RCIと移動平均線を組み合わせてFXや株式トレードで利用する方法

株式トレードやFXで取引を行う際、インジケーターを使ってより勝率を高めることができます。

とくに近年注目を集めているのがRCIというテクニカル指標です。さらにRCIと移動平均線の組み合わせによって効果的な取引が行えます。

トモヒロ
この記事ではRCIと移動平均線の組み合わせについて解説します。

RCIとはどんなインジケーター?

RCIと移動平均線の組み合わせについて知る前に、RCIとはどんなインジケーターなのかを知らなければなりません。

RCIとは、『順位相関指数』と呼ばれるオシレーター系のインジケーターで、一定期間内の価格と日付に順位付けをしてチャートを分析する手法です。

たとえばある3日間のチャートをRCI によって分析するとします。日付の順位とは取引当日に近い順です。取引当日の前日が1位、2日前が2位、3日前が3位という順位となります。

一方価格の順位とは、価格が高い順の順位付けです。この2つの順位の間にどれほどの相関があるかを分析するのがRCI なのです。

もしどんどん価格が上がり続けているのであれば2つの順位は 正の相関関係 にあり、RCI は+100%に近くなります。

一方価格が下落を続けているのであれば 負の相関関係 となり、RCI は-100%に近くなるでしょう。

RCI は-100%から+100%の間で表され、-80%を下回った後の価格の上昇を見て『買い』、+80%を上回ってからの価格の下落を見て『売り』といった順張りに用いられます。

さらに短期・中期・長期という3本のラインを用いて、どのようなポジションを取るべきかを判断することができます。

RCIを移動平均線と組み合わせて考えよう

RCIは日付と価格の順位に着目してチャートを分析するという特殊なインジケーターです。そのため、非常に一般的に用いられている移動平均線と組み合わせて用いているトレーダーも少なくありません。

ではRCIと移動平均線の組み合わせがなぜ効果的なのか、どうすればもっとも効率よく株式トレードやFX取引で2つのインジケーターを使えるのか解説します。

RCIと移動平均線の相性が良い理由とは?

まずRCIと移動平均線の相性がよい理由について考えましょう。

実はRCIと移動平均線は、一定のパラメータを用いることにより、相互に補完する関係となるのです。

移動平均線とは、一定期間内の価格の終値の平均値を算出し、その平均値を結んだ線のことです。

移動平均線にはいくつかの種類があり、

  • どの期間も同じ比重で計算する『単純移動平均線』
  • 取引当日に近い日付の価格により重きをおく『指数平滑移動平均線』
  • つの移動平均線のバランスを取った『加重移動平均線』

などが用いられます。

株式トレードやFX取引において、移動平均線はよく用いられるインジケーターの一つです。その理由は、市場の動きを視覚的にとらえやすく初心者の方でも比較的使いやすいからです。

移動平均線が右肩上がりであれば上昇トレンド、右下がりであれば下降トレンドが発生していると考えられます。

ローソク足が移動平均線の上にあるか、下にあるかによって相場の強さを測ることも可能です。さらに分析する期間を変えて複数の移動平均線をチャートに描き、今取るべきポジションを探るという手法もあります。

RCIと移動平均線の相性が良いといえる理由が、この2つのインジケーターの 性質の違い にあります。

RCIは『オシレーター系』のインジケーターです。

オシレーター』とは振り子のことで、市場は価格の上昇と下落を振り子のように繰り返すという性質を利用してレンジ相場で効果を発揮するテクニカル分析の指標を指します。

RCIに加えて、RSIやストキャスティクスなどもオシレーター系のインジケーターとしてよく知られています。

一方、移動平均線は『トレンド系』のインジケーターです。

トレンド系とは、現在上昇トレンドや下降トレンドが発生していることを分析するのに役立つテクニカル指標のことです。

果たしてトレンドが発生しているのか、どの程度の強さのトレンドが発生しているのかが分かれば、株式トレードやFXの勝率を高めることが可能となります。

POINT
重要なポイントは、オシレーター系のインジケーターは上昇トレンドや下降トレンドでは使いにくく、トレンド系のインジケーターはレンジ相場で使いにくくなるという点です。
そのため一定のパラメータを使用することで、オシレーター系のRCIとトレンド系の移動平均線が互いに補完し合い、チャートがどのような状態にあっても利益を上げられる可能性が出てくるのです。

RCIと移動平均線を有効利用させるには

RCIと移動平均線は互いに補完し合うことができますが、ただ2つのインジケーターをチャートに表示しただけでは不十分です。

2つのインジケーターはそれぞれ別々の理論に基づいて構築されたテクニカル指標であるため、それぞれを有効利用させるパラメータが必要となります。

そしてそのパラメータは『移動平均線:RCI = 10:26』です。もし移動平均線のパラメータ値が35であるとすれば、RCIのパラメータ値は91となります。

これにより移動平均線とRCIの動きが相互に補完し合うようになり、エントリーのタイミングや現在取るべきポジションを把握しやすくなるのです。

RCIは市場の過熱状況を把握するのに役立つものの、価格の変動が考慮されていないためどの程度の値動きがあるのかはつかめません。

一方、移動平均線は相場のトレンドの方向性を見る指標として値動きについては詳しく分析できるものの、市場の過熱状況の把握には不向きです。

トモヒロ
そのため適切なパラメータを使って2つのインジケーターを有効利用化し、株式トレードやFX取引に生かすことが重要となるのです。

RCIと移動平均線を融合する具体的な手法とは?

