ボリンジャーバンドは標準偏差の計算式が複雑なことから、意味を正しく理解しないまま使用しているトレーダーが多くいます。
ですが、誤った認識のままボリンジャーバンドを利用してもトレードで勝てるようにはなりません。
ボリンジャーバンドの計算式と考え方
はい。
ボリンジャーバンドというのは、一定期間における価格の平均値に対してどのくらいの確率でどの程度の幅のばらつきが生まれるのかを統計学的に割り出しているインジケーターです。
分かりやすく例を挙げると、
「20日間の平均価格が100円だったとして、20日分の価格のばらつきを参考にして計算すると、21日目は95.4%の確率で平均値100円から±20円以内に価格のばらつきが収まる」 といった情報を毎ローソク足ごとに示してくれるのです。
上図のように、相場のボラティリティ(価格変動)が高くなると次に発生するであろう価格のばらつきも大きくなるのでボリンジャーバンドは広がり( エクスパンション )、反対にボラティリティが低くなると次に発生するであろう価格のばらつきも小さくなるのでボリンジャーバンドは狭くなります( スクイーズ )。
また、ボリンジャーバンドを構成しているラインについては以下の説明となります。
±1~3σ(標準偏差)= 平均値に対して価格がばらつく範囲
ちなみに、それぞれの標準偏差に対する価格の収束率(ばらつきが収まる確率)については以下となっております。
- ±1σ = 68.3%の確率で価格がこのバンド内に収束する
- ±2σ = 95.4%の確率で価格がこのバンド内に収束する
- ±3σ = 99.7の確率で価格がこのバンド内に収束する
標準偏差の計算式を詳しく解説
ここまでの説明で、ボリンジャーバンドの基本についてはイメージできたでしょうか。
次に、理解を深めるためにも 標準偏差の計算式 についてしっかりと確認しておきましょう。
こちらは標準偏差を求めるために使用する計算式です。
そもそも、相場における標準偏差とは価格の平均値からのばらつき具合(変動幅)のことを意味しています。
ちなみに、この計算はトレードツールの方で勝手に行ってくれるので暗記する必要はありません。
ですが、この計算式で一体何をしているのかだけはイメージできた方が良いので、以下5つのポイントは覚えておいてください。
- 一定期間における価格の「平均値」を取る
- 期間中の各データから平均値を引いて「偏差」を取る
- それぞれの偏差を2乗して合計する
- 合計値をデータの総数で割り平均値からの「分散」を求める
- 分散値の正の平方根を求めることで「標準偏差」が算出される
要するに、現在は平均値から上下どのくらいの価格差でばらついているのかを算出しているのです。
そしてこれを、正規分布と呼ばれる平均値に対する収束率の理論に当てはめ、先述した±1σ=68.3%や±2σ=95.4%のバンドとして利用できるようにしたものが ボリンジャーバンド になります。
ボリンジャーバンドの設定方法
そうですね。
その気持ちはわかりますが、まずは正しく使用するための設定方法や最も有効な設定値について確認していきましょう。
当サイトでは、FXをやる場合MT4の利用をおすすめしているので今回は MT4 を具体例に解説します。
また、株式の個別銘柄に関してはMT4では取引できませんので、国内の各証券会社が提供している独自の取引プラットフォームで利用します。
MT4でボリンジャーバンドを表示/設定する方法
ではまず、取引したい通貨ペアを選び画面上のメニューバーからインディケーターリストのアイコンを見つけてクリックし、トレンド→Bollinger Bandsと選択していきます。
すると、下図のような設定画面が開かれるので、デフォルト設定のままOKをクリックすればすぐにボリンジャーバンドがチャート上に表示されます。
ちなみに、期間20というのは ミドルラインの期間設定 のことで、偏差2というのは±2σを表示しますという意味になります。
このままでは±1σが表示されないので、以下の方法でバンドの追加設定をします。
レベル設定タブから「追加→0.5」「追加→-0.5」と2種類のレベル設定を追加してOKをクリックします。
ちなみに、ここでもスタイルを変更することで追加した線の色や形状を好みのものに変えることができます。
