一目均衡表を活用することで、価格の上がり始めや下がり始めをシグナルとして一目で判断することができトレンドの初動に素早く乗れるようになります。
ですので、ここでしっかりと使い方を覚えて今後の取引を更に有利なものにしていきましょう。
一目均衡表とは
昭和初期に一目山人(細田悟一)氏によって日本国内で作成されたテクニカル指標で、現在は日本のみならず海外でも多くのトレーダーに利用されています。
調査員2000人を動員し7年かけて完成されたもので、基準線・転換線・先行線1(先行スパン1)・先行線2(先行スパン2)・遅行線(遅行スパン)という5本の線を使って、 波動論・時間論・水準論 の3つの視点から相場を総合的に分析できるトレンド系インジケーターです。
この5本の線とローソク足の位置関係から 優位性の高いエントリーポイント を割り出していくのですが、まずはこの一目均衡表を構成する5本の線の計算式から見ていきましょう。
- 基準線=(26日間の最高値+26日間の最安値)÷2
- 転換線=(9日間の最高値+9日間の最安値)÷2
- 先行スパン1=(基準線+転換線)÷2を26日先に表示させたもの
- 先行スパン2=(52日間の最高値+52日間の最安値)÷2を26日先に表示させたもの
- 遅行スパン=当日の終値を26日遅行させたもの
なお、遅行スパンは当日を含んだ26日前に終値を使って表示しており、それ以外の4本の線は最高値と最安値を利用しています。
もちろん全てを理解した方がより有利なトレードができるようになりますが、まずはこれからご紹介する一目均衡表の使い方をしっかりと覚えて実践を積むことで、確実にトレードは上達していきます。
一目均衡表の使い方
それでは実際に、一目均衡表の使い方の中でとても優位性の高い手法を4つご紹介します。
ですがその前に一つだけ注意点があります。これからご紹介する4つの手法を利用して実際の相場で優位性の高いエントリーシグナルを見つけていくのですが、そのシグナル単体を盲目的に信用し闇雲にエントリーしてはいけません。
相場のだましに合いやすくなかなか勝てるようにならないからです。ですので、チャートパターン、水平線、移動平均線などそれぞれ得意な手法と組み合わせたり、一目均衡表のシグナルを複数利用しながらエントリーポイントをしっかりと絞った取引を心がけましょう。
基準線と転換線の交差
基準線が転換線の交差するポイントをトレンド転換のシグナルとして捉え、トレンド相場の押し目買いや戻り売りポイントを狙うのに適した手法です。
基準線は相場の中期的な方向性を、転換線は相場の短期的な方向性をそれぞれ示しており、基準線が上向きなら「上昇トレンド」、下向きなら「下降トレンド」ということになります。
転換線が基準線を上抜けた所が下降から上昇へと短期トレンドが転換するポイント(ゴールデンクロス)となり、 買いエントリーのシグナル です。逆に転換線が基準線を下抜けた所が上昇から下降へと短期トレンドが転換するポイント(デッドクロス)となり、 売りエントリーのシグナル です。
先行スパンの利用
先行スパンを利用する上で是非覚えて頂きたいものが「 先行スパンの雲 」です。
2本の先行スパンによって上下に挟まれた部分(チャート上では塗りつぶされて表示されることが多い)のことを一目均衡表では「雲」といい、この雲の性質を理解することで現在のトレンドの方向性や強弱が分かるだけでなく、相場における支持帯と抵抗帯が存在しているポイントを一目で判断できるようになります。
実際に雲を使って狙えるエントリーポイントは以下の2つです。
- ローソク足が雲を上抜け(又は下抜け)した瞬間
- ローソク足が雲の上側(又は下側)に近づいた所
ローソク足が雲を上抜けした瞬間が上昇方向へのトレンド転換を狙った 買いエントリー 、雲を下抜けした瞬間が下降方向へのトレンド転換を狙った 売りエントリー のポイントとなります。
ローソク足が雲の上側にタッチした所が上昇トレンドの押し目買いでの 買いエントリー 、雲の下側にタッチした所が下降トレンドの戻り売りでの 売りエントリー となるポイントです。
ちなみに、雲の厚さと傾き加減によって支持帯・抵抗帯の強さを判別することができます。つまり雲の角度が平坦で薄い時ほどトレンド転換が起こりやすく、雲の角度が急で厚い時ほど支持(抵抗)帯として機能しやすいということです。
遅行スパンの利用
遅行スパンはその日の終値を26日前に遡って表示させ繋げただけの簡単な線ですが、トレンド転換の初動を示すものとされており、遅行スパンの売買サインを理解することで大きなトレンド転換に素早く乗ることができるようになります。
実際に、作者である一目山人氏も「26日の遅行線が一目均衡表を扱う上で非常に重要である」という趣旨の記述を残しています。
三役好転・三役逆転
ここまでで一目均衡表を使ったエントリー方法を3つのパターンに分けて紹介してきましたが、その3つのパターンが買い方向に同時に揃ったタイミングの事を 三役好転 といい、非常に強い上昇トレンドが発生したことを意味します。
- 転換線が基準線を上抜けした
- 遅行線が過去のレートを上抜けした
- ローソク足が雲を上抜けした
また、全てが逆になった場合も同様で非常に強い下降トレンドの発生を意味し、これを 三役逆転 といいます。
- 転換線が基準線を下抜けした
- 遅行線が過去のレートを下抜けした
- ローソク足が雲を下抜けした
ただ、条件が揃えば非常に勝率の高いエントリーポイントになるのですが、日足でこの条件が揃う回数は非常に少なく、相場によっては年に数回だけということもあります。
一目均衡表をあえて短期足にも表示させることでより多くのエントリータイミングを狙うトレーダーもおりますが、冒頭で説明した5つの線の計算式からも分かる通り、このテクニカル指標は 日足で運用 することを目的に開発されたものです。
まとめ
このように一目均衡表を使いこなすことができれば、上昇と下落の波動の均衡が崩れるタイミングを知ることができたり、過去・現在・未来の時間軸を同時に考察してトレンド転換の発生ポイントを予測することもでき、市場参加者の意識が集まりやすい値幅水準を目視できるので支持帯・抵抗帯での値動きも読みやすくなります。
ただし、一目均衡表でどれだけ好条件が揃っていたとしても、相場が自分の思惑の通りに動いてくれる保証はありません。
ですのでインジケーターから読み取れる売買サインを過信せずに、 複合的に相場の状況を読み取る ことを忘れずに取引をしていきましょう。