RCIと移動平均線の両方を適切なパラメータを用いて利用すると、株式トレードやFX取引での勝率を高めることができる事が分かりました。

では具体的にどのようにしてRCIと移動平均線を融合して取引に生かすことができるのでしょうか。株式トレードやFX取引で 2つのインジケーターを効果的に用いる手法 について解説します。

RCIでトレンド転換押し目のタイミングを見極める

最初に考えるのは、RCIでトレンドの転換や押し目買いのタイミングを見極める方法です。

RCIを利用すれば、トレンドの転換の兆しを見極めたり、押し目買いのポイントを見つけたりすることが可能です。たとえば以下のチャートをご覧ください。

RCIでトレンド転換押し目のタイミングを見極める

株式トレードでRCIの短期線・長期線、そして短期・長期の移動平均線が用いられているチャートです。

1の時点で長期線が-70%くらいの位置から一気に0をまたいで+90%程度まで上昇していることが分かります。これは 上昇トレンドが始まった可能性 を示すものです。

その後チャートは上昇を続け、RCIは+80%前後を横ばいに推移しています。しかし4の時点でRCIは急落し、0をまたいで-70くらいの位置へと下がりました。ここでトレンドの転換が起こると予想できます。

ただしRCIの短期線が上昇しているので、4の時点ではまだ確実に下降トレンドになるとは言えない状態です。

実際4のあと価格はやや上昇しています。しかし5の時点を過ぎてからは下降トレンドに入っているため、RCIの短期線と長期線の2つによってトレンド転換の予測ができたといえます。

加えてチャートとともに描かれている長期の移動平均線も、4の時点をピークに下降を続けており、トレンドの転換をRCIと移動平均線の両方で確認できたことになります。

さらにRCIでは『押し目買い』や『戻り売り』でも役立ちます。

POINT
押し目買い:価格が上昇している中で一時的に発生する、利益確定などの影響を受けた価格の下落を捉えて買いポジションを取ることです。市場が上昇トレンドにある場合にはかなり高い確率で利益を上げることができる有効な手法です。

戻り売り:価格が下落している中で一時的に値を戻した時に売りポジションを取ることです。押し目買いと同様、利益を上げられる可能性の高い取引方法といえます。

図の1から上昇トレンドが始まり、2や3の時点でやや価格が下落しています。ローソク足とともに表示されている移動平均線は緩やかに上昇を続けており、RCIも+80%から+100%の間を横ばいに推移しています。したがって価格はやや下落しているものの、まだこの株式は上昇トレンドの最中にあると判断できます。

したがって価格が下落していると、そこが押し目買いのチャンスであると見極められるのです。もちろん逆のパターンで戻り売りのタイミングを見極めることができます。

トモヒロ
価格が一時的に上昇しても、RCIが-80%付近を推移していたり、移動平均線が下降したりしていればトレンドは変わらず、戻り売りのタイミングであるといえるでしょう。

RCI3本足手法に移動平均線手法をミックスして勝率アップ

RCIは通常、短期線と長期線という2本のラインを使用します。しかしRCIを3本にし、かつ移動平均線を併せて分析することによって、勝率を高めることが可能となるのです。たとえば次の図をご覧ください。

RCI3本足手法に移動平均線手法をミックスして勝率アッ

FX取引などでもチャートがこのような動きをすることはよくあります。ローソク足とともに描かれている青のラインが長期の移動平均線、緑のラインが中期の移動平均線、赤のラインが短期の移動平均線です。

青の長期の移動平均線が下降しているので、全体としてこのチャートは下降トレンドにあると考えられます。

一方チャートの下に描かれているのがRCIで、青が長期、緑が中期、赤が短期のラインを表しています。RCIのパラメータを変えることで異なるラインを描くことが可能です。

トレーダーの好みや経験などによってパラメータ値は変わりますが、一般的には 短期が『9』、中期が『26』、長期が『52』 とされています。2つのインジケーターの組み合わせによってより確度の高い分析が行えるのです。

