ボリンジャーバンドのスクイーズとエクスパンションを把握してトレードに生かす方法

FXや株式トレーダーが利益を上げるためにチャート分析は不可欠ですが、確度の高い分析を行うためには様々なインジケーターを利用しなければなりません。

中でも市場の過熱状況を視覚的に捉えることができるボリンジャーバンドは人気の高いテクニカル指標の一つです。ボリンジャーバンドは便利なインジケーターですが、相場の動きによってどのような動きを見せるかを知っておくと、さらに効果を実感できます。

トモヒロ
この記事では、ボリンジャーバンドの3つの状態とトレードに生かす方法について解説します。

ボリンジャーバンドとは

インジケーターとしてボリンジャーバンドを使う場合、どのようなインジケーターなのかをまず知らなければなりません。まずこの記事では、ボリンジャーバンドについて、

  • ボリンジャーバンドのパラメーター設定・使い方
  • ボリンジャーバンドの強み
  • ボリンジャーバンドの弱点

をご紹介します。

ボリンジャーバンドのパラメーター設定・使い方

ボリンジャーバンドなどのインジケーターを用いる場合、パラメーターを設定しなければなりません。パラメーターの設定が適切でないと、チャート分析の精度が下がり必要とする分析結果が出てきません。

ボリンジャーバンドの場合、パラメーターとして重要なのは「移動平均線の期間」と「準偏差」です。

移動平均線は 期間20 の指数移動平均線を使うのがベストです。なぜ期間20の移動平均線なのかというと、世界中のトレーダーの多くが用いている移動平均線だからです。

多くのトレーダーが用いてるパラメーターを自分も用いることで、他のトレーダーが今後どのような動きを取るかを予測するのが容易になります。

さらに標準偏差には±1σ、±2σ、±3σの3種類がありますが、通常 ±2σ を使います。統計上±2σの中にデータの95%が収まるはずなので、相場を分析する際には±2σのラインを考慮すればたいていの状況で相場の分析が行えるのです。

トモヒロ
場合によってはデータの約99%が収まるとされる±3σのラインを使う場合もありますが、基本的には±2σを使えば問題ありません。

ボリンジャーバンドの強み

ボリンジャーバンドの強みの一つは非常にポピュラーなインジケーターである点です。相場がどのような動きを見せるかは、かなりの程度トレーダーの心理が大きく影響しています。

ボリンジャーバンドを使えば、多くのトレーダーと同じチャートの動きを見ることができ、 どのような心理状態かを予測することが可能 です。ボリンジャーバンドを使う事で、他のトレーダーと同じ行動を取ることもできれば、真逆の取引をするためのエントリーポイントを見出すこともできるのです。

さらにボリンジャーバンドは、レンジ相場でもトレンド相場でも利用できるのが強みです。

インジケーターにはトレンド系とオシレーター系という2つの種類がありますが、トレンド相場かレンジ相場のどちらかでしか力を発揮できないものが少なくありません。

しかしボリンジャーバンドは、相場がどのような状態であっても、使い方によって利益を上げられる可能性があるのが大きな利点です。

ボリンジャーバンドの弱点

ボリンジャーバンドには強みがある一方、弱点も存在します。その弱点とは、 遅行指標 である点です。遅行指標とは、相場の動きからやや遅れて動く指標のことです。

ボリンジャーバンドでは終値をデータとして計算しているので、当然終値が決定しなければラインが描写されません。したがって今この瞬間に描画されている相場の状況と、リアルタイムの相場の状況にずれが生じる場合があるのです。

たとえばボリンジャーバンドを見ていて、トレンドが始まったと判断したとします。そこで『買い』や『売り』のポジションを取ったものの、その後の動きでトレンドが終わってしまっていたことが分かるかもしれません。

さらにボリンジャーバンドを使って今後の動きを予測したものの、その予測と異なる方向へ相場が動いたりすることも珍しくありません。

これを『だまし』と呼び、インジケーターを使うトレーダーにとって要注意の現象となります。

ボリンジャーバンドの3つの状態

ボリンジャーバンドを使っているトレーダーの方は、チャートで見られる3つの状態について知っておくことが重要です。その3つの状態とは、

  • スクイーズ
  • エクスパンション
  • 寸胴型

です。それぞれの状態でトレードの手法が異なるので、ボリンジャーバンドを使うのであれば必ず押さえておきましょう。ではそれぞれの状態について解説します。

スクイーズ

スクイーズには、『搾る』という意味があり、ボリンジャーバンドの±1σや±2σのラインが搾られているように狭くなっている状態です。以下の図をご覧ください。

スクイーズ

矢印の部分でボリンジャーバンドが上下から圧縮されるように狭まっていることが分かるでしょう。この状態が『スクイーズ』であり、レンジ相場に入ったことを示しています。

スクイーズを見つけたなら、その後に必ずトレンドが発生するので、トレーダーにとっては大きなチャンスです。しっかりと相場の観察を続け、来たるトレンド発生に備えましょう。

 ただしスクイーズの間は、あまり価格の変動がないため差益を狙う取引を行うのは難しいでしょう。

エクスパンション

エクスパンションとは『拡張』を意味する言葉で、価格が一気にある方向へ動き出す現象を指します。

ボリンジャーバンドのラインが外側へ大きく広がっていき、価格の変動も大きくなっていきます。エクスパンションは、今トレンドが発生していることを示す強いシグナルなのです。以下の図をご覧ください。

