FXや株の取引では、チャートを分析して現在の市場の動きや将来の動きを把握・予測することが非常に重要です。
チャートの分析や市場の予測に役立つのがローソク足であり、その ヒゲ はさまざまなことをトレーダーに教えてくれます。
ローソク足のヒゲの意味とは?
ヒゲの意味を知るためには、まず各パーツの名称や意味を知らなければなりませんね。以下の図で一般的なローソク足が理解できます。
まず特定の期間が始まった時の値(始値)から終わった時の値(終値)が上がっている場合には『 陽線 』と呼ばれます。
一方トレーダーが設定した期間が始まった時の値よりも終わった時の値の方が下がっている場合、『 陰線 』と呼ばれます。
続いてローソク足には『実体』と『ヒゲ』というパーツがあります。『実体』とは、トレーダーが設定した期間が始まった時の値と終わった時の値によって囲まれた四角い部分のことです。
一方『ヒゲ』とは、 実体の上下から出ている細い線 のことを指します。
胴体の上から出ているヒゲはその期間でもっとも高い値を、逆に下のヒゲはその期間でもっとも安い値を表します。
長いヒゲが出たら注目
トレーダーが特に注目するのはローソク足の『実体』の部分ですが、『ヒゲ』にも注目することでより一層多くのことをチャートから読み取れます。
トレーダーがチャート分析を行う上で、ヒゲは欠かせない要素となります。とくに、 長いヒゲ が出たら注目すべきです。
上下に長いヒゲが出てくるということは相場が大きく動いたことを意味しています。というのは上下に伸びたヒゲはトレーダーが設定した期間内の高い値と安い値を示しているため、長いヒゲはその期間内に大きく価格が上がった、もしくは下がったことを表します。
一時的に大きく価格上昇もしくは下落したものの、最終的には反対の勢力に引き戻されて終値に落ち着いたという状況です。さらにここで多くの投資家の心理を考察すると、どのような取引をすればよいかが見えてきます。
たとえば以下の図をご覧ください。
②と③の部分では長い下ヒゲが出ています。これは一時的に価格が大きく下がったことを意味しています。
すると投資家の多くは『これ以上の価格の下落はないのではないか』と考えてロングでのエントリーチャンスを探ります。つまり黄色の線がいわば「 下値の支持線 」として機能しているのです。実際その後大きく価格上昇に転じています。
逆の場合も同じく、長い上ヒゲが抵抗線として働くことは少なくありません。さらに下降トレンドの中で長い下ヒゲが出た場合、上昇トレンドへの転換の可能性があることも重要なポイントです。
これは、相場が急激な価格上昇や下落を見せた場合、逆方向に引き戻す力が働くことによって起こるものです。
これは世界中のトレーダーの心理も大きく関係しています。実際③の部分で長い下ヒゲが出たあと、上昇トレンドが発生していることが分かるでしょう。
加えて長い上下のヒゲが出た場合、それまでの大きな流れが終了する合図ともなり得るので、エントリーできるチャンスとなります。
もちろん長いヒゲが出たからといって必ず支持線・抵抗線になったり、トレンドが転換するというわけではないので、他のボリンジャーバンドやRSI,ストキャスティクスなどの 「インジケーター」を併用 しながらチャート分析を行いましょう。
その他ローソク足の形状から分かる売買サイン
トレーダーが効果的な取引を行う上で、ローソク足は非常に役立つ指標です。少しでも利益を上げられる確率を高めるために、形状によって分かるエントリーのポイントについて見ていきましょう。とくに重要なのが、
- 上影陰線
- 陽の丸坊主
の2つです。
上影陰線
上影陰線とは、 上ヒゲの長い陰線 のことです。上ヒゲが胴体と下ヒゲを合わせたものよりも長い状態を指します。
一時的に価格上昇が起こったものの、その後『売り』の圧力が強まり、最終的にその期間が始まった時の値よりも低い価格で終了したことを意味しています。
強い『買い』に抵抗されたものの、売りの勢力が買った状態といえます。もし価格上昇が起こっている中で上影陰線が発生した場合、その後価格が下落に転じる可能性があると予想できます。
