ストキャスティクスは直近価格の上がり下がりに対して素早く反応してくれるので、有利なポイントを早期発見できるのが特徴です。
しかし、反応速度が早い分ストキャスティクスの売買シグナルには だまし が多くなっています。
ストキャスティクスの正しい見方と使い方
FXや株、バイナリーオプション、仮想通貨などの金融市場において、トレードで勝ち続けるためにはテクニカル分析が必須です。
その中には、水平線やトレンドラインなどラインを利用した分析方法と、移動平均線やストキャスティクスなどテクニカル指標を利用した分析方法が存在します。
今回は、初心者でも売買のタイミングが計りやすく使いやすい、ストキャスティクスを利用したテクニカル分析について解説していきます。
FXトレードで勝つためには、価格の上がり始めや下がり始めのポイントを見つけて素早くエントリーをする必要があります。
なかなか勝てない初心者が最も陥りやすい負けパターンは、以下の2つです。
- 価格が十分に上がってきたのを確認してから買いエントリーしている
- 価格が十分に下がってきたのを確認してから売りエントリーしている
これでは、「高値掴み」「安値掴み」になってしまい損切り地獄から抜け出すことができません。
ですので、ストキャスティクスの基本をまずはしっかりと学んで、価格が次に動き出す方向に対して素早くエントリーする方法を身に付けましょう。
ストキャスティクスは「買われすぎ」「売られすぎ」を示す
ストキャスティクスとは、一定期間中における現在価格の上昇率を0~100%の数値で示すもので、それにより「 買いと売りの過熱感 」を読み取ることができます。
上図のように、ストキャスティクスは%Kと%Dという2つの線によって構成されており、この2つの線が80%を上回ると「買われすぎ」、20%を下回ると「売られすぎ」を示します。
反対に、売られすぎた市場では買い圧力が強くなってくるので、買いエントリーを積極的に狙うことで勝率が上がります。
ストキャスティクスの設定と計算式について
ストキャスティクスの%Kは、一定期間中の最安値から直近価格までの上げ幅を%数値にして繋げたものです。そして、%Dとは%Kの数値を移動平均化させたものになります。
この説明だけではイメージが付きにくいと思いますので、MT4のストキャスティクス設定画面を使って更に詳しく説明しますね。
こちらの例では、「%K期間=14」となっているので、ローソク足14本分を利用して%Kのラインを作っていることになります。その下では、「%D期間=3」となっているので、%Kを3期間で移動平均化したものを%Dとして表示していることになります。
右側にスローイングとありますが、この設定は%Kと%Dを両方同時に移動平均化するためのものです。今回の例では「スローイング=3」なので、%Kと%Dの2つのラインが両方とも3期間で移動平均化されることになります。
ちなみに、この%K=14、%D=3、スローイング=3というのが 初心者にとって最も使いやすくおすすめの設定値 です。
%Kと%Dの2本のラインが基本にあり、それらを同時に移動平均化できるスローイングという機能が別に存在していると覚えましょう。
気になる方のために、ストキャスティクスの計算式も以下にご用意します。ただし、この計算式は覚えていなくても全く問題ありませんので、無理に読み込まずに飛ばしてしまってもOKです。
ストキャスティクスの利用で勝ちやすい相場とは
ストキャスティクスはオシレーター系と呼ばれるインジケーターの種類に分けられており、別名「逆張り指標」とも言われています。
逆張りとは、値動きが反転するポイントを事前に察知して、直前の値動きとは逆方向にエントリーする手法です。
このような反転ポイントを早期発見するチャート分析方法はいくつか存在しますが、ストキャスティクスを利用した反転シグナルの見つけ方が初心者にとって扱いやすくおすすめです。
実は、こういった有利な反転ポイントが生じやすい局面というのは3つありますので、ここでしっかりと理解しておきましょう。
- トレンドにおける押し目/戻り目(トレンドの2波目/3波目)
- トレンド転換点(トレンドの高値圏/底値圏)
- レンジ相場
この3つの局面での具体的なストキャスティクス利用方法は、後の章でしっかりと解説します。
ひとまずは、ストキャスティクスの基本的な売買シグナル「ゴールデンクロス」「デッドクロス」を確認しておきましょう。
ストキャスティクス20%以下で%Kが%Dを上抜けた瞬間を「ゴールデンクロス」と言い、買いのシグナルとなります。一方で、ストキャスティクス80%以上で%Kが%Dを下抜けた瞬間を「デッドクロス」と言い、売りのシグナルとなります。
ストキャスティクスでダマシを避ける方法
さて、ストキャスティクスの基礎知識と基本売買シグナルを確認したところで、当記事の本題である「 だましを避ける方法 」についての解説に入りたいと思います。
スローストキャスティクスを利用する
前章で、ストキャスティクスの設定値について説明した際に出てきた「スローイング」の設定は覚えていますか?