エクスパンション

矢印の部分で、スクイーズから一気にバンドが上下に拡張している様子が分かるでしょう。さらにここで重要なのは、 ローソク足が一つの方向に向かって上昇 している点です。

ローソク足が価格変動はあるものの右肩上がりに上昇している点から、この図では強い上昇トレンドが発生してることが分かります。もしローソク足が右肩下がりになっていれば、強い下降トレンドが発生している証拠です。

エクスパンションの発生は順張りの大きなチャンスです。利益を上げやすい現象なので、エントリーのタイミングをしっかり見極めましょう。

さらにエクスパンションにおいて特徴的なのが『バンドウォーク』です。図にあるように、エクスパンションの際に、ローソク足が±1σや±2σのラインに沿って上昇・下降していくことがあります。これをバンドウォークといい、トレンド発生の非常に強いシグナルです。

トモヒロ
バンドウォークが発生しているときには、トレンドをうまくとらえて順張りによって利益を上げられる可能性が高いでしょう。

寸胴型

寸胴型とは、ボリンジャーバンドが寸胴のように平行な状態です。

±1σや±2σのラインが水平に近い状態になっているという点ではスクイーズと似ていますが、寸胴型は バンドの幅が広い という特徴があります。つまりレンジ相場ではあるものの、価格の変動は大きい状態です。以下の図をご覧ください。

寸胴型

矢印の部分では、バンドの幅が広いものの水平に近い状態で推移しています。スクイーズでは差益を狙う取引は困難でしたが、価格変動の大きな寸胴型のレンジ相場では、逆張りによる取引が効果的です。

スクイーズを探してエクスパンションを待つ

ではボリンジャーバンドで見られるこの3つの状態を生かして、どのようにトレードを行えばよいのでしょうか。それは、『スクイーズの次はエクスパンションが来る』という点です。

これは相場の鉄則ですが、相場はスクイーズとエクスパンションの繰り返しです。つまりスクイーズを見つけられれば、その後のエクスパンションで大きな利益を上げられる可能性があります。

とくにスクイーズの期間が長ければ長いほど、その次にエクスパンションが大きなトレンドになる傾向があります。スクイーズの間に力を貯めておき、一度エクスパンションに入ったら一気に拡張に入るイメージです。

ただし注意が必要な点があります。それが『だまし』です。『だまし』とは、トレーダーの予測と相場が異なる動きをすることで、大きな損失を被ることもあります。

スクイーズからエクスパンションになったと思ったら±2σで価格が反転してしまうことは珍しくありません。

 実際相場の約70%はレンジ相場が占めると言われており、エクスパンションだと思ったら『だまし』だったというケースはかなり多いのです。結果的に損切りを連発して損失が膨らんでいってしまう恐れもあります。

『だまし』を避ける方法はいくつかありますが、 ローソク足の上位足に注目 するのは効果的です。

1分足や5分足では長期的なトレンドを掴むことはできません。瞬間的な値動きに惑わされてしまうこともしばしばです。そのため、日足や週足などの上位足を使って長期的な価格の動きを観察し、エクスパンションが始まったかを見極めるとよいでしょう。

エクスパンションの終わりを察知する

前述のように相場は繰り返すので、エクスパンションの次は必ずスクイーズがやってきます。スクイーズはトレードに向いていない相場なので、エクスパンションの終わりを見極めて利確する必要があるでしょう。

ではエクスパンションの終わりはどのように見極めればよいのでしょうか。通常、ブレイクの反対側のバンドが閉じ始めたら、トレンドはいったん終焉に向かうと考えられます。以下の図をご覧ください。

エクスパンションの終わりを察知する

エクスパンションが発生した後、-2σのラインが閉じ始め、若干遅れて+2σのラインが閉じ始めていることが分かるでしょう。このように上下どちらかのラインの拡張が止まり、閉じ始めたときがエクスパンション終了のシグナルです。

もちろんスクイーズに入るように思えて、再度拡張が始まる場合もあります。さらにこの図のようにスクイーズの期間が非常に短く、再度エクスパンションに入る場合もあるでしょう。

トモヒロ
いずれにしても、エクスパンションの終わりが見えたら、利確して次のエクスパンションに備えておくことが重要です。

エクスパンションがわかるインジケーターを使ってみよう

ボリンジャーバンドを効果的に使うためには、 エクスパンションの発生を見極められるか どうかが非常に重要です。

ではどうやって『だまし』を避けながらエクスパンションの発生を感知できるのでしょうか。複数のテクニカル指標を使って相場を分析するのも手ですが、別のよい方法があります。

それは、エクスパンションが分かるインジケーターを使う事です。たとえば、『bollinger_bicolor_histo』はその一つです。

『bollinger_bicolor_histo』は、ボリンジャーバンドの形状によって異なる色のヒストグラムを表示するインジケーターとなっています。ボリンジャーバンドが拡張しているときは緑、収縮を始めると赤、スクイーズや寸胴型の場合には黄色のヒストグラムが表示されます。

これでエクスパンションが発生しているのか、終了したのか、エントリーのタイミングなのかを視覚的に捉えられます。とても便利なインジケーターであり無料でダウンロードできるので、ぜひ利用してみましょう。

まとめ

ボリンジャーバンドを効果的にトレードに生かすためには、スクイーズ、エクスパンション、寸胴型という3つの状態をいつも意識しておかなければなりません。

どの状態で取引すべきなのか、順張り・逆張りのどちらを使うべきなのかを理解するためには、この3つの状態について詳しく知っておくことが必要です。ぜひボリンジャーバンドを上手に用いて、より多くの利益を上げられるようにしましょう。

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