テクニカル分析を使って株式投資をする場合、 RSIの指標 を利用することで非常に優位性の高い取引が可能になります。
RSI(相対力指数)の設定や有利な手法を覚えることも大切ですが、株式投資は銘柄選びも重要なポイントになりますので、後半ではRSIを使ったスクリーニングについても解説していきます。
株式投資のテクニカル分析とは、企業価値などの外的要因は一切考慮せず、相場の過去データを集めて値動きのパターンを分析していく手法です。
短期的なトレンドの変化を読み取ることに向いているため、スキャルピングやデイトレードをする場合には必ずといっていいほどテクニカル分析が用いられます。
私たち個人投資家は資金力・情報力に限界があるため、チャートパターンやインジケーターを使用したテクニカル分析を行うことは必須です。
RSIを株式投資に使う方法
RSI(相対力指数)を使って株式投資でできることは主に以下の2つです。
- レンジでの逆張り
- トレンド転換点での逆張り
RSIの発する「買われすぎ」「売られすぎ」のシグナルを参考にするだけで、上記の2つの相場で簡単にエントリーポイントを割り出すことができるようになります。
RSIはどんなテクニカル指標なのか
RSIとは、相場の一定期間における上がり幅と下がり幅を利用して、現在の株価の買いと売りの強弱を0~100%の数値で表したオシレーター系インジケーターです。
RSIの数値が50%の時は買いと売りが均衡していることを示し、50%より上になると買い優位、50%より下がると売り優位と認識されます。
また、RSIが 70% を超えると「買われすぎ」状態となるので今後値下がりする可能性を示します。逆に、 30% を切ってくるようになると「売られすぎ」状態となるので、今後値上がりする可能性を示します。
RSIの実際の計算式は以下のようになっています。
「n」は実際のRSIに入力する設定期間になります。要するに、チャート上で何本のローソク足を参考にしたいのかを、RSIの期間設定に入力すれば良いのです。
RSIで有効な数値設定は?
RSIの考案者J・ウエルズ・ワイルダー・ジュニアは、著書の中で 14日間の期間設定 を勧めています。
具体的には、期間設定を14にして上図のように70%と30%のラインも表示させ、売買シグナルを取っていきます。
殆どの場合は、デフォルトでワイルダーがおすすめしているこの設定になっています。そして、最も多くのトレーダーから利用されている設定もこれになります。
ちなみに、便宜上日足ベースで説明しておりますが、もちろん1時間足や15分足でも同じ設定でテクニカル分析をすることができます。
期間設定の数値は、大きくすると参考にするローソク足の本数が増えるため、RSIの動きは滑らかになり上下に動く幅も小さくなります。
逆に数値を小さくした場合は、RSIの動きは激しくなり上下の幅も大きくなります。
シグナルにするラインは70%30%のままでも問題ないですが、期間設定の数値を大きくした場合はRSIの上下幅は小さくなるので、65%・35%のようにラインを縮めて使う場合が多いです。
ここまでで色々な設定値をご説明してきましたが、実は、一番有効な数値設定というのは存在しません。
「RSIの数値をいじった結果、常勝トレーダーになった!」という人は見たことがありませんし、私自身過去に沢山の設定を試しましたが、そこにあまり意味が無いと分かった現在は 初期設定のまま使用 することにしています。
ですので、迷ったら初期設定で利用しましょう。そのままでも、正しく使えば十分に有利なトレードは可能です。
RSIで株式の売買のタイミングを探す方法
RSIを使った具体的手法を覚える前に、RSIは「レンジ相場に強く、トレンド相場に弱い」という性質があることをしっかりと覚えておきましょう。
相場というのは
「収縮」→「拡散」→「方向性」
を常に繰り返すものです。
そして、収縮と拡散の状態を「レンジ相場」といい、方向性が出ている状態を「トレンド相場」と言います。
RSIは「 逆張り 」が得意なインジケーターですので、レンジ相場での逆張りに利用することで真価を発揮します。
逆に図のようなトレンド相場では、RSIの売買シグナルほとんど使い物にならなくなるので、相場の状況をしっかりと確認してから利用するように心がけてください。
ボックスレンジでの逆張り
先ほど、RSIはレンジ相場に強いとご説明しましたが、その中でも「 ボックスレンジ 」というチャートパターンが形成された時を狙うと勝率がぐっと上がります。
ボックスレンジとは、一定の値幅でチャートが上下移動を繰り返す相場のことで、図のようにほぼ同じ位置で支持・反発を繰り返すことから、逆張りのエントリーポジションが非常に掴みやすくなります。
RSIが70%に到達した地点で売りシグナル、30%に到達した地点で買いシグナルとなります。