スローイングとは、%Kと%Dを両方いっぺんに移動平均化させる機能でしたよね。実は、この機能を利用することによって、ストキャスティクスが発する大量の売買シグナルをふるいにかけることができます。
百聞は一見に如かずということで、まずはスローイング=1と3とではどのような違いがあるのか実際に見てみましょう。
まずは前提知識として、スローイング=1のことをファーストストキャスティクス、スローイング=2以上のことをスローストキャスティクスと呼びます。
ファーストとスローを見比べてみると、スローにすることで余計な売買シグナルがいくつかそぎ落とされていることが分かりますね。
つまり、ストキャスティクスをスローイング=3(スローストキャスティクス)にすれば、2本の線の動きが滑らかになり だましシグナルをカット するできるという訳です。
ですが、これだけではまだまだダマシも多く対策としては不十分なので、次の方法も見ていきましょう。
トレンドラインを併用してストキャスティクスを利用する
トレンドラインとは、上昇(又は下降)の起点となる2か所を斜めに結んだラインのことを言います。2か所で意識されたラインの延長線というのは、次に価格が触れる際の押し目買い(戻り売り)ポイントして多くのトレーダーから意識されるようになります。
つまり、実際のチャート上で意識されやすいポイントとストキャスティクスの売買シグナルが重なれば、そこは通常よりも優位性の高い売買シグナルとなります。
ストキャスイティクスと他のインジケーターを組み合わせる
トレンドラインとの併用以外にも、他のインジケーターを同時に表示させ組み合わせることで、ストキャスティクスのだましをふるい落とすことができます。
そもそも、なぜストキャスティクスにだましが多いのかというと、理由は2つあります。
- 反応速度が速すぎる
- トレンド感が一切分からない
1つ目については、先述したようにストキャスティクスをスローに設定することで解決できます。
2つ目の問題については、トレンドの方向感を計るためのインジケーターを組み合わせることによって解決することができます。
つまり、ストキャスティクスの売買シグナルを選別するのに最も相性の良いインジケーターとは、トレンドの方向感を見ることができる移動平均線やボリンジャーバンドなどのトレンド系インジケーターになります。
トレンド系インジケーターとの具体的な組み合わせ方法については、この後の章でしっかりと説明します。
ストキャスティクス具体的な利用法
それでは最後に、ストキャスティクスの具体的な利用方法について詳しく解説していきます。
まずはストキャスティクス単体利用での正しい使い方を説明し、それを踏まえた上でトレンド系インジケーターとの組み合わせ手法をご紹介していきます。
あと少しですので、勝てるトレーダーになるために最後まで頑張って読み進めてくださいね。
ストキャスティクスのゴールデンクロス・デッドクロス
本記事の初めの章でご説明したように、ストキャスティクスの売買シグナルの基本は%Kと%Dによるゴールデンクロスとデッドクロスです。
ストキャスティクスの20%以下で%Kが%Dを上抜けた瞬間がゴールデンクロス(買いシグナル)、ストキャスティクスの80%以上で%Kが%Dを下抜けた瞬間がデッドクロス(売りシグナル)でしたよね。
この2つのシグナルは基本的に、トレンドフォローの押し目買い/戻り売りの局面か、ボックスレンジ相場における反発点での逆張り局面で利用します。
この様に、上昇トレンドが発生している相場においては、ストキャスティクスのデッドクロス(売りシグナル)は逆行のリスクが高いのでゴールデンクロス(買いシグナル)を積極的に狙うようにします。