まず黄色の丸の部分では-100%の付近でRCIの中期線が長期線を下から上へ突き抜けています。

これはゴールデンクロスといい、絶好の『買い』のサインです。

一方ピンクの丸の部分ではRCIの中期線が長期線を上から下に突き抜けています。

これはデッドクロスで『売り』のサインと考えられます。

実際に中期の移動平均線を見ると黄色の丸の部分でやや上昇し、ピンクの丸の部分でやや下降していることが分かるでしょう。全体としては下降トレンドであっても、RCIと移動平均線を組み合わせることで勝率の高い取引を行うことができるのです。

さらにオレンジの丸の部分に注目します。ここでは中期の移動平均線が長期の移動平均線を下から上へ突き抜けており、トレンドが下降から上昇へ転換した可能性を示しています。

さらに注目すべきなのはRCIの3本のラインです。オレンジの丸の中では、RCIの3本のラインがすべて+100%で横ばいになる『3重天井』が発生している期間と、中期・長期の2本のラインが天井に張り付いている一方、短期線だけは0%もしくはマイナスのゾーンに落ち込んでいることが分かります。

上昇トレンドが発生している時にこの現象が起こった場合、これは絶好の押し目買いのチャンス となります。

一方下降トレンド発生時に、RCIの3本のラインすべてが-100%付近を推移することを『3重底』といいます。3重底が発生している時に、RCIの短期線が一時的にプラスのゾーンまで上昇した場合、絶好の戻り売りのタイミング と考えられます。

トモヒロ
RCIと移動平均線は相互に補完し合う関係であるだけでなく、お互いの分析の精度を高め合う関係でもあるのです。

MT4でのRCIと移動平均線の見方

世界中のトレーダーが株式トレーダーやFX取引で利用しているプラットフォームの一つがMT4です。ではMT4におけるRCIと移動平均線の見方について解説します。

まずRCIについてですが、実はRCIはMT4に実装されていないインジケーターとなります。

通常はMT4のメニューから表示したいインジケーターを選択すればすぐにチャートにインジケーターが表示されます。しかしRCIの場合、そもそもMT4に入っていないのでダウンロードする必要があります。

RCIをMT4に表示させるファイルはインターネット上で 無料ダウンロード することができます。ダウンロード後、ファイルを解凍しRCIをMT4に導入すれば完了です。

必要なパラメータを設定すれば、チャートの下にRCIが表示されます。RCIは一般的に短期線と長期線の2本のラインによって描かれますが、3本のラインを表示させるファイルもあるので、トレーダーが使いたいと思う方をダウンロードして使用できるでしょう。

パラメータは短期9、中期26、長期52がもっともよく用いられる数値です。しかし自分なりにカスタマイズして独自のRCIのラインを試してみることも可能です。

基本的な見方はRCIが+80%を超えたら市場が『買われすぎ』、-80%を下回ったら市場が『売られすぎ』であると判断します。

 ただしRCIはオシレーター系のインジケーターであるため、RCIだけを頼りに分析を行うと、分析結果と市場の動きが異なる『ダマシ』に遭う確率が高くなります。トレンド系のインジケーターである移動平均線を併用することでダマシを避けて確度の高い分析が行えます。

一方移動平均線は、MT4に最初から実装されているインジケーターです。

画面のメニューバーから『挿入』を選び、『インディケータ』の中の『トレンド』を選択します。すると移動平均線を表す『Moving Average』があるので、選んでパラメータを設定すれば完了です。

移動平均線はRCIと異なりチャートと同じ画面に表示されます。もっとも簡単な見方は、移動平均線が右肩上がりなら上昇トレンド、右下がりなら下降トレンドと判断して株式やFXの取引を行うものです。

とくに短期・中期・長期の3本の移動平均線が同じ動きをしている場合には、より分析の確度が高いと考えられます。

加えて短期・中期・長期の移動平均線のいずれかが交差した時にエントリーする、価格が下落している時に移動平均線に触れて反発する支持線や価格が上昇している時に移動平均線に触れて反落する抵抗線として分析する方法もあります。

トモヒロ
移動平均線はトレンド系のインジケーターであるため、RCIのようなオシレーター系のインジケーターを利用することでさらに詳しい分析が可能となります。

まとめ

投資におけるチャート分析においてRCIと移動平均線は 互いに補完し合う関係 にあるインジケーターです。

2つのインジケーターを併用することで分析の角度やトレードの勝率を高めることが可能となります。

さらにダマシに遭う確率を下げることもできるでしょう。2つのインジケーターの見方、分析方法は決して難しいものではなく、株式トレードやFX取引の初心者の方でも比較的理解しやすいものです。

また、MACDやボリンジャーバンドなどとも併用することでさらに確度を高めることもできます。ぜひRCIと移動平均線の見方をしっかり学んで、2つの組み合わせによってより多くの利益を上げられるよう努力しましょう。

おすすめの記事