FXのトレーダーの中には、 RCI や RSI などのインジケーターを使って、取引の勝率を高めている人がいます。
RCIとRSIは名前が似ていますが、それぞれに異なった特徴を持つテクニカル指標です。
RCIとRSIの違いは何?
まずトレーダーとして知っておくべきなのは、RCIとRSIの違いについてです。この2つには類似点と相違点があるので、それぞれの特徴と使い方についてよく理解しておくことが重要です。
ではRCIとRSIそれぞれについて解説します。
RCIの特徴とメリットとは?
RCIとは、『順位相関係数』と呼ばれるテクニカル指標です。大きな特徴は、一定期間内の価格と日付に順位をつけ、その間にどのような相関があるかを分析するという点です。
RCIは-100%から+100%の間で推移し、-100%に近づくと市場は売られすぎ、+100%に近づくと市場は買われすぎの状態にあると判断できます。
さらにオシレーター系のテクニカル指標としては珍しく、市場の動きに合わせた順張りと市場の動きの逆を狙う逆張りの両方に対応できます。
RSIの特徴とメリットとは?
RSIは『相対力指数』と呼ばれるテクニカル指標で、一定期間内の価格の上昇幅と下落幅から、現在の市場の過熱状況を捉えるためのものです。
RSI は0%から+100%で表され、0に近ければ市場は売られすぎ、+100%に近づけば市場は買われすぎであると考えられます。基本的には1本のラインで市場の分析を行うため、非常に見やすく初心者の方でも分かりやすいインジケーターです。
オシレーター系のインジケーターはトレンド発生時に0%や100%付近でずっと推移してしまうという欠点がありますが、RSIは計算上100%や0%になりにくいので、 トレンド発生時でもエントリーのタイミングを計りやすい というメリットがあります。
RCIとRSIの類似点と相違点は何か?
RCIとRSIについて見ると、それぞれに特徴があることが分かります。しかしこの2つには類似点と相違点があることにも気づくでしょう。
まず類似点は、どちらも市場の過熱状況を分析するのに用いられるという点です。市場の売られすぎや買われすぎを的確に把握できれば、トレードに生かすことができます。
一方でRCIとRSIには相違点も多くあります。
まず範囲が異なります。RCIは-100%から+100%、RSIは0%から100%です。さらにRCIが順張りと逆張りの両方に適しているのに対し、RSIは基本的に逆張りに用いられます。
RCIとRSIをトレードで使い分ける戦略
RCIとRSIはどちらもとても有効なインジケーターです。しかしそれぞれに異なった特徴があるので、トレードでは使い分けることが必要となります。
ではRCIとRSIそれぞれに適したトレードについて解説します。
RCIは短期順張りデイトレで小さな値幅を確実に狙う
まずRCIが適しているのは、 短期順張りデイトレード です。デイトレードは毎日の終わりにすべてのポジションを決済するので、一日あたりの利益はそれほど大きくはありません。
しかしRCIを利用することにより、毎日の取引の勝率を高め、小さな利益を確実に狙うことができるようになります。
RCIはRSIと比較して、直近の価格変動に敏感であり、しかも買いや売りのサインが頻繁に出てくるという特徴があります。そのためポジションを短期間、もしくは短時間だけ保持するトレードに適しているといえるでしょう。
加えてRCIは順張り・逆張りのどちらにも用いることができますが、デイトレードのような短期間での取引の場合にはより確実性の高い順張りを狙うのが効果的です。
RSIは長期逆張りで大きな値幅を狙う
一方でRSIはRCIとは異なり、 長期の逆張り で大きな利益を狙う場合に有効です。
RSIで勝率を高めるためには、パラメータの設定が非常に重要となります。一般的にRSIのパラメータは14と21が用いられます。
とくにRSIはレンジ相場の逆張りで大きな威力を発揮します。市場が買いすぎになってきたら『売り』、市場か売りすぎになってきたら『買い』といった具合に、市場の動きとは逆にエントリーすることでより大きな利益を上げられる可能性があるのです。
RCIとRSIの使い分け戦略の注意点
このように、RCIとRSIは使い分けをしっかり行うことで、さまざまなスタイルのトレードを行うことができるようになります。
しかしRCIとRSIの使い分けには注意点もあります。まずは、RCIやRSIそれぞれを 単体で用いるのは危険 であるという点です。
どのようなインジケーターでもそうですが、何か1つのテクニカル指標を用いて市場を分析するのは避けるべきです。
そのためRCIやRSIというオシレーター系のインジケーターだけでなく、他のトレンド系のインジケーターも使って詳しく市場を分析するようにしましょう。
たとえば、移動平均線、ボリンジャーバンド、一目均衡表、パラボリックなどがRCIやRSIと相性のよいトレンド系インジケーターです。さらにRCIに関しては、エントリーのタイミングが多い分、『ダマシ』も多くなる傾向があるので注意が必要です。
RCIとRSIを併用する場合の具体例
RCIとRSIにはそれぞれ順張り、逆張りに利用できるという特徴がありますが、実はRCIとRSIを併用するという方法もあります。
RCIとRSI はともにオシレーター系のインジケーターであるものの、ケースによっては併用することができるのです。RCIとRSIをどのように併用するかを知っておくと、さまざまな場面でより確度の高いトレードが行えるはずです。
RSIはトレンド相場に弱いのでレンジ相場で併用する
RCIとRSIの併用ができるのは、『レンジ相場』です。というのも、RSIはトレンド相場に弱く、上昇トレンドや下降トレンドが発生している時には、100%や0%付近を推移してしまうのでエントリーのタイミングがつかみにくくなります。
したがってRCIとRSIを併用したいのであればレンジ相場にある時がベストということになります。それを踏まえたうえで以下の図をご覧ください。
この図の一番上のチャートを見ると、明確なトレンドが発生しておらずレンジ相場にあると考えられます。RSIも極端な動きはせず、赤い丸の場所で70%を上回ったり、青い丸の場所で30%を若干下回ったりしています。
このような状況の場合には、RCIとRSIを併用することにより、より多くのエントリーポイントを見つけたり、市場の過熱状況をより正確に観察したりすることができるのです。
とくにRSIだけではエントリーの回数が少なくなってしまう傾向があるので、よりたくさんのシグナルが出るRCIを併用することで取引の回数を増やすことができます。
RSIの70越えと30以下のゾーンからがRCIの出番
RCIとRSIの併用がさらに効果的なのは、RSIの値が70%を超えて買われすぎになった時と、30%を下回って売られすぎになった時です。
赤い丸の部分でRSIは70%を超えています。したがって市場は買われすぎの状態にあると判断できます。RCIではこの時点で+80%を超えてこちらも買われすぎのシグナルが出ています。
エントリーポイントはRCIが+80%を超えてから再度+80%のラインに触れた時です。この時点で 逆張りでエントリー すれば、その後の価格の下落で利益を上げられます。
逆に青い丸の部分のようにRSIが30%を下回り、RCIも-80%を下回っているのであれば、再度RCIが-80%に触れた時に売りでエントリーすれば価格の上昇によって利益を上げられるでしょう。
まとめ
RCIとRSIはどちらにも特徴があり、その特徴をよく理解することでトレードの成功率を高めることができます。
短期の順張りデイトレードではRCI、長期の逆張りトレードではRSIを使って利益を上げやすくなるかもしれません。
RCIとRSIの2つをどのように併用するかをよく理解して、インジケーターを賢く使いこなせるようにしたいものです。