ボリンジャーバンドは、スクイーズとエクスパンションと呼ばれる2つの動きを分析してトレンドの波を捉える使い方が一般的です。
一方、スクイーズ単体を使いこなすだけでもレンジ相場の逆張りが可能になります。
ボリンジャーバンドとはどんなインジケータ?
はい。
ではまず、ボリンジャーバンドがどのような見た目をしているのか実際のチャートで確認してみましょう。
この様に、ボリンジャーバンドはローソク足の動きに沿った7本のラインによって構成されています。
最も真ん中にあるラインをミドルラインと呼び、一定期間における価格の平均値をライン状にして繋げたものになります。(移動平均線と同じ役割で、通常は20期間で使用する。)
そして、残りの6本は 標準偏差(σ=シグマ) と呼ばれるラインで、上下ランダムにばらつく価格の収束率を示しています。
- ±1σ → 価格のばらつきが68.3%の確率でこのバンドの内側に収束する
- ±2σ → 価格のばらつきが95.4%の確率でこのバンドの内側に収束する
- ±3σ → 価格のばらつきが99.7%の確率でこのバンドの内側に収束する
そうですね、ではもう少し掘り下げて説明しましょう。
標準偏差とは、統計学で使われる用語で「標準の値からの分散値」を求めたものになります。
これをボリンジャーバンドに置き換えて分かりやすく言うと、一定期間における価格の平均値からどのくらいの上下幅で現在価格がばらついているかを示したものが標準偏差になります。
そして、標準偏差は正規分布と呼ばれる収束率の法則に当てはめることができるので、先述した各収束率で±1~3σのバンドが引けるのです。
ボリンジャーバンドには3つのパターンがある
ここまでで、ボリンジャーバンドの見た目とそれが意味することについては理解できたでしょうか。
ここからが本題になるのですが、ボリンジャーバンドには「スクイーズ」と「エクスパンション」という2つの特徴的な動きが存在します。
上図は、ボリンジャーバンドのスクイーズとエクスパンションの動きをチャート上で説明したものになります。
ボリンジャーバンドは、相場のボラティリティ(値動きの大きさ)に合わせて拡大と収縮を繰り返す性質があり、ボラティリティが小さくなりバンド幅が収縮している状態をスクイーズ、ボラティリティが大きくなりバンド幅が拡大している状態をエクスパンションと呼びます。
ちなみに、図の中にあるバンドウォークとは、ローソク足がボリンジャーバンドの±2σに張り付いて一方向に価格が伸び続ける現象のことを言い、トレンドの発生を示すものになります。
ボリンジャーバンドの使い方としては、この「スクイーズ→エクスパンション→スクイーズ→・・・」と繰り返す動きの中から バンドウォーク発生の前後に売買タイミングを置いて使用する のが基本です。
ですが、スクイーズにも上下幅の大きい「寸胴型」と呼ばれるタイプのものがあり、それを利用することでトレンド相場だけでなくレンジ相場においても売買サインを得ることができます。
スクイーズと寸胴型の違いについて
イメージとしてはそれでも良いですが、厳密に言うと違います。
まず初めに説明した通り、ボリンジャーバンドはスクイーズとエクスパンションという2つの動きを連続で繰り返すことによって作られていきます。
一方、バンドウォークというのは、ボリンジャーバンドのエクスパンションが発生した際にトレンドが出ることで表れるローソク足の動き方のことを言います。
他方、寸胴型については、上下の値幅が大きいスクイーズのことを「寸胴型」と別で言い換えているだけなので、見た目としてはスクイーズと寸胴型は同じものになります。
スクイーズから分かること
そうですね。
まず両者を見分けられないことには先へ進めないので、スクイーズとは何なのかを詳しく掘り下げて説明しつつ寸胴型との見分け方について学んでいきましょう。
スクイーズの発生要因とは?
