ストキャスティクス計算式の意味を知ってFXに活用する

FX取引ではさまざまなテクニカル指標が用いられますが、多くトレーダーが利用しているテクニカル指標の一つが『ストキャスティクス』です。

ストキャスティクスは逆張りを狙うトレーダーにとって役立つテクニカル指標となっています。

トモヒロ
そこでストキャスティクスの概要と計算式について詳しく解説します。

FXテクニカル分析のストキャスティクスとは?

ストキャスティクスはFXのテクニカル指標としてよく用いられるものですが、詳しい内容についてはよく知らない方も少なくありません。

ではストキャスティクスとはいったいどのような指標なのか、似た指標として用いられる RSI とどのように違うのか解説します。

ストキャスティクスって何?使い方は?

ストキャスティクスとは、アメリカのジョージ・レーン氏が考案したテクニカル指標です。『振り子』を意味するオシレーター系の指標で、市場の過熱状況を分析するのに役立ちます。

相場は必ず価格の上昇と下落を振り子のように繰り返すので、市場が買われすぎの状態にあるのか、それとも売られすぎの状態にあるのかを判断する指標が必要となります。

ストキャスティクスは、一定期間内の高値と安値の値幅に対して、現在の株価がどの位置にいるかを把握するものです。

ストキャスティクスの大きな特徴として挙げられるのが、3本のラインを使うという点です。

  • 短期間の株価を見る『%K(パーセントK)』
  • 中期の動きを見る『%D(パーセントD)』
  • 長期的なラインである【Slow%D(スローパーセントD)】

ストキャスティクスは 逆張り に用いられることが多いテクニカル指標です。

たとえば%Kや%Dを単体で使って80%以上から80%を割り込んだ時に売り、20%以下から20%ラインを上回った時に買いといった取引に利用できます。さらに2本のラインのクロスを利用してエントリーのタイミングを図ることも可能です。

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さらにストキャスティクスと株価の動きが逆行するダイバージェンスを利用して利益を上げる方法もあります。

ストキャスティクスとRSIの違いは何?

ストキャスティクスと同様オシレーター系のテクニカル指標として人気なのが『RSI』です。ではこの2つにはどのような違いがあるのでしょうか。

まずストキャスティクスは 高値と安値を含めて算出 されるのに対し、RSIは基本的に 終値を使って計算 されます。

そのためストキャスティクスの方が振れ幅が大きくなる傾向があります。さらにRSIは必ず1本の線だけで描かれますが、ストキャスティクスの場合には2本のラインが用いられることが多いのも大きな違いです。

2本のラインを使う事で市場の動きをより正確に読み取ることができるという点では、RSIよりも優れた部分があるといえるかもしれません。

ストキャスティクスの計算方式の意味とは?

ストキャスティクスを上手に活用するためには、計算方式とその意味について詳しく知らなければならないでしょう。ではストキャスティクスの計算方式について解説します。

ストキャスティクスのオリジナル計算式

まずストキャスティクスのオリジナルの計算式を見てみましょう。ストキャスティクスには短期の%K、中期の%D、長期のSlow%Dという3つのラインがあります。

まず %K は以下のような計算式です。

過去n日間の最高値や最安値を用いることになっていますが、この場合のnは一般的に5や9、14などが用いられます。

続いて %D の計算式は以下の通りです。

パラメーターのmは一般的に3とされています。

最後の Slow%D の計算式は以下の通りです。

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3つのラインがどのような計算式によって求められるのかをしっかりと把握しておくことは重要です。

ストキャスティクス計算式の意味

ただ単にストキャスティクスの計算式を知っていても、その意味が分からなければ取引に生かすのは難しいでしょう。では各ラインの計算式の意味について解説します。

まず %K の計算式では、分母がn日間の最高値と最安値の差になっています。つまり分母はn日間の値動きの幅を指していることになります。

一方で分子は取引当日の終値とn日間の最安値との差です。したがって%Kは、その日の終値が過去n日間の値幅の中でどこに位置しているかを把握するのに役立ちます。

たとえば、ドル円のn日間の最高値が110円、最安値が105円だったとします。
取引当日の終値が109円だとすれば分母は5、分子は4となり、%Kは80%となります。

続いて %D は簡単にいえば%Kをm日間移動平均化したものです。

分子は%Kの分子をm日間分合計したもの、分母も%Kの分母をm日間合計したものを%で表します。

%Kよりはなだらかな線となるのが一般的です。

最後の Slow%D は直近3日間の%Dを合計して3で割ったものです。%Dを3日間単純移動平均にしたといえるでしょう。

よく用いられるのは3日間ですが、実際には任意の日数で計算することが可能です。

Slow%Dは%Dよりもさらになだらかなチャートになります。
POINT
%K、%D、Slow%Dの順番に計算式に用いる日数や要素が増えていくので、市場の動きに敏感に反応する指標も%K、%D、Slow%Dの順番となります。

EXCELでのストキャスティクスの算出方法は?

