FXを行っている方であれば、一定期間内の市場の動きを分析するのに ローソク足 を観察しなければなりません。
分析においてローソク足は非常に大切な役割を果たします。では、ローソク足の意味と大切な特徴について解説します。
まずトレーダーが取引を行う際に得ておくべき知識の一つ、FXにおける重要性を考えます。
ローソク足は一定時間内の始値、高値、安値、終値を表しており、数字で変化する価格の変動を視覚的に捉えることができるため非常に便利です。
FXトレーダーであれば、誰しもが知っておかなければならない知識であり、これをもとにどのような取引を行うかを決めていくことになります。
ローソク足の基本の見方
では基本的な見方について解説していきましょう。トレーダーが取引を行う前に、いくつか覚えておくべき基本的な要素があります。それが、
- ローソク足の各パーツの呼び方
- 1本の期間
- 特徴
です。ではこれらを一つずつ見ていきましょう。
各パーツの呼び方
まず覚えておくべきなのは、各部位の呼び方です。基本的にこのような図で表されることを覚えておきましょう。
赤は決められた期間が始まった時の値よりも終わった時の値が上がった場合、逆に青は始まった時の値から終わった時の値が下がった場合に用いられます。赤を『陽線』、青を『陰線』と呼びます。
もし価格が上昇を続けていけば、赤が続き、下降トレンドが発生しているときには青が連続することになります。
トレーダーが指定した一定時間が始まった時の値と終わった時の値とで囲まれた部分を 実体 、もしくは 胴体 と呼びます。
さらに胴体から上に伸びる線はその期間にもっとも高くなった値を表しており『上ひげ』、下に伸びる線は逆にもっとも低くなった値を表しており『下ひげ』という名称です。
したがって胴体が長いと一定時間が始まった時の値と終わった時の値が大きいことを示しており、一定期間内の価格の変動が大きければひげが長くなります。
上記のようにローソク足には種類もさまざまなものがあるので、種類ごとの名称も知っておくと他のトレーダーと差をつけられ、より一層トレードに役立てられます。
例えば、下ひげの長い陰線の場合、下影陰線と呼ばれます。これは最終的に売りの方が強かったものの、かなり買いが強まっていることを意味しています。
価格が上がっている中でこの兆候が表れると価格が下落に転じるサイン、逆に価格が下がっているときには価格が上昇に転じる可能性を示すサインです。
下影陰線の他にも、以下の図のように胴体が小さいもの、胴体が大きなもの、上ひげの長いもの、下ひげの長いものもあります。
1本の期間
ローソク足が表す期間は実に多様でトレーダーが自分が分析したい期間に設定することが可能です。ただしFXのトレーダーの多くが利用している期間があるので、よく利用される期間について知っておくことは大切といえます。
短時間で何度も取引を繰り返す、スキャルピングやデイトレードで利益を出そうと思うのであれば、 5分足 を使った分析がお勧めです。5分足を利用すると、レートを細かく正確な値で把握できるので、小さな利益を積み重ねられるに違いありません。
一方スイングトレードなどを行う場合のように当日や前日に発生したトレンドを把握したいのであれば、 15分足 を利用するとよいかもしれません。
さらに直近1週間のトレンド把握には1時間足がお勧めです。一定期間内の市場の動きを把握するのに役立ちます。
そしてFXでもっともよく用いられる期間が『4時間足』です。まず4時間足で見方や扱い方に慣れてから、他の時間足を試すとよいかもしれません。
これらよく用いられる期間の他にも、10秒、1分、10分、30分、2時間、8時間、12時間、日、週、月といった期間でも利用可能です。
特徴
ローソク足の最大の特徴は、どのように市場の価格が変動したかある程度理解できる点です。
たとえば大陰線であれば、一定期間が始まった時の値からやや価格が上昇し、その一気に価格が下落して安値を記録したあと、値を戻して終値に落ち着いたことが分かります。
ローソク足についての基本的な知識を持っていれば、市場の動きを瞬時に把握でき取引に役立てられるのです。加えて大切な意味について詳しく知っておけば、より利益の上げやすい取引が行えるのです。
知っておくべきローソク足の大切なパターン
ローソク足の形から現状の相場観、今後の相場の予測が可能となるためトレーダーが絶対に押さえておくべき知識といえます。
