ボリンジャーバンドをFXのスキャルピング手法で効果的に使う方法

FXや株式トレーダーはチャート分析をする際に、様々なインジケーターを利用されていると思います。中でも視覚的に売られすぎ、買われ過ぎを判断できるボリンジャーバンドは人気の高いものです。

トレーダーの中には、 スキャルピング手法(スキャル) をされる方もいると思いますが、テクニカル指標を使う方法や注意点について十分に知っておく必要があります。

トモヒロ
この記事では、どのようにボリンジャーバンドをスキャルピングで使えるか解説します。

ボリンジャーバンドの使い方は?どんなインジケーター?

ボリンジャーバンドをスキャルピングで使うためには、そもそもボリンジャーバンドがどのようなインジケーターなのかを知らなければなりません。

まずこの記事では、ボリンジャーバンドの概要について、

  • ボリンジャーバンドとは
  • ボリンジャーバンドのパラメーター設定・使い方
  • ボリンジャーバンドの強み
  • ボリンジャーバンドの弱点

をご紹介します。

ボリンジャーバンドとは

ボリンジャーバンドとは、アメリカの投資家であるジョン・ボリンジャーが考案したインジケーターで、移動平均線と標準偏差を用いて相場を分析するものです。

ボリンジャーバンドを使った分析

標準偏差とは『σ(シグマ)』で表され、データのばらつきを表します。ボリンジャーバンドでは±1σだけでなく、±1σの値を2倍、3倍にした±2σや±3σも併せて用いられます。

ボリジャーバンド収まる確率

標準偏差σは統計学で用いられる考え方であり、データの 95.45% は±2σの範囲内に収まります。したがって相場が±2σから外れれば、高い確率で範囲内に収まろうとする力が働くと考えられるでしょう。

POINT
ボリンジャーバンドは、近い将来、相場がどのように動くかを予測して、利益を上げるのに適したテクニカル指標です。

ボリンジャーバンドのパラメーター設定・使い方

ボリンジャーバンドを使う場合、パラメーターの設定はとても重要です。パラメーターの設定を間違えると、チャート分析の精度が下がってしまいます。

ボリンジャーバンドの場合、設定すべきパラメーターは「移動平均線の期間」と「標準偏差」です。

一般的に移動平均線は 期間20 の指数移動平均線を使うと良いとされます。期間20の移動平均線は、日本でも海外でもトレーダーの心理を知るうえで有効であるとされているからです。

さらに標準偏差は通常 ±2σ を使います。統計上±2σの中にデータの95%が収まるはずなので、相場を分析する際には±2σが有効です。場合によっては±3σを使う場合もありますが、基本的には±2σを使えば問題ありません。

ボリンジャーバンドの使い方は順張り・逆張りの両方が考えられます。

順張りは相場の動きに沿ってトレードしていく方法です。『買い』や『売り』のシグナルを見逃さないようにし、タイミングを見極めてポジションを取らなければなりません。

順張りはシグナルの回数が少ない一方で、一回にあげられる利益が大きいと言われています。さらにトレンド発生時の押し目買いや戻り売りも効果的なトレード方法です。

一方、逆張りは相場の動きとは逆のポジションを取る方法で、ボリンジャーバンドは逆張りでも有効です。売られすぎや買われすぎのシグナルをキャッチして、その後の価格の反転を狙います。

ボリンジャーバンドの強み

ボリンジャーバンドの強みはいくつかありますが、一つは非常に大勢のトレーダーが利用している点です。

相場は人の心理が大きく影響します。ボリンジャーバンドを使う事で、 多くのトレーダーの心理を読み取る ことができます。

より多くの人が利用しているインジケーターを使う事で、他のトレーダーと同じ行動を取ることもできれば、真逆の取引を行うチャンスも見いだせるでしょう。

さらにボリンジャーバンドは、レンジ相場でもトレンド相場でも利用できるのが強みです。インジケーターの中には、どちらかの相場でしか力を発揮できないものが少なくありません。

