ストキャスティクスとボリンジャーバンドは、どちらも初心者がトレードで勝つための重要なテクニカル指標です。
本記事では両者の使い方から組み合わせ手法まで、初心者でも扱えて勝率の高い手法について解説していきます。
ストキャスティクスとは
ストキャスティクスとは、「相場における買いと売りの過熱感」を計るためのテクニカル指標で、オシレーター系インジケーターと呼ばれています。
FXチャートは、常に買いと売りの強弱が入れ替わるように形成されています。具体的には、買いが過熱してくると相場の強さが売りへと転じ、反対に売りが過熱してくると相場の強さが買いへと転じる傾向があり、そういった変わり目が有利なトレードタイミングとなります。
つまり、買いと売りの強弱反転ポイントで逆張りを入れていくために、「過熱感」を計るストキャスティクスの指標が利用されるのです。
ストキャスティクスの設定と使い方
ではまず、ストキャスティクスの設定について基礎知識を確認しましょう。
ストキャスティクスは、一定期間中の最安値と最高値を参照して、 直近価格 がその間において何%の上げ幅に位置しているのかを表しています。
上図のように、%Kと%Dと呼ばれる2本の線から構成されており、その内直近の上げ幅を実際の数値で表しているのが%Kで、%Dは%Kを移動平均化させたものになります。
さらに、この2本の線を2つ同時に移動平均化させる「スローイング」と呼ばれる設定値も存在します。
こちらは、人気プラットフォームMT4におけるストキャスティクスの設定ウィンドウです。
「%K=14」とはローソク足14本分からストキャスティクスを形成することを意味し、「%D=3」とは%Dは%Kを3期間で移動平均化させたものであることを意味します。
そして、「スローイング=3」とは%Kと%Dを両方とも3期間で移動平均化させていることを意味します。ゆえに、スローイングの数値を上げれば上げるほど、2本の線の動きが同時に滑らかになるのです。
では次に、ストキャスティクスの使い方も基礎から確認しましょう。
ストキャスティクスの2つの線が80%を上回ると買いが過熱している「買われすぎ」の状態を示すので、相場の強弱が 売り へと転じやすい局面になります。
反対に、2つの線が20%を下回ると売りが過熱している「売られすぎ」の状態を示すので、相場の強弱が 買い へと転じやすくなります。
つまり、2本の線が80%より上に来たところで売りエントリーを仕掛け、20%より下に来たところで買いエントリーを仕掛ければ良いのです。
ストキャスティクスを用いたスキャルピング手法
ストキャスティクスをスキャルピング手法に利用する場合、最も注意しておくべきポイントは、エントリーシグナルを長期の目線と同じ方向に絞り込むことです。
例えば、5分足でストキャスティクスの買いシグナル(ゴールデンクロス)が発生していた場合、最低でも1時間足以上の長期目線で上昇相場になっていなければ買いでエントリーをしてはいけません。
方向感のないレンジ相場においても闇雲にシグナルを取るのではなく、必ず長期目線の方向に沿ったシグナルだけを選ぶようにしましょう。
ちなみに、スキャルピング・デイトレード・スイングトレードのいずれに用いても、ストキャスティクスの設定値についてはデフォルト値の、K=14、D=3、スローイング=3が最も安全に機能します。
ボリンジャーバンドとは
ボリンジャーバンドとは、不規則に上下する相場の動きを統計学的に分析し、一定の確率内に価格が収束する範囲を割り出し可視化させるテクニカル指標です。
また、ボリンジャーバンドはトレンドの発生や方向性を示す特徴から、 トレンド系インジケーター と呼ばれています。
言葉で説明してもイメージが沸かないと思いますので、まずはその見た目から使い方の基本、実際のチャートにおける導入方法と順を追って確認していきましょう。
ボリンジャーバンドの使い方基本
ボリンジャーバンドは、ミドルラインと呼ばれる中央の線と、その上下に存在する±1σ、±2σ、±3σの線から形成されます。
ミドルラインとは、一定期間内における価格の平均値を繋げたもので移動平均線と同じものになります。そして、このσ(シグマ)と呼ばれる線が統計学的に価格の収束する範囲を示しており、それぞれの確率は以下の数値になっています。
- 価格が±1σの範囲内に収まる確率 → 約68.3%
- 価格が±2σの範囲内に収まる確率 → 約95.4%
- 価格が±3σの範囲内に収まる確率 → 約99.7%
このうち、実際のトレードで最も利用されているのが ±2σ で、+2σに価格がタッチしたところが売りの逆張りポイント、反対に-2σに価格がタッチしたところが買いの逆張りポイントとなります。
また、ボリンジャーバンドの傾きによって、現在の時間足でのトレンド方向を読み取ることもできます。
ただし、ボリンジャーバンドの±2σは95.4%の「収束」を意味するだけなので、必ずしも95.4%で「反転」する訳ではありません。
ボリンジャーバンドの導入方法
では次に、ボリンジャーバンドを実際のチャートに表示させ、最適設定をするまでの手順を詳しく見ていきましょう。今回は、国内外で多くのトレーダーから人気の高い取引プラットフォーム「MT4」を例に扱っています。
まずはMT4を立ち上げ、左上のタブから挿入→インディケータ→トレンド→Bollinger Bandsと選択していきます。そうすると、次のような設定ウィンドウが出てきます。
ここでボリンジャーバンドの数値を設定するのですが、まずはパラメーターのタブを開き「期間=20」「偏差=2」と設定しましょう。
こうすることで、ミドルラインが20期間に設定され±2σが表示されるようになります。次に、同じ設定ウインドウのレベル表示タブを開きます。