ダイバージェンス
ダイバージェンス とは、チャートの新値更新の方向とRSIの方向が逆転している状態のことをいいます。
図をみてもらえば分かる通り、実際の高値は切り上がっているのにRSIの数値は切り下がっています。これは、現在売り勢力に比べてかろうじて買い勢力が勝っていることを意味します。
つまり、この後買いと売りの力関係が逆転する可能性があるということです。この動きを捉えることが出来れば、この後に発生する下降トレンドの波を大きく捉えることが出来ます。
下降トレンド中にダイバージェンスが発生した場合は、これと全く逆の考え方になり、その後発生するトレンド転換の波を初動から捉えることが出来ます。
RSIと他のインジケーターの組み合わせ
RSIは 逆張り手法 においては非常に優秀ですので、単体で使用していてもしっかりとトレード成績が残せるインジケーターです。
しかし前項でも説明した通り、RSIはトレンド相場になると機能しなくなってしまいます。
そこで、どうしてもRSIを活用してトレンドフォローをしたいという方のために、他のインジケーターと組み合わせたトレンドフォロー手法も2つご紹介します。
ストキャスティクスと組み合わせる
- ストキャスティクスが20%以下地点でゴールデンクロス
- RSIが50%を上抜けする
ストキャスティクスはトレンド相場での押し目買い・戻り売りを狙うのに適したインジケーターですので、RSIと組み合わせることでよりそのシグナルに優位性が増します。
この手法のシグナル条件は2つです。
この2つの条件が揃ったタイミングで買いエントリーします。そうすることで、上昇トレンドの第2波、第3波の押し目でエントリーすることができます。
ストキャスティクスのゴールデンクロス単体でも押し目買いは可能ですが、実は、 だましシグナル も多いため意外と難易度が高い手法になります。
そこで、RSIの50%上抜けを2つ目のシグナルとして利用することで、押し目買いの精度が上がるのです。
ボリンジャーバンドと組み合わせる
ボリンジャーバンドはレンジ相場でもトレンド相場でも使える、汎用性の高いインジケーターです。
ただし、幅広く使える反面、+-2σやミドルでのだましも多いので、使い慣れるまでが非常に難しいインジケーターでもあります。
そこで、買いと売りの優劣を決める境界線である、RSIの50%ラインを活用して真のシグナルを見極めます。
上昇トレンドの押し目買いを狙う場合のシグナル条件は、以下の2つです。
- ボリンジャバンドの-2σを明確にタッチ
- RSIの50%ラインを上抜け
この条件が揃った時に、即座に買いエントリーします。
RSIでスクリーニングをしよう
株式投資をする上で重要なことは、テクニカル分析手法を学ぶことだけではありません。
その時々によって、買い時の銘柄と売り時の銘柄が存在するので、適当に選んでチャート分析をしたところであまり有利なエントリーポイントは見つかりません。
ですので、RSIで分かる「買われすぎ・売られすぎ」の指標を利用して、その時その時で最も有利なトレードができる株銘柄をスクリーニングしましょう。
スクリーニングの方法に関して特筆することはありませんので、スクリーニングサイトでRSIの数値を、買う目的なら20~30%、売る目的なら80~90%で検索してみてください。
スクリーニングとは
そもそも、スクリーニングとは何なのかご説明しますね。
スクリーニングとは英語で「screening」と書き、直訳すると「ふるいにかけること、選別」です。
「特定のテクニカル指標を利用して、多数の株銘柄の中から買い(又は売り)シグナルが出ている銘柄のみを選別すること」を意味します。
株のスクリーニングはネット証券口座が簡単
FXトレードとは違い、株は無数に銘柄が存在するため「一つ一つチャートを開いてRSIを出してチャート分析をして・・・」とやっていたら日が暮れてしまいますね。
ですので、指定の条件を入れれば用意されたシステムの方で 自動的にスクリーニング をしてくれる、SBI証券スクリーニングのようなネット証券会社のサービスを利用しましょう。
「でも、口座開設は他でしちゃってるし・・・」という方は、口座開設や登録が不要で、さらに無料でスクリーニングができる「株マップ.COM」や「TRADER’S WEB」などを利用しましょう。
まとめ
株式投資は、スキャルピングやデイトレードで収益を上げることもできますが、割安株をじっくりと吟味してスイングトレードをしても案外ストレスが少なく楽しいものです。
FXや仮想通貨にはない魅力も沢山あるので、是非株式投資をマスターして、楽しみながら口座の資金を増やしていっていただきたいと思います。
とはいえ、まずはテクニカル分析をマスターしないことには先には進めませんので、今回の記事をしっかりと読み込んで、利益をしっかりと残せるトレードができるようになりましょう。