今回の講座では信用取引に関する情報や知っておいた方が良い知識、そして信用取引倍率を使った買いサインとなる指標について解説していきます。
信用取引とは金融上の信用を使って持っている資金以上の取引を行う、特殊な取引方法の1つです。
金融上の信用度と表記しましたが、簡単に説明すると証券会社からお金を借り、そのお金で投資をすると考えてもらうとわかりやすいと思います。本来投資を行う上では自分の余裕資金で行うのが良いのですが、信用取引を行うことでいくつかのメリットを得ることが可能になります。
信用取引を行うことで得られるメリット
- 持っているお金以上の取引が可能
担保となる口座金額の約3倍まで取引が可能になります。100万円の資金があれば、約300万円までは購入できるということですね。
- 株価下落時にも利益を出せる
通常取引では現物の株式を買ってから売ることしかできませんが、信用取引では売ってから買う「空売り」が可能になります。(手数料はかかります。)
- 株主優待を有利にGETできる
※動画の内容に誤りがありましたので訂正します。 信用株では株主優待はもらうことができません。信用取引での株の保有はあくまで「借りている株」であり、自分名義のものではないからです。株主優待の権利を最大限に得るために現物の株を保有して、その反対売買となる空売りを同時にしかけることで、配当落ち後の下落に備える手法があります。
このようにいくつかのメリットを得ることができます。
特に②のように売りから入ることができるのは大きな点で、前回の講座でも紹介したように買い・売りという両方の作戦を立てることが可能になり、その結果チャンスも2倍となるため勝率アップへと繋がるメリットがあります。
信用倍率を使った買い判断
信用取引に関する知識は上述しましたが、これとは別に証券会社が開示する情報の1つとして信用倍率という数字があります。
ここでは信用倍率の知識と信用倍率を取引に活用する方法を紹介します。
株(銘柄)の信用倍率とは一体なに?
で算出されます。
この信用倍率が高い=信用の買いの残りが多いということになり、その結果「短期的には株価上昇の目安」となり、「長期的には返済時に伴う売りの圧力から株価下落の可能性」があります。
この数値が「1」に近いほど買いと売りの勢力が拮抗していることの裏付けとなり、買いやすい銘柄であると判断することが可能です。
株式銘柄の信用倍率を見る方法
では実際に動画で信用倍率を見てみましょう。証券会社が開示する銘柄の詳細情報には信用売り・信用買いで表記されていますが、この倍率は0.55倍と1倍を切っており信用の売り残りが多いことがわかります。
この場合信用売りの人は いずれ反対売買の買いを行わなければならない ため、将来的には株価上昇の可能性があることがわかります。
しかし短期的に見ると信用売りが多いため株価は下げの傾向が強いことがわかります。
さらには前週比を見てみると売りが減って買いが増えているため、信用倍率は緩和傾向にあるといえ、買いやすい傾向(取組が良い)に変化していることがわかります。
このように信用取引に関する開示情報から、投資家の心理をイメージし判断材料に加えるのが、信用取引倍率を使った買い判断の手法です。
株投資初心者が注意した方が良いケース、逆日歩など
信用取引はどの銘柄でもできるわけではなく、条件をクリアした銘柄だけが可能です。例えば動画の銘柄の場合信用買いは可能ですが、信用売りはできない銘柄であることがわかります。
そのため信用倍率は画面上に表示されておらず、こういった売りができないといった銘柄は今回の判断材料の参考にはならないということは覚えておきましょう。
また「逆日歩」といってあまりに信用取引で空売りをしたい人が多くて、株数が足りなくなってしまう場合に手数料として「逆日歩」がつく場合があります。この名の通り日毎につく手数料ですので、非常に危険です。必ず空売りをする前に逆日歩がついているかどうかの確認をしましょう。
判断材料のメインはあくまでも75日線を中心として移動平均線ですが、この信用倍率も投資家の心理をイメージできる指標として活用してみてください。