ここで、0.5と-0.5のレベルを追加することで±1σを表示させることができ、1.5と-1.5のレベルを追加することで±3σを表示させることができます。
ただし、ボリンジャーバンドの±1σや±3σは利用頻度が低いので必ずしも表示させる必要はありません。
ボリンジャーバンドとストキャスティクスを組み合わせた場合のポイント
さて、ここまででストキャスティクスとボリンジャーバンドの基本的な使い方と設定については理解できたでしょうか。
ここからは、両者を組み合わせた勝率の高い手法をチャートの具体例を交えながら解説していきます。今回の組み合わせで狙っていく局面は以下の3つです。
- トレンドフォローの押し目買い/戻り売り
- トレンド転換点での逆張り
- ボックスレンジでの逆張り
トレンドフォローの押し目買い/戻り売り
ではまず、ストキャスティクスとボリンジャーバンドを組み合わせたトレンドフォローの押し目買い/戻り売り手法の解説をしていきます。
こちらが、両者を組み合わせた押し目買い手法の解説図になります。
ボリンジャーバンドの傾きから上昇目線であることを確認した後、逆張りポイントである -2σにタッチ したところで、ストキャスティクス20%以下でのゴールデンクロスが確定した瞬間に買いエントリーします。
こうすることで、多数のボリンジャーバンド-2σタッチの中から最も強く反転上昇しやすいポイントを狙えるだけでなく、ストキャスティクスのだましの売りシグナルも全て回避できます。
続いて、押し目買いの時と全く反対の考え方から、戻り売りのシグナルの取り方も見ていきましょう。
具体的には、ボリンジャーバンドの傾きから下降トレンドを確認した後、+2σタッチの後にストキャスティクス80%以上のデッドクロスが発生したところで売りエントリーです。
トレンド転換点での逆張り
次に、トレンド転換点を狙った組み合わせ手法について説明していきましょう。
こちらは、下降トレンドの大底で発生しやすい「下降→上昇」のトレンド転換を狙った、買いエントリー手法の解説図です。
ボリンジャーバンドの -2σを①→②→③と3回タッチ したところで、ストキャスティクス20%以下でゴールデンクロスが発生すれば買いエントリーです。
ここで最も大切な条件が、①から③までの間でボリンジャーバンドの下降トレンドが終了し、傾きの無いレンジ状態になっていることです。
同様に、先ほどと全く反対の考え方をするだけで「上昇→下降」のトレンド転換点を狙うことができます。
ボリンジャーバンドの+2σを①→②→③と3回タッチしたところで、ストキャスティクス80%以上でデッドクロスが発生すれば売りエントリーです。
ここでも、①から③までの間でボリンジャーバンドが大きな傾きを作らないレンジ状態になっていることが必須条件です。
ボックスレンジでの逆張り
最後に、ボックスレンジ相場における組み合わせ手法を解説していきます。
このように、2本の水平線が上値抵抗線/下値支持線となって、価格が上下に反発を繰り返す相場を ボックスレンジ と言います。
こういった局面に出くわした際は、ボリンジャーバンドの±2σのタッチとストキャスティクスのゴールデンクロス/デッドクロスが合わさる瞬間が、買いと売りでどちらも勝率の高い瞬間となります。
ただし、ボックスレンジはいつか必ず上下のどちらかにブレイクされてしまいます。
ストキャスティクスとボリンジャーバンドを組み合わせるメリットと注意点
ここまでしっかりと読み込んでくれている方には、ストキャスティクスとボリンジャーバンドの組み合わせが優位性の高い手法であると理解できたかと思います。
そこで、この手法の精度をさらに高めるために、両者を組み合わせるメリットと注意点としっかりと確認しておきましょう。
ストキャスティクスとボリンジャーバンドを組み合わせるメリット
ストキャスティクスとボリンジャーバンドの組み合わせ手法における最大のメリットは、インジケーター単体が発する多数の売買シグナルを初心者でも簡単に厳選することができる点です。
トレードで使用する全てのインジケーターに共通するデメリットは、 だましのシグナル が多すぎることです。
ベテラントレーダーと全く同じインジケーターを使用しているにも関わらず、初心者が全く勝てない理由はここに隠されています。
つまり、だましシグナルに引っかからずに最も利が伸びる優位性の高い売買シグナルだけを選別できるようになれば、初心者でもトレードで勝つことだできるのです。
そしてその方法の一つが、ストキャスティクスとボリンジャーバンドの組み合わせなのですね。
組み合わせる際の注意点
ストキャスティクスとボリンジャーバンドを組み合わせる際に最も大切なことは、ボリンジャーバンドを使って 上昇/下降の目線を慎重に確認 していくことです。
この時絶対にやってはいけないことは、1つの時間足だけで売買の判断をしてしまうことです。
例えば、15分足でボリンジャーバンドが下向きであっても、1時間足以上で全て上向きになっていた場合は上昇トレンド相場となります。ですので、この時は売りではなく買いを狙った組み合わせ手法のみを使うようにしましょう。
これをトレード用語で「マルチタイムフレーム分析」と言います。
まとめ
さて、ストキャスティクスとボリンジャーバンドのそれぞれの使い方、基礎知識、両者の組み合わせ手法については十分に理解できましたか?
もしまだ腑に落ちていないようであれば、今回の記事を何度も読み返してしっかりと脳内に刷り込みましょう。
また、頭で理解するだけに留まらず、リアルトレードやデモトレードで実践を重ねることも忘れないでくださいね。トレードで勝てるようになるためには、日々の反復練習も大切な条件ですよ。