ボリンジャーバンドを正しく使いこなすことができれば、相場の環境認識からエントリー/利確のタイミングまで幅広い分析に役立ちます。
ボリンジャーバンドの特徴とは?
そうですね。
一言で言うと、ボリンジャーバンドとは トレンドの発生・継続・終了のタイミング が一目で分かるトレンド系と呼ばれるテクニカル指標です。
一般的に、FXや株式投資では以下の手順で相場分析をして売買を行います。
- 「環境認識」
- 「タイミング待ち」
- 「エントリー」
- 「利益確定」
これだけだとイメージが付きにくいのでもっと詳しく説明すると、以下6段階の手順で分析していきます。
- 現在はトレンド発生中なのか、又はレンジ状態なのか
- トレンドの方向性は上下どちらなのか
- 現在のトレンドは継続しそうなのか、又は終了しそうなのか
- 継続しそうな場合、次の波の発生タイミングはいつなのか
- 終了しそうな場合、転換はいつ起こるのか
- エントリー後の利確ポイントはどの辺りになるのか
実は、ボリンジャーバンドはたった1つの指標だけでこの1~6段階の分析を全て完結できる大変優れたインジケーターなのです。
また、後程詳しくご説明しますが95.4%の確率で価格が収束するとされる±2σ(シグマ)の利用価値が大変高いので、その信頼性から利用するトレーダーが多いのも特徴です。
ボリンジャーバンドの基本構成と見方
それでは早速、ボリンジャーバンドの基礎となっている各ラインの読み方や意味について確認していきましょう。
ボリンジャーバンドを実際のチャートに表示させると下の図のようになります。
ローソク足に沿って5本の線が帯状になって推移していますが、これが ボリンジャーバンド です。
それぞれ、一番外側にある上下の線を±2σ(シグマ)、それより一つ内側にある緑色の点線で表示された2本を±1σ、真ん中のラインをミドルラインと呼びます。
ミドルラインとは、一定期間における価格の平均値を繋げてラインにしたもので移動平均線と同じものになります。
σとは「シグマ」と読み、統計学で言うところの「標準偏差」と呼ばれるものです。ボリンジャーバンドにおける±1σや±2σとは、そのバンド内において一定の確率で価格が収束することを意味します。
- ±1σ = 68.3%の確率で価格がこのバンド内に収束する
- ±2σ = 95.4%の確率で価格がこのバンド内に収束する
- ±3σ = 99.7の確率で価格がこのバンド内に収束する
ボリンジャーバンドの標準偏差とは?
ここからは統計学の少し難しい話になりますが、ボリンジャーバンドの使い方を誤解してしまうと負けトレードにハマることもあるので頑張って付いて来てくださいね。
まず標準偏差とは一言で言うと、ある対象からサンプルデータを取り出して平均値を割り出し実データとのばらつきを数値化したもので、以下の数式で計算されます。
そして、この計算式で求められた数値を 正規分布 と呼ばれる確率分布の法則に当てはめると以下のようになります。
- 68.3%の確率で対象値のばらつきが標準偏差 ±1σ 内に収束する
- 95.4%の確率で対象値のばらつきが標準偏差 ±2σ 内に収束する
- 99.7%の確率で対象値のばらつきが標準偏差 ±3σ に収束する
要するに、ボリンジャーバンドに置き換えて簡単に説明すると、実際の市場価格が20期間の平均値からどの程度の範囲内においてどのくらいの確率でばらつきを帯びるのかを表しているものが標準偏差(σ)です。
まれにこのような解説をしているネット記事を見かけますが、ここまで説明してきた通り標準偏差とはランダムにばらつく数値の収束率を表しているに過ぎません。
「収束」と「反転」では全く意味が違ってきますので ボリンジャーバンドは基本的に逆張りの指標にはなりません 。
ですので、「+2シグマにタッチしたから反転の合図だ!逆張りで売りエントリー!」というような短絡的なトレードだけはしないように気を付けましょう。
ボリンジャーバンドの基本パターン
ここまでの説明で、ボリンジャーバンドの基礎構成についてはしっかりとご確認いただけたでしょうか。
実は、ボリンジャーバンドの形状変化には特定のパターンが存在し、そのパターンを利用してトレンド/レンジなど相場の環境認識をしたり、エントリー/利確のタイミングを判断することができます。
この章からは、実際のチャート分析に利用するための方法について解説していきますので、是非細部まで読み込んでご自身のトレードに活かしてくださいね。
以下に、チャート図と表を使って最も重要な3パターンをご紹介します。
基本パターン | 説明 |
---|---|
スクイーズ | ボリンジャーバンドが収縮すること。相場がレンジ状態であることを示す。 |
エクスパンション | ボリンジャーバンドが拡大すること。相場のレンジ状態がブレイクしたことを示す。 |
バンドウォーク | ローソク足が±2σに張り付いて一方方向に価格が推移している状態のこと。トレンド発生を示す。 |
(収縮→拡散→収縮と繰り返す場合もある)
つまり、ボリンジャーバンドを正しく使うことができれば相場の次の動きが大変読みやすくなり、勝ちやすい有利なポイントに絞って売買ができるようになるのです。
ボリンジャーバンドの活用法
はい。
ですがその前に、絶対に覚えておいてほしい前提知識が一つだけあります。
それは、開発者ジョン・ボリンジャーも本人の著書の中で解説している通り「ボリンジャーバンドは順張り指標である」ということです。
簡単に言うと、バンドウォークなどのトレンド発生を狙う局面に利用するのが正しい使い方であり、ボリンジャーバンドのバンド内で小さな売り買いを繰り返すようなレンジ内での逆張り取引に使うべき指標ではありません。
それでは、前提知識をしっかりと踏まえたところで具体的なエントリー/利確の方法をご紹介しましょう。