陽の丸坊主
陰線から読み取れるエントリーのタイミングも重要ですが、当然陽線から読み取れるエントリーのタイミングもあります。
その一つが『陽の丸坊主』です。陽の丸坊主とは、 上下ヒゲのどちらもない大陽線 のことです。
つまりトレーダーが設定した期間が始まってから終わるまで、一貫して価格上昇し続けている状態です。当然のことながら、『買い』の勢いが非常に強く、大陽線の中でもとくに強い『買い』のサインとなっています。
どれも『買い』エントリーのタイミングですが、ヒゲが長い場合には注意して取引しなければなりません。これらのサインは、とくに安値圏で現れた場合に有効です。ぜひ取引に役立てて利益を上げるようにしましょう。
相場上昇サイン
ローソク足から 価格上昇のサイン を見分けることができます。
一例として挙げられるのが、下のヒゲが長いローソク足が現れた場合です。トレーダーにとってはエントリーできるチャンスの一つとなります。
ここで重要なのは、『なぜ下のヒゲが長くなっているのか』です。下のヒゲが長いとは、売りが強かったものの、最終的にはトレーダーが設定した期間が始まったときの価格よりも終わった時の値の方が大きくなったか、始値付近まで買い戻されたことを意味しています。
したがって徐々に『買い』の勢力が強くなりつつあり、相場の上昇が起こる可能性が高いのです。
とくに株価が下落を続けている中で下ヒゲの長いローソク足が出てきた場合には、価格上昇の可能性がかなり高いと判断できます。
こうした点を覚えておいて、取引に活かしましょう。
相場下落サイン
相場が下落するローソク足のサインも覚えておく必要があります。もっとも分かりやすい特徴は、 上のヒゲが長くなっている場合 です。
このケースもトレーダーにとっては重要なエントリーできるチャンスです。上のヒゲは高値を表しているので、一時的に価格が大きく上昇したものの、その後相場がやや下落して終値に落ち着いたことを意味しています。
つまり多くのトレーダーが、『このまま価格が上がるだろう』と考えて買いに走ったものの、買いの勢いが止まったため慌てて売りに転じた状況です。
こうしたトレーダーの心理を考慮すると、価格がその後下落するであろうと予測できます。これに加えて、価格上昇が起こっている時に大陰線が現れた場合も、相場下落のサインととらえられます。
ローソク足だけでなく他のインジケーターも併用する
ローソク足のチャートはトレーダーにとって、非常に重要なヒントとなります。
しかしそれだけで市場の動きを予測するのは危険です。世界中のトレーダーは皆似た知識を持っており、 市場の動き を観察して『売り』や『買い』のポジションを決定しているからです。
トレーダーと呼ばれる個人・法人の中には非常に大きな資金力を持っている企業なども含まれており、予想と異なる方向に市場が一気に動かされることも珍しくありません。
どのインジケーターもローソク足のチャートと併用できるのでトレーダーが使いやすいものを見つけて試してみましょう。
トレンド系とオシレーター系のインジケーターを併用するという方法もあります。複数の指標を用いることで、より成果を上げやすくなるでしょう。
トレンド系のインジケーターとして高い人気を誇るのが、移動平均線や一目均衡表、ボリンジャーバンド、パラボリックです。上昇トレンドや下降トレンドが発生しているときに役立つインジケーターです。
一方でオシレーター系のインジケーターとしてよく用いられるのは、MACDやRSI、ストキャスティクスなどです。オシレーター系のインジケーターの場合、あまり価格が上がったり下がったりしていない状態でもエントリーのタイミング見極められるのでとても便利です。
まとめ
ヒゲはトレーダーにとって非常に重要な意味を持ちます。ヒゲの有無、長さによって、どのように相場が動いたのか、今後どのように動いていくのかを把握・予測できるからです。
他のインジケーターも併用しつつ、より確度の高い分析が行えるよう努力しましょう。効果的にエントリーのタイミングを見極められれば、今までよりも効果的に利益を上げられるでしょう。