スワップポイントの中身
金利差をうまく利用する
通常のFX取引は、為替の売買差益によって利益を上げていきます。
しかし、スワップポイントは、この売買差益という方法ではなく、高い金利の通貨を買い、低い金利の通貨を売ることで利益が発生します。
二つの国の通貨で為替取引をすれば、一方の国の通貨が高く、もう一方の国の通貨は低くなります。日本とアメリカの例を使い説明してみます。
日本の金利を1% 、アメリカの金利を2%と仮定してみます。そうすると金利差は2%です。
この時、日本円を売却、そして米ドルを買います。そうすることでスワップポイントがもらえる仕組みになっています。
一般的なFX取引というのは、通貨を安い時に買い、高くなった通貨を売ることで利益を手にすることができます。
ここが一般的なFX取引と根本的に違うところになっているのです。
ポイントをプラスにするには?
スワップポイントというのは、一旦、利益得られると毎日それが積み重なっていきます。年間にすると配当は結構いいものになる可能性があります。
しかしながら、ポイント獲得数というのは、取引会社によってポイント数が異なっています。
「SBI FXトレード」は、業界ではトップレベルのポイント数になっています。一方、「みんなのFX」は、平均的なポイント数として知られています。
それでは実際に取引されていた事例を見ていきましょう。
4年前のジャパンネット銀行の取引事例です。豪ドルと日本円の取引です。単位は1万通貨です。
日割りのスワップポイントは約45円。これを年間換算すると16,000円ほどになります。
ニュージーランド・ドルとの比較では、1日あたりスワップポイントは約60円。年間では22,000円ほどになっています。
対米ドルと比較すると、年間のスワップポイントは 約1,100円になっていました。
豪ドルやニュージーランド・ドルは金利が高いため、米ドルと比較すればどうしても高くなってしまいます。
また、今回は1万通貨を単位としていますが、この通貨単位が高ければそれだけ一年間に得られる 利益 は当然高くなります。
ポイントがマイナスになる仕組み
これは今まで説明してきた通りです。ところが高い金利の通貨を売り、安い金利の通貨を買ってしまうと、逆にスワップポイントを払わなければなりません。
要するに利益の損失が発生することになるのです。
各国の金利はその国の政策決定により変わります。国際政治や各種の経済指標などにより市場での金利は常に動いています。
国の金利が高い安いというのは、あくまでその国の政策金利が目安になっています。
政策金利通りに実際の金利が確定するわけでないため、政策金利の高い国の通貨を買っても、もしその国の通貨が暴落すれば大損を抱えてしまうことになるのです。
すなわち為替レートというのは常に一定ではなく、変動していることを頭に入れておかなければなりません。
政策金利が高い国としては、メキシコ・リラやトルコ・ペソが有名です。
これらの国は政策金利が6~7%ありますから、日本の低金利に比べれば破格の金利です。
いくら日本より政策金利が高くても、政治や経済の状況により為替が暴落すればスワップポイントを払うことになり、結果的に大きな 損失 が発生することになります。
ここはすごく重要な部分です。
このためスワップポイントをはじめる時には、くれぐれも日々の社会情勢を確認しながら取引することが必要になります。
お勧めできる通貨
親しみやすい米ドル
米ドルは日本人にとってとても親しみやすい通貨です。
旅行やビジネスでアメリカに渡航する日本人が多いため、米ドルはおそらく特に身近な外国通貨ではないでしょうか。
その米ドルに影響を与えるアメリカの政策金利は、ここ最近2%前後で推移しています。
直近の2019年の12月には2%を切って1.75パーセントとなっていました。
スワップポイントに米ドルを選択した場合、得られる利益はあまり多くはありません。
上記で示した2015年のジャパンネット銀行の取引でも1年間通してのスワップポイントは1200円あまりでした。
これは1万通貨単位を基準にしていますから、これを10万、もしくは100万単位にすれば得られる利益はもっと増えていきます。
しかしながら米ドルとの取引では金利差が少ないため収益率で言えばあまり期待できないのも事実です。
ただ、金利差が少なく収益率が劣っていても、米ドルでの取引は 初心者にはお勧め できると考えています。
その理由はアメリカの政策金利の動向が比較的読みやすいからです。日本人にとってアメリカはかなり馴染みの深い国だからです。
日本の外交や経済はアメリカが基準になっています。私たちが日頃から見聞きするニュースもアメリカ発のものがたくさんあります。
ニュースの情報量で行ったらアメリカのニュースは外国の中で突出して多くなっています。
このためアメリカの経済情勢や国内政治、または軍事を含む外交などのニュースはいち早く伝わり、これらが及ぼす為替レートにも私たちは敏感に反応することができます。
トルコ・ペソで高配当を狙う
スワップポイントを利用する人にとってトルコ・ペソは人気の通貨です。理由はズバリ 政策金利が高い ことです。
2019年の前半は24%と高利率を誇っていました。12月になると年初よりも半減して12%で推移しています。
政策金利のぶれ幅は大きいものの、高い金利であることは投資家にとってすごく魅力的に映るようです。
トルコという国は、地政学上ヨーロッパとアジアに挟まる場所に位置します。 イランやシリアにも隣接する国として中東に大きな影響を与えています。
今、中東はイランの核疑惑をめぐり、アメリカとの間で対立が起きています。軍事衝突の可能性があることから、国際政治の話題が中東に集まっています。
その混乱する中東においてトルコの存在に視線が注がれています。情勢不安定なこの地域でトルコが和平の橋渡しになるのではないかと期待されているのです。
トルコの外交で中東地域が安定化する方向となれば、トルコの金利は上昇します。
しかし、一段と情勢が不安定となればトルコの為替レートは大きく乱高下します。
トルコの政策金利は世界の中でもかなり高い水準にありますが、状況が変われば金利が大幅に下がり、スワップポイントを払うことになりかねません。
とはいっても投資家にとって、トルコ・ペソは高金利の通貨であるため、これからも高配当を狙うスワップポイントとして人気は続いていきそうです。
メリット・デメリットのまとめ
金利差を利用しての取引ですから、高い金利の国を目印として取引を開始すれば無難に始めることができます。
スワップポイントのメリット、デメリットというのは、端的に言うと利益をあげられるか、または損失がふくらむかのいずれかに収斂されます。
高い金利の通貨を買ってしまい、そのまま金利が維持されればいいですが、金利が下がれば大きな負債を抱えることになります。
米ドルなどはその一例と言え、過去2、3年の各国の政策金利を参考にしながら、乱高下のブレ幅が少ない通貨を選択することが、スワップポイントの賢い利用方法と言えるのではないでしょうか。