇒「ローソク足何本でストキャスティクスを作るか」を設定できます。
- 赤で囲った%Dの数値 ⇒「%Kを何期間で移動平均化させるか」を設定できます。
スローイング1の状態で「ファストストキャスティクス」、2以上の状態で「スローストキャスティクス」と呼びます。
この画像の設定「%K=14」「%D=3」「スローイング=3」はデフォルトで用意されているものですが、実はこれが一番多くのトレーダーに使用されているパラメーターです。
ストキャスティクスと他のテクニカル指標の組み合わせで勝率アップ
ストキャスティクスは直近価格の上がり下がりに素早く反応してくれるので、優位性の高いエントリーポイントを掴みやすいのが特徴です。
しかし、反応が素早い分 だましの売買シグナル も多くなってしまうのがデメリットです。
先述したストキャスティクスの基本「ゴールデンクロス」「デッドクロス」を覚えただけでは、複雑な相場の波に対応するには不十分です。
そこで、ストキャスティクスと相性の良い移動平均線やMACDとの組み合わせ手法を学び、更なる勝率アップを目指しましょう。
基本の組み合わせ!ストキャスティクスと移動平均線
ストキャスティクスの指標だけではトレンドの方向感がつかめないので、「結局買いと売りどっちの方向で攻めたらいいんだろう?」という問題にぶつかります。
それゆえに、トレンドの方向性を教えてくれる 移動平均線 とストキャスティクスは非常に相性の良い組み合わせとなります。
こちらは、実際の相場でストキャスティクスと移動平均線を組み合わせて、優位性の高い売買シグナルを選別している図です。
まずは中期と長期の2本の移動平均線(MA)を表示させ、中期移動平均線でトレンドの方向性を、長期移動平均線でサポート/レジスタンスの位置関係を把握します。
ただし、多くのトレーダーから意識されにくいマイナーな期間設定にすると機能しなくなるので注意してくださいね。
この組み合わせにおける買いと売りの売買シグナル成立条件は以下になります。
買いシグナル | 条件 |
---|---|
成立条件① | ストキャスティクス20%以下のゴールデンクロス(勝率は下がるが20%以上でも使える) |
成立条件② | 中期移動平均線の傾きが上方向になる(上昇トレンドの発生を示す) |
この2つの条件が「同時に揃ったタイミング」で買いエントリーです。
反対に、以下の2つの条件が同時に揃えば売りエントリーです。
売りシグナル | 条件 |
---|---|
成立条件① | ストキャスティクス80%以上のデッドクロス(勝率は下がるが80%以下でも使える) |
成立条件② | 中期移動平均線の傾きが下方向になる(上昇トレンドの発生を示す) |
ちなみに今回、長期移動平均線はシグナル条件に利用していません。
ですが、実際の相場でどのあたりに大口のサポート/レジスタンスがあるのかを把握することは非常に大切ですので、必ず表示しておきましょう。
更なる勝率アップ!ストキャスティクスとMACD
ストキャスティクスの売買シグナルを優位性の高いものだけに絞り込む作業は、 MACD との組み合わせでも可能です。
MACDは2本の移動平均線の乖離幅を元にして作られるテクニカル指標です。こちらにある棒グラフ状のものが移動平均線の乖離幅を示すMACDで、シグナルと呼ばれる線はMACDを移動平均化させたものになります。
ストキャスティクス同様にMACDも「オシレーター系」に属しているため、買いと売りの強弱が転換されるポイントでの逆張りを得意としています。
したがって、上図のように両者における 売買シグナルが同時に重なる地点 には非常に高い優位性が生まれます。
しかし、初心者にとっては負けを減らすことが何よりも大切ですので、時折発生する機会損失に一喜一憂しないように心を強く持ちましょう。
念のため、MACDの売買シグナルも下の表にまとめておきますので、分からない方はしっかりとチェックしてくださいね。
MACD売買シグナル | 条件 |
---|---|
買いシグナル | MACDが下方向に乖離している時に、シグナル線を上抜ける |
売りシグナル | MACDが上方向に乖離している時に、シグナル線を下抜ける |
ネット上では「MACDはトレンドを見ることができる」と言われていますが、実はMACDで正確なトレンドの方向性は見れません。
FXトレードとストキャスティクスの親和性と使用上の注意点
ここまででストキャスティクスの基本から、他のインジケーターとの組み合わせ手法まで一気に学んできました。
最後に、FXトレード全般の復習も兼ねて「勝てるトレードとは何か」を考えてみましょう。勝てるトレードのロジックを再認識することで、ストキャスティクスを利用して「どのタイミングで」「どの方向に」売買を仕掛けるべきかが分かるようになります。
ストキャスティクスの使い方をマスターするために、あと少しだけ頑張りましょう。
勝てるトレードの基本原理
金融トレードとは、「安く買って高く売る」もしくは「高く売って安く買い戻す」ことによって プラスの差額 で利益を得る取引ビジネスです。
したがって、高く買ってしまって安く売ったり、高く売ってしまってもっと高く買い戻したりするとマイナスの差額が発生してしまいます。
つまり、「買いと売りの強弱の転換点」を計ることができるストキャスティクスは、トレードの原理に即したテクニカル指標だと言えますね。
ストキャスティクスの注意点
相場がこれから上がるのか下がるのか、未来は誰にも知ることができません。私たちトレーダーができることはただ一つ、上がるか下がるかの「 予測 」です。
予測である以上は、当たることもあれば外れることもあります。したがって、どれだけ優位性の高い売買シグナルが出ても外れることはあります。
まとめ
今回は、ストキャスティクスと移動平均線・MACDとの組み合わせ手法について解説しました。
最後にもう一点だけ心がけて欲しいことがあります。それは「インジケーターを過信しないこと」です。
トレードにおいて最も優先すべきは、実際のチャート上での値動きです。インジケーターはあくまでもチャート分析の補助ですので、環境認識の基礎を勉強することを忘れないでくださいね。