これとは反対に、下降トレンドが発生している時は、ストキャスティクスのゴールデンクロス(買いシグナル)は逆行のリスクが高いので、デッドクロス(売りシグナル)のみを狙うようにします。
一方で、上図の様な下値支持線と上値抵抗線に挟まれて上下に反発を繰り返す相場(ボックスレンジ相場)においては、上下のライン付近で発生するゴールデンクロス/デッドクロスに絞り込むことで勝率が上がります。
ダイバージェンスを利用したトレンド転換狙い
ダイバージェンスとは、ストキャスティクスが実際の価格の動きとは反対方向に進んでいく「 逆行現象 」のことを言います。
上図のように、実際のチャートでは高値が切り上がって上方向に進んでいるのに対して、ストキャスティクスは下方向に下がっていますよね。
この状態とはつまり、高値は更新しているものの上昇の勢いが徐々に落ちてきていることを意味しています。したがって、勢いを失った上昇トレンドはこの後終焉を迎え、下降トレンドへとトレンド転換が起こりやすくなります。
これが上下で逆の状態が起こると、下降トレンドから上昇トレンドへのトレンド転換点となります。
ちなみに、ダイバージェンスは4時間足以上の長期足において高値圏/安値圏で発生すると、優位性が一層強くなります。
トレンド系インジケーターとの組み合わせ手法
トレンド系インジケーターの代表格である移動平均線とボリンジャーバンドとの組み合わせもまた、勝率の高いストキャスティクス利用方法の一つです。
この手法で狙う相場局面は、トレンドフォローの押し目買い/戻り売りです。
具体的には、移動平均線が下から長期・中期・短期の順番になっている状態(上昇トレンド発生中)で、ストキャスティクスの ゴールデンクロスが発生すれば買いエントリー です。
反対に、移動平均線が上から順番に長期・中期・短期となっている時(売りシグナル)に、ストキャスティクスの デッドクロスが発生すれば売りエントリー です。
コツとしては、上昇トレンド中にはストキャスティクスのデッドクロスを狙わないこと、反対に下降トレンド中にはストキャスティクスのゴールデンクロスを狙わないことです。
それと、一方向のトレンドはいつか必ず終わりを迎えるので、直近のトレンドの勢いが弱くなってきた時は、ダイバージェンスなどトレンド転換点を狙った手法に切り替えるようにしましょう。
これも、移動平均線と同じくトレンドフォローの押し目買い/戻り売りを狙う手法になります。
具体的には、上昇トレンド中であればボリンジャーバンドの-2σに価格がタッチした瞬間に、ストキャスティクスのゴールデンクロスが重なれば買いエントリーです。
反対に、下降トレンド中であればボリンジャーバンドの+2σに価格がタッチした瞬間に、ストキャスティクスのデッドクロスが重なれば売りエントリーです。
勝率を保つコツも移動平均線の時と一緒で、トレンド方向に逆らった売買シグナルを信用しないことと、トレンドの終焉が近づいてきた時はトレンド転換点を狙った手法に切り替えることです。
まとめ
さて、今回はストキャスティクスのだましシグナルを避けて勝率を上げるための方法について詳しく解説してきました。今回の内容を完璧に理解して実践できるようになるためには、何度も読み込んで実際のチャートで経験を積んでいく必要があります。
実は、正しい手法と正しい資金管理法を学んだだけではトレードで勝ち続けることはできません。より多くの相場を経験するためにも、慌てず焦らず、実際のチャートを使って今回学んだことを何度も反復練習してくださいね。