長いひげ
長いひげとは、実体の上下に出ているひげが長い状態です。上ひげは高値、下ひげは安値を表します。したがって長いひげは、『売り』や『買い』の勢力の抵抗が強かったことを示しています。
たとえば下ひげが長い場合、買いの抵抗が強かったことが分かるのです。ひげの長さによって、『売り』と『買い』の勢力状況を把握することができます。
大陽線、大陰線
『買い』もしくは『売り』が明らかに強い勢力を誇っている状態で発生します。具体的には、胴体の長さが通常の5倍以上になった場合、大陽線・大陰線と判断できます。
大陽線 は、価格が大幅に上昇したことを示しているので、『買い』が圧倒的に優勢であることが分かります。さらに価格上昇の傾向がその後も続くと予想できます。トレーダーが自分のポジションを決めるうえで非常に大切な特徴です。
逆に 大陰線 は、『売り』がかなり優勢であることを表し、今後も価格の下落が続く可能性が高いです。
十字線
その名の通り、胴体がなく十字に見える線のことです。寄引同時線の一種です。『買い』と『売り』の勢力が拮抗していることを示しています。
これはこれまで続いていた価格の上昇や下落が反転する可能性を示唆するものです。もし価格が上がってきたのに十字線が現れたなら、『買い』の勢いが弱まり、『売り』が強くなってきたと判断できます。
一方価格の下落幅が小さくなったあと十字線が出れば、『売り』が弱くなってきたと考えられるでしょう。
窓埋め
続いてトレーダーが知っておくべき現象は『 窓埋め 』です。窓とは、金曜日の取引が終わった時の値と月曜日の取引が始まった時の値の間の差を指します。
この差が非常に小さい場合にはとくに問題ありませんが、世界経済の動向によって大きな窓ができることがあります。そこで大切になるのが『窓埋め』なのです。
窓埋めとは、大きな窓があいた場合に月曜日のレートが金曜日の終値の方向に進んでいき、窓を埋めようとするという通説です。この現象を知っておくと、比較的簡単に取引に生かすことが可能です。
ダブルボトム、ダブルトップ
ローソク足で大切な別の特徴は、『ダブルボトム』と『ダブルトップ』です。どちらもその後の価格変動を予測するのに役立ちます。ダブルボトムとは2つの谷があり、『W』を描いている状態です。
この図にあるように、2つの谷ができた後は、ネックラインと安値と同じくらい価格が上昇していきます。ネックラインの見極めが大切になる動きです。
トレーダーがFXの取引を行う際には、 ネックライン についても知っておくようにしましょう。逆にダブルトップとは、2つの山ができ、『M』を描いている状態です。
こちらはネックラインと高値の差と同程度ネックラインから価格が下落する傾向があります。もちろん100%この現象が起こるわけではありませんがトレーダーはこの傾向について把握しておく必要があるでしょう。
カップアンドハンドル
カップアンドハンドルとは、その名の通りコーヒーカップのような動きがみられる現象です。いったん弧を描くように価格が下落し、その後取っ手、あるいはハンドルのような形を描きます。
これは特殊な現象なのでトレーダーは押さえておいたほうが取引に役立てやすくなります。
この形が発生した場合、ハンドルの部分ではタイミングによって順張り・逆張りの両方が可能となります。ただカップアンドハンドルは、大衆心理を捉えた現象なので、形だけを覚えていてもあまり意味がありません。
高値、安値
ローソク足では、ひげによって表される一定期間内にもっとも高くなった値と安くなった値も非常に大切なポイントの一つです。
一定期間内にどの程度まで価格が上昇、あるいは下落したかを観察できます。高値、安値は、どの程度買いや売りが強いかを見定めるのに役立ちます。
ローソク足の組み合わせからチャート分析をしよう
ローソク足は組み合わせによって、市場の現状を把握し将来の価格変動をある程度予測できます。ここでは代表的な組み合わせの、
- 出会い線
- 被せ線
- 包み線
- はらみ線
- 差し込み線
- 切り込み線
について解説します。
出会い線
出会い線は、一定期間内のローソク足が終わった時の値と、次の期間の始値が同じになる現象のことです。ちょうど以下の図のようになります。
2つの期間の終値がちょうどであったような形になっているのが特徴です。出会い線が発生した場合には、現在のトレンドが転換する可能性を示唆しています。