トモヒロ
しかしボリンジャーバンドは、相場がどのような動きをしていても利益を上げられる可能性があるのが大きな利点です。

ボリンジャーバンドの弱点

一方でボリンジャーバンドの弱点は、 遅行指標 である点です。遅行指標とは、相場の動きから遅れて動く指標のことです。

仕方ないことですが、ボリンジャーバンドを含む多くのインジケーターは終値が決定しなければ描写されないものです。

つまりトレンドが始まったと判断して『買い』や『売り』のポジションを取るとトレンドが終わってしまったり、予測と異なる方向へ相場が動いたりすることがよくあるのです。

 これを『だまし』と呼びますが、ボリンジャーバンドに限らず多くのインジケーターが抱える問題です。

ではボリンジャーバンドはスキャルピングに使えるのでしょうか。
結論は、『使えます』。

ではボリンジャーバンドをスキャルピングで使う方法を見ていきましょう。

ボリンジャーバンドをスキャルピングに使うメリット

ボリンジャーバンドをスキャルピングで使う事には多くのメリットがあります。たとえば、

  • 相場の過熱感が測れる
  • トレンド発生が読み取れる
  • レンジ相場がわかる

などです。ではそれぞれのメリットについて簡単に見ていきましょう。

相場の過熱感が測れる

ボリンジャーバンドをスキャルピングで使う1つ目のメリットは、『相場の過熱感が測れる』というものです。

ボリンジャーバンドでは、今の相場が『買われすぎ』なのか『売られすぎ』なのかを簡単に見極めることができます。これはスキャルピングでは非常に重要なポイントです。

スキャルピングは短時間でポジションを決済するトレード方法であるため、今の相場が買われ過ぎであれば『売り』ポジションを取って価格が下がったところで決済、あるいは売られすぎの相場で『買い』ポジションを取って価格が反転したところで決済といった取引が行えます。

さらに売られすぎになっている状態で価格が反転する前に、今の『売り』ポジションを決済するという判断もできるでしょう。

トレンド発生が読み取れる

ボリンジャーバンドの別のメリットは、『 エクスパンション 』によってトレンドの発生が読み取れることです。

エクスパンションとは、以下の図のようにボリンジャーバンドの±1σ、±2σ、±3σのラインが移動平均線から見て外側に広がっていく現象です。

エクスパンション

つまり価格のばらつきが大きくなっていっている証拠で、 トレンド発生の一つの目安 となります。

エクスパンションが発生すると、ローソク足がバンドに沿って推移する『バンドウォーク』が見られることもあります。これはトレンド発生の強いシグナルであり、順張りで利益を上げられる可能性が高い状態です。

レンジ相場がわかる

ボリンジャーバンドでは、トレンドの発生と同じ原理で レンジ相場の発生 も見分けられます。

トレンド相場が終わりレンジ相場に入ると、バンドの幅が狭くなります。さらに価格が±1σの間で推移することが多くなり値動きが小さくなるのもレンジ相場の特徴です。価格のばらつきが少なく、一定期間同じような始値や終値が続きます。

レンジ相場ではボリンジャーバンドを使った逆張りが有効です。

ボリンジャーバンドを使った勝率の高い手法

ボリンジャーバンドを使ったスキャルピングを成功させるためには、勝率の高い手法を知らなければなりません。ボリンジャーバンドを使ったトレードの手法は主に、

  • 順張り
  • 逆張り
  • 押し目買い、戻り売り

の3種類です。ではそれぞれのトレード方法について見ていきましょう。

順張り

順張り』とは、トレンド発生時に、そのトレンドに沿った取引をする方法です。たとえば相場が上昇トレンドにある時には『買い』、下降トレンドにある時には『売り』のポジションを取ります。

スキャルピング初心者の方でも取り組みやすいトレード方法で、多くのトレーダーが実践しています。

とくに重要なのが『バンドウォーク』です。±1σや±2σのラインに沿ってローソク足が推移する現象で、トレンドが発生している強いシグナルです。バンドウォーク発生時にそれに沿って順張りの取引を行えば、スキャルピングで利益を上げられる可能性が高くなるでしょう。

さらに 順張りの方がリスクが少ない というメリットもあります。順張りの場合、損切りや利益確定の見極めも比較的簡単です。

たとえば相場が上昇トレンドに入った時に『買い』ポジションを取ったとします。価格の上昇が止まり、下落に転じたと判断した時が利益確定のタイミングです。

スキャルピングの場合、利益幅が小さくても取引を繰り返すことで大きな利益を得ていくことができます。

トモヒロ
そのため買いポジションを持っていて5pips程度の価格下落があった場合には損切りしてしまった方がよいかもしれません。ダメージを最小限に抑え、次の取引で利益を上げれば問題ないのです。

