一目均衡表におけるチャートの先行スパン・遅行スパンについてわかりやすく解説

FX取引においてチャート分析は非常に重要な要素の一つですが、数ある分析法の中でも高い人気を誇るのが『一目均衡表』です。

そして一目均衡表の中でも特に重要とされるのが『 先行スパン 』と『 遅行スパン 』という3本の線です。そこで先行スパンと遅行スパンについて分かりやすく解説します。

一目均衡表とは
一目均衡表とは、日本人が開発したテクニカル指標の一つで、特に相場の変化がいつ起こるのか、どのくらい同じ方向性が続くのかを予測するものです。
ローソク足と5本の線によって構成され、市場の変化を視覚的にとらえられるため初心者の方でも使いやすい分析法となっています。

ポジション変更や取引のタイミングを見極めるのに便利なテクニカル分析なので、FX取引をする方はぜひ覚えておくとよいでしょう。

テクニカル分析としてはそれほど難解なものではありません。

トモヒロ
非常に長い時間と多くの人員を割いて構築された奥が深い分析なので、詳しく知れば知るほど幅広く使える指標でもあります。

先行スパンとは

先行スパン

一目均衡表において非常に重要な線が『 先行スパン 』です。先行スパンには『先行スパン1』と『先行スパン2』とがあり、別々の意味がある線です。

チャートを読んで将来の値動きを予想するためには、それぞれの役割について理解しておく必要があります。では、先行スパン1と先行スパン2についてそれぞれ解説します。

先行スパン1とは

先行スパン1とは、その名の通り『先行』、つまり未来の価格変動を記載した線のことです。

もちろん未来の価格変動を正確に予測することは不可能なので、計算式で導き出した値をもとに線を描きます。

先行スパン1の計算式は、(転換線+基準線)÷2です。

転換線 は取引当日を含めた過去9日間の取引における高値と安値の中間値、 基準線 は過去26日の中間値を指します。したがって転換線とは短期間での相場の変化、基準線は中・長期間での相場の変化をある程度反映したものとなります。

その中間値を結んだものが先行スパン1です。

一目均衡表 5本線

たとえばドル円を取引しているとして、転換線が111円、基準値が107円とすれば、先行スパン1の値は109円となります。この中間値を、当日を含めて26日未来に先行して描くのが先行スパン1です。

先行スパン1は後述の先行スパン2よりも短期間での市場の動向を示しているため、より現在の株価に沿った動きをするとされています。

トモヒロ
もし上昇トレンドで、価格が先行スパン1よりも上にある場合には強いトレンド、そうでない場合には弱いトレンドと考えられるでしょう。

また、きれいな上昇トレンドが形成されている場合、価格がやや下落して先行スパン1と先行スパン2によって形成される雲にぶつかると、先行スパン1のおよそ3分の1のところまで下がるという動きを見せることがあります。

もちろんこれはあくまでチャートが典型的な動きをした場合に限られますが、先行スパン1は トレンドの転換点 を把握するために非常に有用な線なのです。

先行スパン2とは

先行スパン1に対して、先行スパン2は、(過去52日間の高値+過去52日間の安値)÷2を、当日を含めて26日未来に先行して描く線です。

先行スパン1に対して、先行スパン2は 長期間のトレンド を調べるのに役立ちます。

そして先行スパン2は、半値押し半値戻しといった状況で決済を待つべきか、利益確定してしまった方が良いかを判断する材料となります。

もし仮に過去52日間が上昇トレンドで、取引当日に価格が下がり始めたとします。ここでトレンドが変わったのか、それとも一時的な価格変動に過ぎないのかを判断するのに先行スパン2は役立つのです。