被せ線
被せ線は『買い』の勢力が弱まってきており、価格が下落に転じる可能性を示唆する、あるいは逆に『売り』が弱まってきて価格が上昇する可能性を示唆するものです。
トレーダーはこうした動きに敏感でなければなりません。被せ線とは以下のような状態です。
被せ線では、まず 大陽線が発生 します。その後大陽線が終わった時の値を超える陰線が現れます。
ただしその陰線が終わった時の値は前の大陽線の胴体の中心を超えなければなりません。もちろんこの真逆の現象も生じ得ます。
包み線
包み線とは、陽線のあとにそれよりも大きな大陰線が続く場合、あるいは陰線のあとにそれよりも大きな大陽線が続く場合を指します。ちょうど以下の図のような形です。
これは非常に明快なサインであるため、初心者のトレーダーであってもすぐに見分けられます。図の左側のような現象が現れた場合、『買い』の圧力が強まってきていること、右側では『売り』の勢力が強まってきていることを意味しています。
はらみ線
はらみ線とは、包み線と逆の現象です。以下の図のような形が見られます。
包み線は『買い』や『売り』のサインが強まっていることを指していたのに対し、はらみ線は勢力が弱まっていることを示します。
天井付近あるいは底値付近ではらみ線が発生した場合、それまでのトレンドが転換することになるかもしれません。さらにはらみ線の2番目のローソク足が寄引同時線になっている場合には、その傾向がさらに強くなります。
差し込み線
これまではローソク足が2本のケースを考えましたが、トレーダーが3本のローソク足を観察すべき現象もあります。
差し込み線は陽線もしくは陰線が2本連続したあと、3本目で反転するものの2本目の胴体の中央を超えられなかった現象です。ちょうど以下の図のようになります。
図のようなケースでは価格が下落している中で一時的に『買い』が入っていると判断し、価格の下落傾向が継続していくと判断できます。逆に2本の陽線のあとに陰線が出て差し込み線となっても、価格の上昇傾向が継続すると判断します。
切り込み線
切り込み線は、差し込み線と似ていますが、より強い圧力がかかっている現象です。切り込み線は以下のような形になります。
ローソク足の並びは同じであるものの、3本目は2本目の中央を超えていることが分かります。これは差し込み線よりも反発する勢力が強くなっていることを示しており、 トレンドの転換 を示唆します。
ローソク足の分析で注意すべき点
上述のようにローソク足の形によって相場の分析が可能ですが、「一本のローソク足」だけで判断してはいけません。前後の足の形や動きとの総合的な判断をすることで、正しく相場を読み取ることが可能となります。
また、ローソク足の設定期間によっても市場の動きは変わって見えます。たとえば1時間足を使う場合と、日足を使う場合とでは市場の見え方が違います。期間を変更すれば、『買い』や『売り』の判断も変わる可能性もあります。
加えて、ローソク足でエントリーのサインが出ている場合、世界中にいる多くのトレーダーも同じような判断を下す可能性があります。
市場が一気にその方向に流れて利益を上げられなくなってしまう恐れもあるのです。そのためローソク足の分析は慎重に行わなければなりません。
さらにローソク足だけでなく、他のインジケータを利用した分析も効果的です。インジケータには トレンド系 と オシレーター系 の2種類があるので、トレーダーが試してみたいものを使ってみるとよいでしょう。
トレンド系の中には移動平均線、ボリンジャーバンド、一目均衡表などがあります。一方オシレーター系ではMACDやRSI、ストキャスティクスなどが有名です。
どれもローソク足と組み合わせて利用できるインジケータなので、取引で利益を上げるのに役立つでしょう。ローソク足やそのパターンだけで取引するよりもずっと確度の高い分析が行えるのでお勧めです。
まとめ
ローソク足はトレーダーが市場の動きを見極めるうえでとても重要な指標となります。ローソク足の種類や組み合わせ、発生のパターンはたくさんあるので、まずはどのような現象が起こり得るのか勉強するようにしましょう。
もちろん必ずしも分析通りに行くわけではありませんが、利益を上げられる可能性を少しでも高めるために、トレーダーとしての努力が求められるのです。