オシレーター系インジケーターであるMACDには、シグナル線とのクロス以外にもダイバージェンス(逆行現象)を利用したエントリー手法が存在します。
MACDってどんなインジケーター?
はい。
ダイバージェンスを理解するためには、MACDの意味や構成について先に知っておく必要がありますね。
MACD とは、株やFXなどの相場分析に使われるテクニカル指標の一つで、トレンドフォローを得意とするトレーダーに多く利用されています。
また、MACDは短期と中期2本の移動平均線の値によって構成されているので、次に発生するトレンドの波を素早く察知できるのが最大の特徴ですね。
ではまず、MACDがどの様な見た目になっているのか下の図を見ながら確認しましょう。
このチャートの下側に水色の棒グラフが表示されているかと思いますが、こちらがMACDの指標になります。
図の中で説明している通り、MACDは 短期EMAと中期EMAの乖離幅 をグラフに表したものになります。
つまり、短期EMAが中期EMAより上に乖離するとMACDの数値がプラス側(0ラインより上側)に振れ、反対に短期EMAが中期EMAより下に乖離するとMACDの数値がマイナス側(0ラインより下側)に振れるようになっています。
従って、2本のEMA同士がクロスする瞬間はMACDの数値も0になります。
また、一緒に表示されているシグナル線とはMACDを移動平均化させたもので、MACDがシグナル線を上抜けると買いサイン、下抜けると売りサインというようにエントリーの判断をするために利用されます。
この様に、MACDは移動平均線を元にして作られているため、最も活用できるのは トレンド相場やトレンド転換の局面 になります。
MACDのダイバージェンスとは
そうですね。
名前だけ聞くとそう感じてしまいますが、実はダイバージェンスを見つけること自体はそれほど難しくありません。
まずは下図をご覧ください。
この様に、上昇トレンドの形成中にローソク足の高値が切りあがっているにもかかわらず、MACDの数値は切り下がっている状態のことをダイバージェンスと言います。
また同じように、下降トレンド中のダイバージェンスについては、ローソク足の安値が切り下がりMACDの数値が切り上がっている状態になります。
結論から言うと、上図のような上昇トレンドの天井で発生したダイバージェンスは売りのサイン、反対に下降トレンドの大底で発生した場合には買いのサインとして活用します。
はい。
ではまず、MACDの数値が何を意味しているのか先述した内容を思い出してみましょう。
MACDとは、短期/中期2本の移動平均線の乖離幅を数値化させたものでしたね。
従って、MACDとは直近の相場における上昇もしくは下降の勢いの強さを数値化したものと言い換えられます。
つまり、上昇トレンド中のダイバージェンスとは、買い支えが入って来ていてローソク足の高値が切りあがっている状態ではあるが、以前よりも買いの勢いが下がってきていることを意味します。
またトレーダー心理の観点から、上昇トレンドの天井付近で買いの勢いが下がり上昇への期待感が薄れてくると、今度は下降トレンドへの転換を期待するトレーダーが増えてきます。
ダイバージェンスを攻略!おすすめFX手法
分かりました。
ここからは、ダイバージェンスを利用した優位性の高いエントリー手法について以下の2つをご紹介しましょう。
- ダイバージェンスを利用したトレンド転換手法
- ヒドゥンダイバージェンスを利用したトレンドフォロー手法
この2つは、上手く扱えるようになれば初心者でも有利なトレードができるようになりますので、是非何度も練習してマスターしてくださいね。
ヒドゥンダイバージェンスについては後程詳しくご説明しますが、トレンドフォローをする際に使われるダイバージェンスの応用手法になります。
ダイバージェンスを利用したトレンド転換手法
まずは、通常のダイバージェンスを利用してトレンド転換の初動を捉える方法について説明します。
上図は、上昇トレンド中に発生したダイバージェンスにおける売りサインを示したものです。
この様に、ダイバージェンスが発生した直後においても、MACDがシグナル線を上下に抜ける瞬間を売買サインとするのが一般的な使い方になります。
また、MACDとシグナル線とのクロスを待っていると、エントリーする前にトレンド転換が起こってしまい置いてきぼりになることも珍しくありません。
ですので、下図のようにシグナル線にタッチした段階でエントリーする場合もあります。
ヒドゥンダイバージェンスを利用したトレンドフォロー手法
続いて、ヒドゥンダイバージェンスについての説明をします。
まずは下図をご覧ください。
ヒドゥンダイバージェンスとは、上昇トレンド中にローソク足の安値が切り上がっているにもかかわらずMACDの数値が切り下がっている状態のことを言います。
また同じように、下降トレンド中にローソク足の高値が切り下がっているにもかかわらずMACDの数値が切り上がっている状態もヒドゥンダイバージェンスになります。
ヒドゥンダイバージェンスの発生は トレンドの継続 を意味しますので、上昇トレンド中であれば押し目買いの合図、反対に下降トレンド中であれば戻り売りの合図になります。
ただし、ヒドゥンダイバージェンスが発生したとしても、そこが必ずトレンドの押し目になるとは限らないので注意してください。
コツとしては、重要な水平線やトレンドライン、ボリンジャーバンドの±2σなど他の押し目買い/戻り売りポイントと重なったところだけにエントリーを絞ると良いですね。
ちなみに、利確についてはMACDを基準にするよりも、直近の最高値(戻り売りの場合は最安値)や重要な水平線の少し手前で利確するのがおすすめです。
また、買いでエントリーした直後に数本の大陽線が出た場合(売りの場合は大陰線)には、欲張らず速やかに利確してしまいましょう。
ダイバージェンスを使った手法の注意点
最後に、ダイバージェンスを利用する際の注意点について説明します。
MACDのダイバージェンスで最も気を付けて欲しい点は以下の2つになります。
- レンジ相場ではMACDそのものが機能しない
- ダイバージェンスはだましが多い
そもそもMACDは移動平均線の乖離幅を元に構成されているため、移動平均線の弱点であるレンジ状態に入ってしまうと相場における買いと売りの強弱を示すことができなくなります。
よって、レンジ相場で発生したダイバージェンスというのは正しいトレンド転換のサインにはなりません。
また、トレンド発生中であったとしてもダイバージェンスが発生した後に必ずしも転換が起こるとは限りません。
というのも、相場というのは「トレンド→レンジ→トレンド→・・・」と繰り返すものなので、ダイバージェンスが発生した直後には転換が起こらず一旦レンジ相場に入ることもよくあります。
従って、ダイバージェンスを利用したトレンド転換は1時間足もしくは4時間足以上の長期足で利用すると良いですね。
更に、「トレンド→レンジ→同じ方向にトレンド継続」というパターンもあるので、ダイバージェンスの転換サインがだましになるケースもあります。
まとめ
さて、今回はMACDのダイバージェンスについて掘り下げて解説してきました。
ダイバージェンスは扱いに慣れるまでは大変ですが、しっかりと習得することで相場の分析能力自体が格段に上がります。
ただし、ダイバージェンスに限らずインジケーターの売買サインに絶対はありません。ですので、ダウ理論や水平線、トレンドライン、他のインジケーターの指標などを組み合わせて総合的にチャート分析をするよう常に心がけましょう。