先述した通り、スクイーズとは 相場においてボラティリティが下がってきたこと を示すものになります。
そして、相場のボラティリティが下がってくるとやがてレンジ相場が形成されるのですが、レンジ相場にも2つの種類があります。
- 買いの注文量と売りの注文量が拮抗したことによるレンジ相場
- 相場を動かすほどの売買注文が入って来なくなったことによるレンジ相場
まず1については、下図のように直近の上昇トレンド相場からの利確や転換を狙う逆張りの売り圧力と、トレンドフォローによる買い圧力が拮抗することで発生します。
※下降トレンドであれば買いと売りを逆に考えます。
この様な場合には、4時間足以上の長期足においてレンジ相場が形成されることが多いので値幅も広くボリンジャーバンドのスクイーズが寸胴型になりやすいのです。
一方で、難しい局面において多くのトレーダーが一時的にエントリーを見送っていたり、日本時間の深夜から朝方にかけてなど、相場参加者が極端に少なくなる場合にもレンジが形成されることがあります。
そうすると、先ほどとは違って取引量が少ない状態なので、寸胴型ほど大きくならず上下値幅の小さいスクイーズとなります。
スクイーズを利用した具体的なトレード
それでは最後に、初心者にも再現しやすいスクイーズを利用した鉄板手法について、順張りと逆張り2つの視点からご紹介しましょう。
前章で説明した通り、短いスクイーズはトレンドフォローの押し目や戻りのエントリータイミングを計るのに適しており、値幅の大きい寸胴型のスクイーズはレンジでの逆張り手法に適しています。
スクイーズを利用したトレンドフォロー
ではまず、短いスクイーズを利用してトレンドの押し目や戻りを狙う方法について解説していきます。
こちらの図は、ボリンジャーバンドのスクイーズを利用して上昇トレンド中における押し目買いポイントを探っているチャートです。
まずは、緑色の丸で囲ったところのように、直近の値動きで上昇のバンドウォークが形成されて上昇トレンドが発生したことを確認します。
そして、上昇の勢いが止まりボリンジャーバンドのスクイーズが形成されてきたところが 押し目買いのポイント になります。
具体的なエントリー方法としては、ボリンジャーバンド-2σの内側に価格が収束を始めミドルラインを陽線で上抜けたあたりがエントリータイミングです。
損切りラインは-1σか-2σを抜けられたあたりに置き、利確目安はバンドウォークが始まった後に+1σを陰線で下抜けたあたりが良いですね。
なぜなら、下損切り目安を立てることができないので、万が一下降のバンドウォークが始まってしまうと損切りができずに大損してしまうからです。
ちなみに、この手法を下降トレンドの戻り売りに応用する場合には上下反対の考え方で再現可能です。
スクイーズを利用したレンジでの逆張り
では次に、寸胴型のスクイーズを利用してレンジでの逆張りを行う方法について解説していきます。
まず、上図のように4時間足や最短でも1時間足以上の 値幅が大きい寸胴型チャート が形成されていることを確認します。
次に、必ず日足や4時間足のような長期足で引ける水平線を上下に用意します。
そうすると、寸胴型ボリンジャーバンドの±2σと長期足の水平線が重なる箇所が発生してくるので、そこがレンジ帯における勝率の高い茶配りポイントとなります。
ただし、これを見つけられたからといって安易にエントリーをしてはいけません。
必ず、下図のように30分足以下の短期ローソク足で細かいエントリータイミングを計るようにしてください。
このように、緑色に囲った辺りが短期足で買いエントリーのタイミングになるのですが、目安としては-2σにタッチしてから価格が内側へ収束しミドルラインを陽線で上抜けたところがベストタイミングです。
FX・株式・バイナリーオプションでボリンジャーバンドを使いこなす方法
それでは最後になりますが、FX・株式・バイナリーオプション(HIGH/LOW取引)それぞれにおいてボリンジャーバンドを使って勝率を上げるコツについて説明します。
まず、FXについては当記事で説明してきた通りの方法で練習を重ね、実践を続けていただければ大丈夫です。
ただし、FXではマルチタイムフレーム分析が最も大切なので、ボリンジャーバンドを表示させながら日足から5分足までしっかりと環境認識をするように心がけてください。
続いて、株式投資では実際のチャートを見ながら各銘柄を一つずつ分析する方法と、 株式スクリーニング を使って多数の銘柄を一気に条件検索する方法があります。
株式スクリーニングとは、各証券会社などがネット上で提供しているサービスの一つで、様々なインジケーターにおいて売買サインが出ている銘柄だけを検索表示してくれる大変便利なサービスになります。
ですので、株式スクリーニングを利用してボリンジャーバンドの±2σや±3σにタッチした銘柄だけを検索して売買注文を入れるということも可能になります。
バイナリーオプションのHIGH/LOW取引に関しては、扱っている銘柄自体はFXと同じ通貨ペアになるのですが、満期まで上がってるか下がってるかの二者択一勝負になるため短期足トレードがおすすめとなります。
まとめ
さて、今回はボリンジャーバンドのスクイーズに特化した解説記事となりましたが、スクイーズの意味や相場での活用方法についてしっかりと理解できたでしょうか。
スクイーズは、上手く使うことで相場における順張りと逆張りのどちらの起点にもなります。
ですので、分からないところは何度も読み返して是非ご自身のトレードスキルの上達に繋げて下さいね。