そしてこの通りに変更を加えると、以下のような±1σと±2σが同時に表示されたボリンジャーバンドになります。
ボリンジャーバンドをトレードに使う方法
さて、お待たせいたしました。
ここからはボリンジャーバンドの具体的な利用方法について解説していきます。
まず初心者がトレードで勝つためには、絶対に守るべき大切な心得が2つあります。
- 上がり始めたところで買う
- 下がり始めたところで売る
反対に、以下のようなトレードをしてしまうと中々勝てるようにはなりません。
- まだ上がってもいないのに買う
- 十分に上がりきってから買う
- まだ下がってもいないのに売る
- 十分に下がりきってから売る
つまり、「初動を確認できたら即座に乗っかる」ということが重要なのです。
それでは、これを踏まえた上でボリンジャーバンドを利用してトレンド継続/トレンド転換の初動に上手く乗っかる方法を2つご紹介しましょう。
トレンド継続の初動を捉える方法
トレンドの継続に乗るということは、言い換えればトレンドフォローの戦略になります。
トレンドフォローの戦略は以下の3ステップが基本となります。
- 大きな上昇を確認
- 上がりきった所で一度下降するのを待つ
- 価格が下げ止まり再度上がり始めた瞬間に買いエントリーする(下降トレンド時は全て反対になる)
この3ステップをボリンジャーバンドに当てはめて考えると下図のような手順になります。
まず、①ではトレンド発生を意味する バンドウォーク が発生しているのが確認できますね。
次に、②の地点では-2σの内側で価格が収束して下げ止まり、再び上昇を始めています。
その後、③の辺りでミドルライン(価格の平均値)よりも上側でローソク足が停滞し始めました。これが上昇トレンド継続の合図となります。
トレンド転換の初動を捉える方法
トレンド転換を狙う際に押さえておきたい重要なポイントは以下の2つです。
- 必ず2回以上は天井(又は大底)を付けている
- 長期足で見ると逆張りだが短期足にすると順張りになっている
つまり、最高値(又は最安値)に2回以上挑戦するも超えられなかったという事実と、短期足で見ると反対勢力が強まってきているという事実の2つが重なることがトレンド転換の合図となります。
それを踏まえた上で下図をご覧ください。
こちらは、日足で上昇トレンド中の相場において 1時間足で何度も最高値に挑戦しているチャート を切り取ったものです。
①ではボリンジャーバンドの+2σを中々上抜けできていません。
その後、②や③の地点では+2σにすら到達できなくなり、ミドルライン(価格の平均値)よりも下側でローソク足が停滞するようになっています。
要するに、この事実はこれまで優勢だった買いの勢いが減退していることを明確に示しています。
トレードする際の注意点
ボリンジャーバンドをトレードで利用する際に最も注意すべき点はたった一つです。
それは、±2σのタッチで安易に逆張りしないことです。
希に、ボリンジャーバンドの±2σでは価格が95.4%の確率で「反転する」ので逆張りの指標でも使えますと解説しているサイトを見かけます。
しかし、厳密に言うとボリンジャーバンドの標準偏差が示しているのは「反転率」ではなく「 収束率 」であり、本来は逆張りとして利用する根拠にはなりません。
もちろん、±2σに価格が届いたところで反転の逆張りを狙っていくスキャルピング手法も存在します。
ですが、このような利用方法は初心者にとって難易度が高すぎるのであまりオススメできません。
ですので、勝てるようになるまでは素直に根気強く順張りで使用するように心がけましょう。
◆反転の逆張りを狙うスキャルピング手法も存在するが、初心者には難易度が高い
◆勝てるようになるまでは順張りで使用する
まとめ
今回は、ボリンジャーバンドの計算式を掘り下げながら基本用途や表示方法、勝てる手法、扱う際の注意点について一つずつ確認してきました。
実は、ボリンジャーバンドは見た目が大変シンプルなので深く理解していなくても何となく扱えてしまいます。
しかし、基礎をしっかりと学ばなければ一つ一つの売買に明確な根拠を持つことができないので、いつまでたっても勝率は上がっていきません。ですので、継続して勝ち続けるためにも今回の記事は是非細部まで読み込んでくださいね。