ボリンジャーバンドを利用したトレンドフォロー
まずは、ボリンジャーバンドを利用して上昇トレンドの押し目や下降トレンドの戻りを狙ったエントリー/利確方法について解説します。
下図は上昇トレンドの発生直後、 トレンド2波の押し目を狙う局面 です。
まずは図の中の①をご覧ください。
ここでは上昇のバンドウォークが発生しており、上昇トレンドが発生し多くのトレーダーが買いで参入しているのが分かりますね。
次に、②の場面では一旦上昇の流れが終了してボリンジャーバンドの-2σまで押し戻されましたが、すぐに買い支えが入り価格が再度上昇を始めています。
そして、下髭を付けながらローソク足の実体がミドルラインの上側で停滞しはじめた③の辺りが絶好のトレンドフォローの押し目買いポイントとなります。
今回はバンドウォークが発生して上昇トレンドが再開しましたが、ローソク足が +2σの内側で明確に収束 するようであれば微益(または建値)で決済して逃げてしまっても良いですね。
利確についてはバンドウォークの終了に合わせて行うのが基本なので、上図の青い線で四角く囲った部分のように、ローソク足陰線の実体で+1σを明確に下抜けたあたりで判断するのがおすすめです。
ちなみに、下降トレンドの戻り売りに関してもこれと全く反対の考え方で再現可能です。
よく見てみると下降のバンドウォークが形成されかけているのが分かると思います。
つまり、「ボリンジャーバンドの+2σタッチで逆張りエントリー」という手法では運よく反転してくれれば大底からごっそり利益を取れますが、下降のバンドウォークが発生してしまう可能性も高いので「バンド内ぎりぎりで収束しながら」一方的に逆行されてしまい大きな損失に繋がります。
ボリンジャーバンドを利用したトレンド転換
それでは、ボリンジャーバンドを利用して トレンド転換の始まりを狙う手法 についてご説明します。
まずは下図をご覧ください。
①で囲った期間を観察すると、価格がボリンジャーバンドの+2σにタッチしてバンドウォーク発生に何度も挑戦しているのが分かります。
しかし、次の②や③の場面では+2σに届かずにミドルラインより下側でローソク足が推移するようになっていますね。
つまり、①の状態から②や③へと相場状況が変わり始めたあたりが、上昇から下降へとトレンド転換が最も起こりやすい瞬間となります。
また、利確に関しては先述したバンドウォークの終了に合わせて決断していただければ問題ありません。
ちなみに、下降から上昇へのトレンド転換に関してもこれと全く反対の考え方で利用が可能です。
MT4でのボリンジャーバンドの設定方法
それでは最後に、現在最も人気の高い取引プラットフォーム MT4 を利用したボリンジャーバンドの表示/設定方法とおすすめの設定値について解説します。
ボリンジャーバンドは大変シンプルなインジケーターであり差ほど扱いは難しくありませんので、最後まで頑張ってついてきてくださいね。
また、大抵の取引プラットフォームはどれも扱い方が似ておりMT4を利用していない方にとっても為になる内容なので、是非最後までチェックしてみてください。
MT4の表示/設定方法とおすすめの設定値
まずはMT4を立ち上げてお好みの通貨ペアを開いてください。
次に、チャート上部のメニューにあるインディケーターリストのアイコンから「トレンド→Bollinger Bands」とクリックしていきます。
そうすると、上のようなボリンジャーバンドの設定ウィンドウが表示され、デフォルトで適正な設定値も入力されているのでそのままOKをクリックすればすぐに表示が可能です。
ちなみに、赤で囲った「期間」の設定値がミドルラインの期間設定であり、この場合は ミドルライン=20期間移動平均線 ということになります。
その下の「偏差」がメインで表示する標準偏差のことで今回の設定値は「2」なので±2σを表示するという意味になります。
さらにその下にある「スタイル」では線の色や形状、太さのカスタマイズが可能です。
そして、上の設定のままOKをクリックするとこのように±2σとミドルラインのみのボリンジャーバンドが表示されます。ボリンジャーバンドで最も重要なのは±2σですので、これだけで利用しているトレーダーも数多く存在します。
ただ、初心者には±1σも同時に表示しておくことをおすすめしているので、以下の手順で追加の設定をしていきましょう。
チャート上で右クリック→表示中のインディケータ→Bollinger Bands→編集とクリックして進むと先ほどの設定ウィンドウが表示されるので、そこから更にレベル表示のタブを開きます。
この時、レベル設定の部分は空欄になっているはずなので、追加をクリックして表示された枠内に「0.5」と「-0.5」のレベル設定をそれぞれ追加していきます。
(2×0.5=1、2×-0.5=-1なので±1シグマが表示される)
その下の「スタイル」では、追加した設定(今回は±1σ)の色と形状をカスタマイズできます。
必要な設定が終わったらOKをクリックすると、下のように±1σをセットにしたボリンジャーバンドがチャートに表示されます。
ちなみに、「1.5」と「-1.5」のレベル設定を追加すると ±3σの表示も可能 です。
ただ、僕の経験上ボリンジャーバンドの±3σは利用頻度が低い上に表示するとかえってチャートが複雑になりすぎてしまい、初心者にとってはデメリットになるので表示することはおすすめしていません。
まとめ
今回はボリンジャーバンドの基本構成や見方、表示方法、初心者でも扱いやすく勝ちやすいトレードでの活用方法について解説してきました。
ここまでで何度も繰り返しお伝えしておりますが、ボリンジャーバンドは順張りで利用するテクニカル指標です。
ですので、トレードを始めた初心者の方やトレードに慣れてきた中級者の方であっても、±2σタッチで安易に逆張りするような利用はくれぐれも避けるようにして下さいね。