もし先行スパン2に触れることなく価格が再度上昇を始めれば一時的な押し目、先行スパン2に触れて下に突き抜けるようであればトレンドが変わった可能性を示しています。

トモヒロ
チャートの値動きだけではどこまで価格が下がるのか分かりませんが、時間を要素として加えることでより正確な予想が可能となります。

遅行スパン(遅行線)とは

遅行スパン

2本の先行スパンに対して、 遅行スパン という線も一目均衡表においては非常に重要な線です。

一目均衡表という分析法において、遅行スパンはもっとも重視される線なので、遅行スパンの意味と分析方法についてはしっかり理解しておく必要があるでしょう。

遅行スパン(遅行線)の計算式と分析方法

遅行スパンとは遅行戦とも呼ばれ、計算式は特にありません。というのも、遅行スパンとは取引当日の終値を当日を含む26日前に描いたものだからです。

単純に毎日の終値を当日を含む26日前にずらしていっただけのように思えますが、実は遅行スパンには非常に深い意味があります。

POINT
一目均衡表では値動きに加えて時間という要素を考慮して分析しているため、遅行スパンによって売りや買いのタイミングを計ることができるのです。

遅行スパンと雲(先行スパン1・先行スパン2)の関係性

一目均衡表 5本線

こうして先行スパン1先行スパン2、さらに遅行スパンについて考えると、この3本の線の間には密接な関係があることが分かります。

先行スパンの2本は、それぞれ過去9日、26日、52日の中間値をもとに、チャートを当日を含む26日先行して描いたものです。

遅行スパンは、終値を当日を含む26日前に遅行させて描いたものです。

したがって遅行スパンの25日後が現在の株価を示し、現在の株価の26日後を予測したものが先行スパンであることになります。

遅行スパンの好転・逆転とは

遅行スパンが一目均衡表において非常に重要であるといわれるのは、 遅行スパンの好転・逆転 という分析方法があるからです。

取引を行う上で押さえておくべきポイントで、テクニカル分析においても大切な指標です。遅行スパンの好転・逆転について詳しく理解しておけば、トレンドを正しく把握し、売り買いのタイミングを逃さずにすみます。

トモヒロ
これはチャートを見ながら視覚的に理解できる現象なので覚えておくとよいでしょう。

では遅行スパンの好転と逆転について詳しく解説します。

遅行スパンの好転とは

遅行スパンの好転とは、遅行スパンがローソク足の下から上へ突き抜けた瞬間のことです。

ローソク足よりも遅行スパンが下だった場合、買いポジションを持っていた人は含み損の状況にありました。しかし遅行スパンがローソク足を下から突き抜けると、含み益が発生することになります。

ここで 買いシグナル が発生しているため、買いポジションを取ると利益を上げられる可能性が高くなるのです。

遅行スパンの好転は、非常に分かりやすい指標であるため、一目均衡表を使っている方はぜひ覚えておきましょう。

さらに遅行スパンの好転に加えて、転換線が基準線を下から上に突き抜ける均衡表の好転、ローソク足が雲の上にある状態が重なると買い勢力がとても優勢な三役好転という状態になっています。

買いが優勢な状況が続くと予想される場合には、ポジションを持ち続けてその後の売りのタイミングを見計らって利益を確定できます。

遅行スパンの逆転とは

遅行スパンの逆転とは、好転の逆です。遅行スパンがローソク足の上から下に突き抜けた場合、売りが優勢になっていると考えられます。

これは 売りシグナル なので、ポジションを変更する必要があるかもしれません。売りポジションを持つこともできますし、これまで買ったポジションを決済することも可能です。

三役好転と同様、遅行スパンの逆転、均衡表の逆転、ローソク足が雲の下にある3つの条件が揃った場合には、三役逆転で強い売りシグナルとなります。

売りがさらに優勢になるので、その点を踏まえて取引するとよいでしょう。

トレード具体例

では具体的にどのような状態で売り買いを決めればよいのか見ていきましょう。

遅行スパンの好転

まずは遅行スパンの好転について見ていきましょう。

遅行スパンの好転

このチャートではローソク足と遅行スパンだけが描かれています。赤い丸の部分で、遅行スパンがローソク足を下から上に突き抜けていることが分かります。こうなった場合には、 買いが優勢 になっていると判断できます。

トモヒロ
これに転換線や基準線などの指標も併せて分析すれば、トレンドをさらに的確につかめるでしょう。

遅行スパンの逆転

一方で遅行スパンの逆転についても見ていきましょう。

遅行スパンの逆転

青い丸の部分では、遅行スパンがローソク足を上から下に突き抜けています。この場合、それまで続いた買いシグナルが落ち着き、価格が下落する兆候となります。

そのため 売りが優勢 となっていきます。実際その後ローソク足であらわされる価格が下落傾向になっていることもわかるでしょう。

したがってこのポイントで売りポジションを取れば、利益を確定させたり、さらに利益を上げられたりする可能性があります。

トモヒロ
取引においてポジションを変更するポイントを見極めるためにも、この現象を覚えておきましょう。

まとめ

一目均衡表では、2本の先行スパンや遅行スパンが非常に大きな役割をはたしていることが分かりました。それぞれの線の意味と分析方法を知ることで、よりFX取引に成功しやすくなります。

特に遅行スパンは一目均衡表において非常に重要な線なので、分析方法などについて詳しく調べトレンドを把握できるようになりたいものです。

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