ストキャスティクスを自分で計算するのはなかなか大変ですが、Windowsのパソコンに通常入っているEXCELを使えば簡単に算出できます。

  1. EXCELのA列に日付、B列に始値、C列に高値、D列に安値、E列に終値を入力します。
  2. まず『%K』の算出方法は、F列に『=(E2-MIN(D2:D6))/(MAX(C2:C6)-MIN(D2:D6))*100』と入力します。
  3. 続いて『%D』は、G列に『=((E2-MIN(D2:D6))+(E3-MIN(D3:D7))+(E4-MIN(D4:D8)))/((MAX(C2:C6)-MIN(D2:D6))+(MAX(C3:C7)-MIN(D3:D7))+(MAX(C4:C8)-MIN(D4:D8)))*100』と入力します。
POINT
ここでは%Kを算出するのに用いる日数を5、%Dの算出のパラメーター値は3としています。
Slow%Dは直近の3日間の%Dの合計を3で割ったものです。

ストキャスティクスを上手にFXに活用するには?

ストキャスティクスをFX取引に生かすためには、ストキャスティクスの活用方法についてしっかり学んでおく必要があります。そのために必要なのが、

  • ファストストキャスティクスとスローストキャスティクス
  • ストキャスティクスにおける『買い』と『売り』のサイン
  • ストキャスティクスの逆行現象

の3つです。ではそれぞれについて解説します。

ファストストキャスティクスとスローストキャスティクスの違いは何?

ファストストキャスティクスとは%Kと%Dという2本のラインを利用したテクニカル分析、一方でスローストキャスティクスとは%DとSlow%Dを使った分析のことです。

ストキャスティクスでは、ファストストキャスティクスがもっともポピュラーな分析方法で、短期間の価格の変動を読み取ってエントリーのタイミングをつかむのに適しています。

%Kと%Dは2本とも、0%から100%の間で推移していきます。とくに%Kは短期間の高値や安値を使って算出されているため、激しく上下するという特徴があります。

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株価が上昇すると%Kがまずそれに反応して上昇し、それに追随して%Dが上がるという仕組みです。

もちろん株価が下降する場合も、 %K、%Dの順番に反応 します。もし%K、%Dともに極端に高い数値が出ているのであれば市場は売られすぎ、極端に低い数値であれば市場は買われすぎということを示しています。

この2本のクロスを使って取引を行うのがファストストキャスティクスです。

 頻繁に売買のサインが出る一方、テクニカル分析の予想と市場の動きが異なる『だまし』も発生しやすいので注意が必要です。

続いてスローストキャスティクスは、もう少し長期間の価格変動を見て取引するために用いられます。

とはいえ、ストキャスティクス自体が短期間での売買に使う事を前提に作られたテクニカル指標であるため、数週間や数ヶ月といった単位で利用するのは困難です。基本的には長くても 日足でストキャスティクスを用いる のがよいでしょう。

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ファストストキャスティクスと同様に%Dが先に市場の動きに反応し、Slow%Dがそれに追随します。

やはり2本のラインのクロスが売買のサインとなります。スローストキャスティクスは売買のシグナルがあまり頻繁ではないものの、だましは少ないという特徴があります。

ストキャスティクスの買いサインと売りサイン

ではストキャスティクスの買いサインと売りサインはどのように見極められるものなのでしょうか。

まずファストストキャスティクスの場合を考えましょう。ファストストキャスティクスで用いられるのは%Kと%Dです。

さらに市場が売られすぎと判断される『買いゾーン』は30%、市場が買われすぎと思われる『売りゾーン』は70%とします。より信頼性の高い分析がしたい場合には、買いゾーンを20%、売りゾーンを80%にすることも可能です。

ファストストキャスティクスでは、%Kと%Dが買いゾーンにある状態で、%Kが%Dを下から突き抜けた時『買い』のサインとなります。

そして%Kと%Dが売りゾーンにある状態で、%Kが%Dを上から下に割り込んだ時『売り』のサインと判断できます。

一方スローストキャスティクスでも考え方は同じです。

%DとSlow%Dが買いゾーンにあり、%DがSlow%Dを下から上へ突き抜けたら『買い』。さらに%DとSlow%Dが売りゾーンにあり、%DがSlow%Dを上から下に割り込んだら『売り』のサインとなります。

上の図では、青のラインが%K、赤のラインが%Dです。それぞれ買いのサインと売りのサインが出ていることが分かるでしょう。

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ストキャスティクスはオシレーター系のテクニカル指標なので、トレンドが発生していないレンジ相場で利用できることも覚えておきましょう。

ストキャスティクスの逆行現象って?

ストキャスティクスでは時折 逆行現象 が起こることがあります。

たとえば株価は上昇トレンドにあるのに、ストキャスティクスは下降しているといったケースです。これを『ダイバージェンス』といい、市場が下降トレンドに転換するサインととらえることができます。

現在は上昇トレンドであるにもかかわらず下降トレンドへの転換が近いということなので、売りのタイミングです。

一方株価は下降トレンドなのにストキャスティクスは切り上げるという逆行現象も生じます。これを『コンバージェンス』といい、上昇トレンドへの転換を示唆するものです。

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コンバージェンスが現れた場合には、今後上昇トレンドに転換する可能性が高いので買いのサインとなるでしょう。

この図では上昇トレンドが発生しているのにストキャスティクスは切り下がっている 『ダイバージェンス』が発生 しています。

まとめ

ストキャスティクスは複数のラインを使ったテクニカル分析で、市場の過熱状況を判断するのに適しています。

ファストストキャスティクスとスローストキャスティクスの両方を使って分析することで、FX取引を成功させられる可能性は高まるでしょう。

ぜひスローストキャスティクスの使い方をよく学んで、より多くの利益を得られるようにしましょう。

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