逆張り

逆張りとは、相場の動きとは異なる方向の取引を行うことです。

たとえば価格が上昇トレンドの場合には『売り』、下降トレンドの場合には『買い』ポジションを取ります。価格の反転を狙った取引方法で、相場をしっかり分析することが非常に重要です。

スキャルピングの場合、ローソク足が±2σや±3σに触れたときがエントリーのサインです。とくに ±3σのライン に触れた時に注目します。

統計学上、データが±3σの範囲内に収まる確率は約99%です。したがって±3σのラインにローソク足が触れたら、かなりの確率で価格が反転すると考えられます。そこで価格が反転したらすぐに利益確定をします。

ローソク足と±3σのラインの関係を見ていればよいので、とても有効なトレード手法です。

 逆張りのエントリーのサインは比較的頻繁に発生するので、利益確定も損切りも時間をかけずに決済する方がよいでしょう。時間をかけると損失が膨らんでしまう恐れがあります。

押し目買い、戻り売り

押し目買いと戻り売りとは、トレンドが発生している時に一時的に起こる価格の反転です。

たとえば上昇トレンドによって価格が右肩上がりになっているとします。すると多くのトレーダーは、利益を確定しようと売りに走ることがあります。この時に発生する一時的な価格の反転が押し目買いのチャンスです。

価格は下がるものの、その後再度上昇を始める可能性が高いので『買い』ポジションを取ります。逆に下降トレンドの際に一時的に発生する価格の上昇を利用するのが戻り売りです。

これを利用してスキャルピングで利益を上げるためには、ボリンジャーバンドのセンターバンドと±1σ、±2σのラインに注目します。

バンドウォークが発生し上昇トレンドになると、多くの場合ローソク足は+1σと+2σの間を推移していきます。押し目買いのポイントは、 価格が下落してセンターバンドに触れたとき です。

ここで本当に押し目買いのポイントであれば、価格が再度上昇します。+1σを超え、+2σのラインに触れたら決済です。一方トレンドが終わり、エントリーから価格が下がり続けた場合には、-1σで損切りすると損失を最小限に抑えられます。

 予測した方向に相場が進まなかった場合には、できるだけはやく損切りするのがベストです。

ボリンジャーバンドを使うスキャルピングの注意点

ボリンジャーバンドを使ってスキャルする場合、いくつかの注意点があります。それは、

  • センターバンドの角度
  • 決済を先延ばしにするのは危険
  • だましに気を付ける

の3つです。ではそれぞれの注意点について見ていきましょう。

センターバンドの角度

スキャルピングで注意すべき点の一つが センターバンドの角度 です。センターバンドとは、ボリンジャーバンドの真ん中にある移動平均線のことです。

この角度が右肩上がりか、右肩下がりかによってその後の相場の動きが左右されます。センターバンドが右肩上がりの場合、相場は上昇傾向にあり、その後下落していく可能性が高いといえます。

一方でセンターバンドが右肩下がりであれば、現在の相場は下落傾向であり、その後上昇に転じる可能性が高いといえるでしょう。このセンターバンドの動きを参考に取引を行う必要があります。

決済を先延ばしにするのは危険

続いてスキャルピングでの注意点は、 決済を先延ばしにしてはいけない ということです。

スキャルピングは、短時間で決済することを前提にトレードを行わなければなりません。

 決済を先延ばしにすると、どんどん損失が膨らむ恐れがあります。さらにせっかく含み益が出ていたのに、利益が少なくなったりまったくなくなってしまったりするかもしれません。

利益が出ても損失が出ても、短い期間で決済を行い、小さな利益を積み重ねるようにしましょう。

だましに気を付ける

ボリンジャーバンドに限りませんが、インジケーターを利用する場合には だましに注意 しなければなりません。

だましを回避するもっとも効果的な方法は、複数の時間軸やインジケーターを組み合わせて使うことです。

たとえば別の時間足のローソク足を使ってみる、オシレーター系のインジケーターを使ってみる工夫をすることで、だましを避けられます。

トモヒロ
ボリンジャーバンドだけでスキャルピングするのではなく、別のインジケーターも使ってより確度の高い分析を行いましょう。

まとめ

ボリンジャーバンドはスキャルピングにおいてもとても有効なインジケーターです。ただしスキャルピングでは利益確定や損切りのタイミングが難しいので注意しましょう。

複数のインジケーターを併用して、より正確な相場の分析を行うとともに、小さな利益を積み重ねる手法で勝率を上げていきましょう。

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